第41話 インビジブルオブデス6
「魔術じゃあない?なら新しい忍術か何か?」
「うーん、まぁ固有忍法みたいなものかな?」
私の返答に楓夏は納得したように頷く。
「なるほど、綾ちゃんは身体を変化させられると······」
レイも納得したように頷く。なんか確信に迫ってるんですけどこの子!
「綾ちゃんちょっと櫛貸して?」
「ん?別にいいけど」
楓夏が私の櫛を受け取る。
「最近噂で聞いたんだけどさ、櫛で頭皮をポンポン叩くと髪に良いんだってー」
楓夏が櫛で自身の頭叩いている。
「え、それ迷信だよ!もしそれが本当だったら今頃世界から争いと悲劇はなくなってるよ!?」
「いいえ綾ちゃん、迷信ではありません。これは殿方達にとっての最後の希望、ラストファンタズムなのです。世界が今こうして均衡を保っていられるのはこうした殿方の犠牲の末なのですよ。」
「その幻想、もっと希望的な方に見い出せなかったのかな!?ていうか何※が世界を救ってんの!?どこのワンパンヒーロー!?」
「何を仰いますか、希望なんて既に無いに決まっているでしょう」
稜葵意見急反転!
「いくら科学が発展しようと、いくら保険制度充実しようと彼らに救いの手は1度も差し伸べられなかったではありませんか?」
「やけに詳しいね······。何か実体験でも?」
「私の父親が······。」
「あぁ、ご愁傷様です。」
「実は毛穴完全再生の医療品を完成させたんですよ」
「「す、すげえええ!」」
「ふふふ、褒められてもサンプル品しか出ませんよ?」
「いやサンプルとか言われても、そもそも要らないからね!?」
「ねぇ綾ちゃーん、叩き過ぎて頭から血が······。」
楓夏が血まみれの櫛を私に渡してくる。後で舐めよう。
「なにしてんの!モノには加減ってもんがあるでしょ!」
「そんな事言わずにさぁ、さっさと薬出してよ」
「そんなの必要ないから、とにかく1回座れ!」
楓夏を椅子に座らせて頭に手を当てる。
「痛っ!何触ってんの!」
「うっさい、ヒール!」
回復魔法をかける。
「え?魔法?綾ちゃん魔法使えたの!?凄い!契約相手誰なの?」
「この前ファミレスにいらっしゃった天使さんかベルゼさんでしょうね」
「違う違う!誰があんな奴らと契約するかっての!これも髪も血継限界的なやつなんだって」
「血継限界?戸室家ってそんなのあったっけ?あ、綾のお父さんかな」
「確かに有り得ますね、英雄ヤマトタケルの家系ですもの」
「うーん、もうそれでいいよ······。」
アリスも同じだし。
「そういえばレイちゃん、プールの時どうして空から?」
「············。」
返事が無い。いつの間に屍となったのだろう。
「レイちゃん?」
「スピー、スピー」
「寝てる!!」
立派な鼻提灯まで付けてやがる。プールという名の鬼畜バレーの授業で疲れたのだろうか。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「アダムの死滅条件には2つの説があり、細胞の大半の死滅で達成するルベルクス説と、全細胞の完全死滅により達成されるプラナリア説があり────」
「スピー、スピー」
授業中でも容赦なく眠るレイちゃん。寝顔が可愛らしい。
よくよく見回してみるとこの教室、少し異常である。
第1に無限転生者である私。第2に空から降ってくる謎転校生天野レイ。第3第4に露出癖の変態御手洗楓夏と平井稜葵。第5にストーカーの御手洗黒。第6に問題児天木幽。第7に、最近ただならぬ目で私を見てくる米良大智だ。惚れた?私に惚れたのかね?ならば死ね。
うちの学年は合計10クラスあり、うちのクラスは3年1組32人といったところだ。そういえば、この学校に転校生なんてものは数年に一人だけという割合なのだとか。仕組みなんてものはよく分からないが、レイも此処に来るのに7年もかかったと言っていたし相当難しいのだろう。
「それでは天野レイ。魔法でも魔術でも超能力でもない、特殊能力者とは何なのか説明してみてくれ。」
「えっ!?あ、はい綾ちゃんのことです!」
突如先生に質問されたレイはビックリ仰天起立で回答する。私の方がビックリするよ。
「い、いやそうじゃなくてだな······。それじゃあ戸室綾、天野の代理として説明してくれ。」
いや、一応私が特殊能力者っていうのは合ってるんだけどね?ていうかレイちゃんのせいで飛び火してきたよ······。
「特殊能力者っていうのは、魔法や魔術と違って魔力は扱わず、超能力者の様に多芸多才ではなく、馬鹿の一つ覚えの様に一つの能力しか使えない人の事です。」
「く、口が悪いなぁ······。で、では平井稜葵。特殊能力者には先天性と後天性があるが、後天性の者の能力の発芽条件を3説言ってくれ。」
「はい。一つ目は、生まれた時から隠れ持っていたものが急に効力を発揮し始める沸騰説。二つ目は、何らかの人体実験により発芽する養殖説。三つ目は、何らかの本人の強い願望によって発芽する願い説です。」
「うん、正解だ。そして、この様に特殊能力は大袈裟に説明されたりしてはいるが、実際は大きな能力もあれば小さな能力もある。もしかしたら皆は小さすぎて気付いていないだけで、実は特殊能力者だったっていう事もある。例えば、自分にとってそれが当たり前の事であっても、他人からすれば当たり前じゃないって事があるかもしれない。そういう時、皆はそれを否定せず、心から受け入れてあげよう。これが日本人の魂であり、この学校のモットーだ。」
キーンコーンカーンコーン。
「それでは今回の授業はこれで終了だ。姫路、号令してくれ。」
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