第31話 虹の死界1
私は3年間、しょっちゅう謎の霏へ通って過ごした。
既に年齢は五歳となる。霏を通して獲得した能力もだんだん自在に使えるようになって来た。ちなみに、アリスやアリシアに触らせてみたが何も起こらなかった。
能力は、生産と増幅。直接触れて読み取った物体を作り出すことが出来、さらに、何かしらのエネルギーを増幅させることが出来る。
例えば、売ってある商品を読み取って家に帰ってから作り出したり、移動時に発生する速度を増幅して時間短縮を図ったり。
TPO能力もそれなりに扱える様になった。鏡を使って、戸室綾だった頃の自分の姿を真似てみたり。
そんなある日、三年前のあの日から私にベッタベタのアリスにこんな事を聞いてみる。
「そういえば、アリスって前世はどんな感じだったの?」
「え?前世?どんなって例えばどんな?」
「うーん、例えば氏名住所年齢家族構成趣味とか癖とか。」
「えぇ、それストーカーとか詐欺師が聞いてくる質問だよ。」
「大丈夫だよ、どうせあの世界にはもう戻れないんだろうし。」
「分かったよぉ。······私の前世の名前は大和佳代って言うの。」
「へぇー、私の親父も大和って苗字だったらしいよ。」
「えっとね?そ、その······。実は異母姉妹なの、私達。」
「は?異母姉妹?ごめんちょっと上手く聞き取れなかった。」
「異母姉妹なんだよお姉ちゃん!私達!」
「は!?アンタってクソ親父の子供なの!?」
「クソって言っても、お姉ちゃん側で何があったのかは分からないけど、それなりに父親だよ?」
「っていうか、アイツ再婚してたのかよ。」
アホ神の言っていたゲストという言葉の本当の意味を五年越しに理解したよ。まさか私に異母姉妹が居ただなんて······。
「とかいってもさ、どうして私がその異母姉妹だって気付いたの?」
「昔、天使さんが"綾"って言ってたからもしかしてって思って、試しに手裏剣を渡してみたら大当たりだったの。」
「ていうかクソ親父め、アリスに、いや、佳代にだけ私の存在を教えておいて私には佳代の事を教えないだなんて······。やっぱりアリスの方がシックリくるや。」
まさか、あの時の手裏剣が決め手となっていただなんて。確かに、あの時出たのが手裏剣だったのは、偶然にしては出来すぎていた気がしていた。
「え?異母姉妹?あなた達は2人とも私から産まれた筈だけれど?」
アリシアが会話に乱入してくる。確かにアンタの腹から産まれたけどさ。
「いや、そうじゃないの。私とアリスの前世の話なの。」
「前世?ああ納得だわ。それよりクリスチャン、玄関にお客様が来てるわよ?」
「お客様?この世界で私と顔見知りっていったら家族を除くとクソ天使とアホ神くらいしか居ない筈なんだけど。」
疑問を抱きながら玄関を開けると、巨大なトカゲのような顔が目の前にあった。
「我が名は竜王!!貴様を殺しに来た者だ!!」
「はいはいちょっとストップストップ。声が家の中で反響して耳痛いからとりあえず移動しよ?」
「五月蝿い!こんな家なんて消し炭にしてくれるわ!!」
私の提案に目もくれず、その大きな口から炎を吐き出す。
「うっわ、熱っ!!」
ギリギリで避けるが、余波が熱い。TPO能力が無かったら死にかけてたところである。
「お姉ちゃん!大丈夫!?」
「大丈夫!アリスはアリシアとクリスバードを連れて遠くに逃げて!」
3人が裏口から逃げていくのを見届ける。
「ふん!あの様な奴らなど勝手に逃げればよいのだ!」
「おいアンタ!いったい何のつもりなの!」
「何のつもりだと?それは此方のセリフだ!我はこの近所に住んでいるが、毎日毎日貴様らの騒音に悩まされているのだ!今まで我慢していたが、もう我慢の限界なのだ!だから死ねい!!」
竜王は騒音が五月蝿いからという理由で我が家を焼いたのだという。これは過剰というものだ。
「そうかそうか、だったら私にも考えがある。アンタが死ね!!」
「我に勝てると思い上がるな雑種犬が!!」
竜王がまたブレスを吐いてくる。それに対し、私はTPO能力を用いて身体能力を強化する。
うっ、水着回まで長い······。




