第22話 暴食2
テレレンテレレン。
入店すると、SEと同時に女店員がやって来る。
「いらっしゃいませー。何名様でしょうか?ドリンクバーは使いますか?ポテトをお付け致しましょうか?」
ドリンクバーは注文の際に聞く内容でしょ······。ていうかポテトって、ハンバーガーショップじゃないんだからさ。
「見ての通り三名です。」
「私が見る限り洋風イケメソが少女と幼女を拉致して来て事案が発生してる様に思われますが?」
何この店員。アホ神の影響を受けてるにしてもアウェイな質問をしてくる。もしかして元私の同士だな?それに、私はこの世界での年齢は既に大人だし、肉体年齢は幼女だもん。
「ご心配なさらず、こんな痩せこけた奴なんか一瞬で塵に出来ますから。」
「え!?塵!?俺まだ死にたくない!」
「桃も、こんなのワンパン。」
「やめて!俺こう見えてそこそこ強いんだよ!?それに人権もちゃんとあるんだからな!」
そうこうしている内にいつの間にかテーブル席へと案内されていた。あの店員、出来る!
「なぁなぁ〜、さっきのドリンクバーってなんだよ。俺のイメージだと砂漠から湧き出るオアシスな感じなんだけど。」
「ドリンクバーっていうのは、あの機械の中に入ってる飲み物を飲み放題出来るってシステムよ。」
ドリンクバーを指差しながら親切に教えてあげる。
「それよりも、何を注文するつもりなの?今手元に4千円しか無いから、それ以内におさめて欲しいけど。」
「桃は、これ。ドリンクバーってゆうのとお子様ランチセット?っての食べたい。」
「うんうん。微笑ましくてナイスチョイスだよね。安いし。」
「俺はドリンクバーってのと、全部食べたい。」
「ふぁっ、バカ?アホ通り越してバカになったの?私、今金が4千しかないって言ったばっかよね?4万じゃないよ?4千だよ?」
この街に居る限り誰であろうとアホになるが、たぶんコイツは最初からバカなのだ。
「えぇ?ダメなの?なら何を食べりゃいいのさ?」
「分かった分かった、私が決めてあげるから。アンタはコップに水入れてきて。」
「え?水?それどこにあるの?」
「ドリンクバーの隣に水って書いてあるでしょ!それくらい自分でなんとかしろ!」
「いやいや、俺ひらがなは読めても漢字読めねぇし。」
「まさか逆さ名探偵だとは······。」
そうすると、バカがやれやれという風に立ち上がり、水を汲みに行く。
それを見送り、とりあえずメニューを取り上げて注文内容を決める。
「アイツ沢山食べたがってたし、ネギトロ丼3杯でいいかな。」
アイツ洋風だし。
注文も決まったので、店員を呼ぼうとするが呼鈴が無い事に気づく。
「あっ、そっか。こっちだとイアゼウスパスが基本なんだった。」
「ん?綾、イアゼウスなんとかって何?」
「そうね、桃ちゃんは知らなかったね。えーっと、実物があればなぁ。」
実物があれば説明がしやすいんだがなぁ、と思って隣のテーブル席を見ると、一発でユーザーを見つける。
無表情でゲームに熱中している、典型的な依存者だ。
「あの人が耳に着けてるのがイアゼウスパス。アレを着けると、本人にしか見えないVRが展開されて色んな事ができるの。」
「色んなって、どんな?」
「どんなって言われても、ゲームとかSNSとかネットサーフィンとか?」
「綾、私の知らない言葉ばっか使う、いじわる。」
桃ちゃんが拗ねた様にそっぽを向く。流石に知らなすぎでしょ······。
私のイアゼウスパスは転生の際に消失しているので実質昨日失くしたようなものだ。なので、直接さっきの店員に出向いて注文する。
「あらま、それは災難ねぇ。それにしてもトラックと衝突事故起こして無傷なのに、イアゼウスパスだけ壊れるってどういうこと?」
この店員、アホなくせに察し力強い。
「ねぇ天使さん!この子イアゼウスパス壊れちゃってるんだって!」
あまつか?あまつか······天使······てんし、もしや。
「ドゥドゥ、安心してください、私はこの人と顔見知りなので。後の対応は私に任せてください。」
とのように、クソ天使ことミカエルが登場するのであった。




