第21話 虹の世界1
※この作品はフィクションであり、実際の団体や個人、出来事とは一切の関係はありません。
眼を開けると、そこは知らない虹色の天井······オエっ。虹色が虹々過ぎて吐き気を催す。コレは何がどうなっているのかと、状況を確認する為に周囲を見回す。
辺り一面虹色であった。コレは吐けという合図なのだろうか。ゲロイン誕生計画始動なのだろうか。
そんな事を思っていると、虹色でないものが目に入る。二人の若い男女だ。男の方は金髪に整った顔で高身長スリム、女の方は羊の様な角が生えてピンクショートヘアで巨乳である。いつも貧乳である私の嫌悪の対象となりうるだろう。
すると、二人が私に近づいて来る。声をかけようとするが、思うように声が出ない。
「ああ〜。」
「おいアリシア!今声を出したぞ!」
「あらホントだわ!産まれて間も無いのに凄いわ!」
声を出すのに失敗した私をからかうかの様に二人が会話を始める。売られた喧嘩は買わせてもらおうともう一度声を出そうと試してみたが失敗してしまう。
そこで私は、自分が転生させられたのだということを思い出す。
すると、私の下側からも何か、
「あう〜。」
という声が聴こえる。
何なのだろうかと下を見てみると、ピンク髪の赤子が私の下敷きになっていた。
「ねぇクリスバード!今声を出したわ!」
「ああホントだ!産まれて間も無いのに凄いな!」
察するに、この二人がこの世界における私と私の下敷きになってる子の両親なのだろう。ていうかクリスバードって何、格闘技したいの?
「それじゃあ名前を付けてあげようか、双子だから似てる名前がいいよな!」
「そうね。私はこちらの子を名付けましょう。」
アリシアはそう言いながら私の下敷きになってる子を抱き上げる。
アホなのだろうか、無理矢理下の子をあげたせいで私がベッドの様な所から転がり落ちる。落ちた衝撃で身体のあちこちが潰れた感じがした。
しかし、クリスバードが私に両手を翳し、
「ヒール!」
と言い、回復魔法を行使してくる。
確か、回復魔法というのはアスクム帝国でも一部の人間しか扱えない高等技術であった筈だ。いとも容易くこんな芸当を見せてくるとは、このクリスバードもしや只者ではないな?
「流石はエルフよね、回復魔法が使えるだなんて。」
「何を言ってるんだい。君の種族スキルが継承されてるから、ヒール程度で助かるんだろう?」
私は聴き逃していない、アリシアさん今このクリスバードをエルフと申しましたね?ならば、回復魔法なんてものを扱えるのにも納得である。サブカルでも神話でも、エルフは魔法の扱いに非常に秀でているのだから。
「こんなの気休めの様なものよ。肉体操作なんて変装や病気の予防にしかならないもの。」
「いや、だが怪我対策にもなるだろう?」
「え?怪我って病気だったの?」
「············。」
少々の沈黙が続く。抱き上げられてる子は既に眠っている。
「な、名前を付けましょうか。」
「そ、そうだな。まずアリシアの方から決めてくれ。」
「うーん、じゃあ、アリスって名前にしましょう!」
「そりゃあ良い名前だな!」
私もそりゃあ良い名前だな!と言いたい気分である。これならば、私も良い感じの名前を付けてくれるだろう、そう思った。
「こっちはどうしようかな。そうだ、クリスチャンって名前はどうだ?俺の名前のクリスと女性を飛ぶ時に付けるチャンを組み合わせたんだ!」
「それは良いアイディアね!天地創造の神が考えそうな名前よ!」
偶然なのか、わざとなのか、はたまたバカなのか。クリスチャンっていうのは宗教者の総称を指す言葉だっての!天地創造の神が『君の名前ナンセンス』って言いそうな名前だよ!
「そういえばクリスバード、どちらが姉でどちらが妹だったかしら?」
アリシアがクリスバードに一つの疑問をぶつける。なるほど、私は今回も女性というわけか。ついでに、今眠ってる子も女の子ということとなる。
「何を今更言ってるんだいアリシア。さっき見分けがつきやすい様に姉の方を上に、妹の方を下に重ねたじゃないか。」
なるほど、私が姉か。っていうか、重ねてた理由ってそれなの!?もっと他に方法あったよね!
「ま、どっちが姉か妹かなんてどうでもいいけどな。なんたってこの子達以外はみんな同時に産まれた家族みたいなもんなんだから。」
私達以外はみんな同時に産まれた?どういう意味なのだろうか。
「そうよね、私達みんな五分前に産まれたばかりよね。」
なるほど、この世界が五分前に出来たからコイツらもみんな五分前に産まれ······意味わかんない。
それにしても、家族かぁ。前世では私は殆どを1人で過ごしたからなぁ。その前でもほぼほぼ1人だったし、ポンコツだけどこれはこれで嬉しいものだ。それに妹だっている。アホ神が別れ際に言っていたゲスなんトかっていうのは恐らくこの子の事なのだろう。アホにしては粋な計らいをするものだ。
よし、名前も決めてもらった事だし、私もそろそろ限界である。······ゲロイン誕生だ!
作者は書きながら進化するってこれいちばん




