第33話 インビジブルオブデス2
出雲校では小等部にて心理学の授業が導入されている。特に知識を溜めるという目的ではなく、道徳の授業よりも道徳性が高いのではという理屈で採用された。別段頻度が高いというわけでもなく、代わりに国語の授業数が増えた感じである。
しかし、一つの問題が生まれた。弱い者いじめはダメとして教育され続けてきた子供達は、反動として中等部にて"強い者いじめ"というものを流行らせた。
最初は皆より優れた傲慢な者を集団無視したりする程度であったが、時が経つにつれて優れた気の弱い者を虐めるようになった。狡賢い者は弱い振りをし、その虐めに参加している。
強い者いじめという、この局地的に発生した文化の実態は、ただの弱いフリをした強者によるたんなる弱い者虐めとなっていた。
「ねえ君、大丈夫?もしかしてプール嫌い?」
独りの少女に話かけてみる。
「え?誰ですか貴女、もしかしてロリコンのかたですか?だったら、残念ながら私はこう見えて15歳なんです。子供ではありませんので。」
「誰がロリコンよ!むしろ私がロリータだわ!」
「何がロリータですか、ロリータがそんな巨乳なわけないでしょう?」
うっ、痛いところを突かれた。
「そんな事より、顔が暗いよ?1人だし。何かあったの?」
「何でもありませんよ、私のプライベートの問題ですから貴女には関係ありません。」
「うーん、そこまで言われると、仕方ないなぁ。」
私の心が胸と共に萎む。スク水が少しガボガボになったので、やっぱり膨らまし直す。
高等部側に戻ってみると、
「うおおお!綾ちゃん胸でけぇ!!」
黒が興奮している。それにつられて他の男共からの視線が私に集中する。ムカつく。
「あっら〜?黒ってば巨乳好きだったの?お姉ちゃん知らなかったなぁ〜。」
楓夏が更衣室から出てきた。全身モザイクで。
「ちょっ!バカ楓夏!!公衆の場でそんな格好するな!!」
「はぁ!?姉ちゃん何マッパになってんの!?」
「私の直感が言ったのさ、今日が全てをさらけ出す日だと!!それに黒だって昨日綾の家でさらけ出したらしいじゃん!どうせだからお前も脱げ!」
「なるほど!!よし、ならば脱ぐしかあるまぶへしっ!!」
黒の頭上にタライを作って落とす。
「ほんっと、オフの黒は貧弱だねぇ。」
天木が倒れた黒に近づき、さり気に脱がす。
「おおっと、危ない危ない。それに比べ綾はいつも攻撃的だよね〜。」
天木にタライを四発ほどくれてやるが、華麗に全て避けられてしまう。
天木幽は常日頃から気を抜いていないので忍者として強いと思われがちなのであるが、実際のところ実力として同年代では黒が一番強いのである。
「ううっ、タライって意外と痛いんだな。」
「そうだよ黒。さぁ俺の手に掴まっておくれ?」
「ああ、ありがとう幽。」
天木が黒の手を取って、起き上がらせようとする。腐女子なら妄想の一つや二つは容易であろう。
「キャッチ&リリース!!」
「うあああああああああああ!!」
そのまま天木が黒をプールに投げ飛ばす。色々ぶち壊すナイスショット。流石天木である。
\ドボーン/
「こぅら御手洗黒ぉ!!オドレなに体操もせずプール入っとんじゃあ!!」
体育担当教師が怒り狂って黒を捕まえようとする。
「待って!俺のせいじゃなくて幽が投げたんだって!」
「黙れい!!言い訳は反省文にきっちり書かせたるわ!!」
逃げる黒だが、この体育教師は元甲賀である。逃げ切れよう筈もない。てか怖い。
「あはは!黒ってば怒られてやんの!」
「アンタはさっさと服着てこい!」
「えぇ?別にいいじゃないの。稜葵も脱いでるんだから。」
「楓夏ちゃんの言う通りです。全身モザイクは人間三大欲求の衣食住の衣ですよ?逆らえよう筈もありません。」
「モザイクが服なわけあるか!アンタらは衣食住の衣を捨ててるだけじゃん!」
教師の方を見てみると、鬼教師と黒の姿は消え、女性職員の2人しか残っていなかった。又、その2人共ががコチラを睨んでおり。
「テメェら、今すぐゴートゥー職員室だ······。」
鬼教師2号と3号がバカ2人に出撃する。
よっしゃ!今日のプールは自由という名の下の自習である。3人は自由の為の尊い犠牲となったのだ······。




