第19話 プロローグ
九月七日金曜日、天候は晴れ。まだ暑いが、時々雲が太陽を塞ぎ、一瞬の安らぎを与えてくれる。
今こうしてこの1日を感じているが、私の体感時間では7年前にもこの1日を今と違う肌で感じ取っていた。
段々と夕焼け色に染まっていくノスタルジックな空を眺めていると、気分が良くなってきた。
それに、機会も良いので今日は私があの、虹の世界という異世界へ飛ばされた時の話をしよう。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
昨晩は雨だったが、朝には太陽がウザったらしい程にギンギラしていた。
自転車通学である私は、それはそれで良いかと思い自転車に跨る。
私はマンションに住んでいるので、学校へは国道二号線に沿って進めば10分もかからない。
ということで、いつも通り歩道を高速で進むのだが、私は少しの違和感を感じた。
いや、違和感というより眩暈と言った方が正しい。そのせいか前輪がスリップし、身体が道路へ投げ出される。丁度ガードレールが無い場所での転倒だった。
「いったた〜、今の何だったの〜?」
軽い愚痴を零しながらも、スグに自転車を直そうと起き上がろうとするが、
ヴァッヴァァァァァ!!
とのように大型トラックがブレーキも踏まずに突っ込んでくるのだ。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「これって異世界に転生するやつ!?」
目を開けると共にそう叫んでみる。
視界には白い空間が広がり、目の前には二人の少女が立っていた。
「おっ、せいか〜い!君ってもしかしてテレパシー能力者?ああ〜、確かにありそうだね。」
神々しい金髪ロングのアホ毛が私の独り言に反応してくる。
「テレパシー能力者?偶然にしては変なのが釣れましたね。」
神々アホ毛に続き天使っぽいのが口を開く。こちらも金髪ロングであるが、背中から大きな翼が生え、鎧を着ており帯剣もしている。そして勿論私はその言葉のおかしな点に気づき、
「偶然?釣れた?え?え?何?もしかして私を殺した犯人ってあんたら?」
「おお〜、それも正解だよ〜!なんと君は私が作った裏世界に転生する権利と義務が与えられたんだよ!」
予想内の反応を見せてくれたので、顎に人差し指と親指を当て少し吟味してみる。
「この子急に黙りこくっちゃいましたけど、言葉の意味が分からないんじゃないですか?」
「分からないことはないからね!分かってるけど、分かっちゃいるけどその裏世界っていう意味の真意を探索してたんだよ!」
なんだこのクソ天使って思った私は弁解の余地を試む。
するとアホ毛が、
「ああ〜、裏世界ってゆうのは、君たちがいつも暮らしてる世界の空間的裏に存在する世界のことだよ〜。それでこの裏世界っていうのはね〜、私達土地神が管理することになってるの。それで、先代の土地神がポックリ逝ったから、交代した私が裏世界を作り直しちゃったの。だけど私が作った住民だけじゃつまんないから現世から試しに誰か連れてこようかなって思って。」
とんでもない事を言い出す。
土地神が変わったから裏世界を作り直した?何それ、異世界ってそんなのだっけ。
「土地神ってまさかイザナミ様のこと?」
「ん〜?ちょっと違うかな〜。土地神っていうのは世界各地にランダムでその土地に帰する名も無い神様みたいなものだよ。そのイザナミって神様は名前があるし、たぶん独立神だから土地神ではないよ、きっと。」
ふう良かった、と胸をなで下ろす。
イザナミ様の座がこんな緩いやつに代わられたら日本が滅亡していただろう。
「それにしても名前かぁ、そうだ、私ってまだ自己紹介してなかったよね。私の名前は戸室綾。イザナミ様の祠を護ってる甲賀だよ。」
「そうでしたね、私はミカエルと言います。以後宜しく。」
「私は〜、そうだね〜。メタトロンとでも名乗っとこうかな〜。」
それぞれが自己紹介をする。名前以外言ったの私だけだったね、悲しい。てかこの神様、名前ないって言っときながら名乗っちゃってるし。
されど、ミカエルという名前には聞き覚えがある。ゲームでよく強キャラとして登場する名前だ。
「ミカエルってあの天使ミカエル!?本物?」
「ええ本物ですよ、先の戦争の生き残りです。」
「え?戦争の生き残り?って事はつまりアンタが東日本と四国吹っ飛ばした張本人?」
「ちょっと語弊がありますが、大体合ってます。確かに私はその辺攻めたりしましたが、今はソロモンの呪縛から解き放たれ好き勝手遊んでますので安心してください。」
語弊?何の事だろうか、それよりも特S級の犯罪者とエンカウントしてしまうだなんて、今日の私はなんて不幸なのだろうか。ていうか死んでるし。
「質問はもう終わり?終わったんならもう転生させちゃうよ〜!」
「ああうん、もう面倒臭くなったんでやっちゃって下さい。」
アホ神がそう訊ねてきたので適当に返事しておく。
「それじゃあ、いってらっしゃ〜い!あっ、言い忘れてたけど、ゲストもよ────」
私が光に包まれてどこかへ飛んでいくのを感じる。アホ神が何か言いかけていたが、飛ばす前に余裕を持って言って欲しかったものである。やっぱりアホ毛というステータスは伊達ではないのだろう。
私の作品はどちらかというと変則なので、理解していただけると幸い致す。




