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カイロスの覚醒  作者: レオン


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第9章 — 忘れ去られし神の咆哮

街を壊滅させた二人の激突が、今、頂点に達する。リーの放つ怒りの炎と、カイロスの圧倒的な神の力。リーは必死にレオンの意識を取り戻そうと拳を振るうが、カイロスが内包する「絶望」の深淵は想像を絶するものだった。神としての傲慢さ、そしてかつて創造主であったゆえの孤独。神と人の、運命を懸けた戦いが始まる。

惑星の空は死に絶えたかのようだった。

黒い雲が星々を覆い隠している。荒廃した小さな街の建物と建物の間を、奇妙な音が吹き抜けていく。

ウゥゥゥゥ……。

まるで嘆き声のように。誰かが泣いているかのように。あるいは、何かを探し求めているかのように。

リーは瓦礫の中を歩いていた。

拳を固く握りしめ、心臓は早鐘を打つ。周囲には開け放たれたドア、壊れた窓、路上に飛び散った血痕。しかし、死体はない。音もない。人の気配もない。

ただ、静寂。

そのあまりの重苦しさに、リーの本能が悲鳴を上げていた。

その時……

コンッ。

リーは足を止め、振り返る。何もいない。

コンッ。

今度は通りの反対側から。

誰かが木を叩くような音。ゆっくりと、律儀なリズムで。

コンッ……コンッ……コンッ……。

リーは目を閉じ、深く息を吐いた。

「さっさと出てこい」

静寂。

そして、声が応えた。

「誰かを探しているのか?」

リーは即座に振り向く。屋根の上に、レオンがいた。

いや、レオンの姿をした何かだ。黄色い瞳が輝き、深く歪んだ笑みを浮かべている。首を傾げ、獲物を狙う捕食者のように彼を観察していた。

リーは胃の奥が凍りつくのを感じた。

「レオン」

「フン?」

「戻れ」

笑みが深まる。

「断る」

爆風が吹き荒れた。

ドォォォォォォン!!

リーが消失し、屋根が粉砕される。石が飛び、木材が砕け散る。だが、土煙が晴れたとき、そこにレオンの姿はなかった。

笑い声が響く。

「ハハハハハハ……お前は相変わらず遅いな」

リーが背後に現れ、拳を叩き込む。カイロスは片手でそれを受け止めた。

衝撃で地面が陥没し、都市を貫く衝撃波が駆け抜ける。窓ガラスが爆発し、電柱が倒れ込む。しかし、カイロスは一歩も動かない。

「これが貴様の全力か?」

リーはオーラを増幅させた。紅蓮の炎が爆発し、空気が震え、地面が溶解する。

カイロスは興味深そうに観察した。

「いいぞ……これこそが、あの娘の兄か」

リーは再び消失し、今度は上空から現れた。右膝が顔面に叩き込まれる。

ドォォォォォン!!

カイロスが三つのビルを貫通し、建造物が崩壊する。砂塵が辺りを覆った。

リーは着地し、荒い息を吐く。

一瞬の静寂。

だが、瓦礫の間から手が突き出た。もう片方も。カイロスは無傷のまま歩み出て、拍手を送った。

「感服した。実に素晴らしい。イエスが貴様をあれほど気に入る理由が分かったよ」

リーが踏み込む。

「黙れ!」

二人が消失し、激突の音が連鎖する。

ドォォン! ドォォン! ドォォォン!!

ビルが爆発し、通りが裂け、遠くの山々が震える。もはや誰にも目で追うことはできない。空を横切る赤と黄色の光の尾のみ。

ついにリーの拳が命中した。

腹部への完璧な一撃。カイロスは数キロ先まで吹き飛ばされ、山を一つ、二つ、三つと貫いていった。

リーは休まない。即座に追いつき、蹴り、肘打ち、膝蹴り。拳。拳。拳。

一撃ごとに惑星が悲鳴を上げる。

それでもカイロスは笑っていた。打たれながら、踏みつぶされながら、彼は笑っていた。

「ハハハハハハ!! これだ!! これを待ちわびていたんだ!!」

リーが咆哮する。炎が爆発し、赤い海と化した。そして、最大の一撃を放った。

ドォォォォォォォォォォン!!!

大陸全土を照らすほどの爆発。

煙が晴れたとき、カイロスは片膝をついていた。顔は血に染まっている。だが、彼は笑っていた。

「ようやく……」

彼は頭を上げた。黄色い瞳が輝く。

「私の番だ」

リーは感じた。初めての、死の予感を。

カイロスが指を一本立てる。

世界が変わった。

街も、山も、空も、惑星さえも消えた。リーは絶対的な虚無の中に立っていた。無限の闇の中に。

「何だ……これは……」

カイロスの声が全方位から響く。

「ようこそ。私の精神世界へ」

影が現れ始めた。数千。数百万。人々、種族、兵士、惑星。すべてが死体となり、空虚な目でリーを見つめている。

そしてカイロスが現れた。死体の山の上に、王のように座して。

「美しいだろう?」

リーは拳を握る。

「貴様は病んでいる」

「違う」カイロスは微笑む。「私は正直なだけだ」

彼は影を指差した。

「これが宇宙だ。これがクリーチャーの本質だ。強欲、戦争、裏切り、痛み、死……」

影が一斉に叫び声を上げた。狂気に満ちた大合唱。リーは頭痛に襲われるが、踏みとどまった。

「レオンは、そんなものは信じない」

カイロスの笑みが消えた。

「知っている。それが問題なんだ」

一瞬、彼の声から傲慢さが消え、苦渋が混じった。

「あいつは信じている。みんなを。……私でさえも」

リーは悟る。その声に宿る痛み。

カイロスは虚空を見つめた。

「馬鹿め……あいつは救いようのない馬鹿だ。私が何をしても……まだ私を救おうとしている」

リーは黙る。

カイロスは再び立ち上がった。

「だが関係ない。あいつは壊れる。他の全てと同じように」

暗闇が消え、二人は現実に戻った。

上空で、満月がレオンの体を照らす。風が渦巻き、雲が回転し、惑星そのものがかつての創造主を認めたかのように共鳴する。

リーは目を見開いた。

「まさか……」

カイロスが笑う。

「そうだ」

凄まじいエネルギーが爆発した。地面が沈み、山が崩れ、遠くの海が荒れ狂う。重力すら不安定になった。

リーは心臓が跳ね上がるのを感じた。自分の遥か高みに立つ何かに直面している。

カイロスが目を開いた。二つの黄色い太陽のように輝く瞳で。

「続けよう。なぜなら、今からは……」

彼が一歩踏み出すと、背後の空間がガラスのように砕け散った。

「遊びは終わりだ」

リーの表情が固まる。紅蓮の炎がさらに激しく燃え上がる。たとえ勝算がなくとも、彼は戦う構えをとった。真の戦いは、今始まったばかりなのだ。

宇宙の遥か彼方。組織の船で、ララは窓の外を見つめていた。胸が張り裂けそうだ。何かを求めて叫んでいるかのように。彼女はガラスに手を当て、囁いた。

「持ちこたえて……」

宇宙の反対側で、リーとカイロスが同時に踏み込んだ。

空が光の中に爆発する。

続く……

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。リーとカイロス、ついに激突です! カイロスの内に秘められたレオンへの複雑な感情、そして神としての孤独が垣間見えた今回。次章では、いよいよ物語はさらなる高みへ――。ララが到着するまで、リーは持ちこたえられるのでしょうか? 次回も更新をお楽しみに!

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