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カイロスの覚醒  作者: レオン


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第5章 — 満月の夜

霧に包まれた山脈。古びた木造の家が、まるで忘れ去られたかのように佇んでいる。

リーはレオンを守るため、その静寂の地へ彼を置いた。しかし、その決断が引き起こす代償はあまりにも重い。

古の神「カイロス」の影が、満月の夜に牙を剥く。封印は破られ、恐怖の宴が幕を開ける。

挿絵(By みてみん)霧が山々を覆っていた。

乾燥した木々の間を風が通り抜け、音を立てる。

小さな木造の家は、何もない荒野の真ん中で迷子になったかのように佇んでいる。

忘れ去られた場所。

本来、誰一人として一人で留まるべきではない場所。

しかし、それこそがリーがレオンを置き去りにした場所だった。

巫女の元へ

リーは暗い小道を早足で歩いていた。

巫女の言葉が、まだ頭の中で鳴り響いている。

彼女の小さな小屋に再び到着すると、その女性はすでに古びた巻物に囲まれていた。

古い本。

アーティファクト。

床にはルーン文字が描かれている。

彼女は懸命に、そして深く懸念しているようだった。

リーは即座に察した。

「何か見つけたのか?」

彼女は目を上げた。

「ええ、見つけてしまいました」

周囲に沈黙が流れる。

「そして、見つけたものに満足はしていません」

リーは腕を組んだ。

「話してくれ」

巫女は深く息を吸った。

「古の神々の記録をすべて調べました。そして、あの存在の気配……」

彼女は言葉を詰まらせた。

「本来、存在してはならないものと同じです」

リーは真剣な眼差しを向けた。

「カイロスか」

女性は頷いた。

「ええ。破壊の神。種族の創造主。天界の暴君」

その名前が、空気をさらに重くさせた。

リーはその物語を知っていた。だが、あえて驚いたふりをした。

「確かなのか?」

「絶対です」

彼女は古い写本を開いた。

そこには翼を持つ怪物が描かれていた。黄色い瞳。黒い翼。巨大な牙。

悪夢の中に現れる、あのクリーチャーと同一のものだった。

「以前にも宿主がいました。『リム』という者です」

リーは黙ったままでいる。

「その先はご存じでしょう。しかし、彼がどのようにして消えたのかは、誰にも分かりません」

彼女は本を閉じた。

「破壊されたと言う者もいれば、天に昇ったと言う者もいます。あるいは、クリザードのどこか隠された場所で支配を続けていると主張する者もいます。誰も、真実を知りません」

リーはため息をついた。

「ならば、どうやって防げばいい?」

巫女は別の巻物を指差した。

「彼を打ち倒した唯一のものがあります。アザゼルが創り出した禁忌の魔法です」

リーは目を見開いた。

「アザゼルだと?」

「ええ。リムの時代以前に、彼を封印するために使われたものと同じ魔法です」

彼女はシンボルを描き始めた。

「この封印の一部を再現することは可能です。ですが、あの家には行きません。死んでも嫌です」

リーは驚いた。

「恐れているのか?」

女性は迷わず答えた。

「ええ」

静寂が訪れる。

「では、教えてくれ」

彼女は小さな封印札を渡した。

「これをドアに貼りなさい。そして待つのです。私が魔法を準備している間……」

リーはその品を懐に収めた。

「その次は?」

女性は真剣な表情で言った。

「その次は? ……祈りなさい」

封印

山の家に戻ったとき、すでに夜が始まっていた。

レオンは依然として縁側に座り、退屈そうに小さな石を山の下へ投げ続けていた。

「遅かったな」

「話が長引いてな」

リーはドアに封印札を貼った。

小さなルーンが輝き、やがて消えた。

レオンが見つめる。

「なんだ、それ?」

「訓練だ」

「訓練?」

「精神のな」

レオンは顔をしかめた。

「あーあ……」

訓練

二人は床に座った。

蓮華座を組む。

目を閉じる。

静寂。

ただ風の音だけが聞こえる。

数分間、すべてが平穏だった。

すると……

コンッ。

リーが片目を開ける。

何もいない。

瞑想に戻る。

コンッ。

コンッ。

今度は強く。壁を叩くような音。

リーはレオンを見た。

少年は微動だにせず、静かな呼吸を続けている。何も聞こえていないかのように。

コンッ。

コンッ。

コンッ。

壁全体が振動した。

リーは立ち上がり、ドアを開けた。

誰もいない。完全に無人だった。

家の中に戻る。

レオンは依然として穏やかだった。

最初の音

数分後。

別の音がした。

ミシッ……。

木が軋む音。

そしてもう一度。

ミシィィィィッ。

天井から音がする。

リーが顔を上げる。

何もいない。

だが今度は、足音が聞こえた。

駆け回る足音。

ドタッ。

ドタッ。

ドタッ。

子供が遊んでいるかのように。彼らの頭上、屋根の上で。

レオンが目を開けた。

「大丈夫か?」

「聞こえたか?」

「何が?」

リーは身動きを止めない。

「……何でもない」

レオンは肩をすくめた。

「パラノイアになってるぞ」

さらに数分。

静寂。

そして……声がした。

非常に近くで。まるで耳元で囁かれているかのように。

「リィィィ……」

リーは即座に目を見開いた。

何もいない。

「リィィィ……」

今度は反対側から。

「リィィィ……」

背後から。

リーは再び立ち上がった。

心臓が激しく脈打ち、額から汗が流れる。

レオンは座り続けていた。

動かず。穏やかに。

まるで悪夢から完全に隔絶されているかのように。

会話

リーは座り直した。冷静さを保とうと努めながら。

「レオン」

「ん?」

「何か奇妙な感じはするか?」

「ああ」

「何だ?」

「退屈だ」

リーは目を閉じた。

「真剣に話しているんだ」

「俺もだよ」

「すごく暇なんだ。格闘訓練しようぜ」

「ダメだ」

「どうして?」

「外に盗賊がいる。注意を引きたくないんだ」

レオンはため息をついた。

「俺たちがなんでここにいるのか、まだ分かってないんだ」

「そのうち分かる」

「分かったよ」

レオンは瞑想に戻り、リーは正気を失い始めていた。

囁き

夜が深まる。

空は完全に闇に包まれた。

そして、最悪の局面が訪れる。

声が戻ってきた。

しかし今度は……

ただ呼んでいるだけではなかった。

笑っていた。

低く、病的な笑い声で。

「お前たちは……」

「誰を怒らせたか分かっていない……」

リーは目を見開いた。

「お前たち全員、殺してやる……」

心臓が跳ね上がる。

レオンを見た。

何もいない。完全に何も。

少年はまるで僧侶のように、完璧に落ち着いていた。

恐怖

リーは気づき始めていた。

巫女の戻りが遅い。あまりにも遅すぎる。

そして時間は刻一刻と過ぎていく。

やがてレオンは眠り、悪夢が戻ってくるだろう。何千もの人々が再び苦しむかもしれない。

「ダメだ……」

彼は拳を握りしめた。

「二度とそんなことはさせない」

彼は深く息を吸った。

「持久力テストだ。朝まで起きておくぞ」

その時だった。

覚醒

前触れもなかった。

レオンが背後に現れた。

リーが気づかないほどの速さで。

片方の手が肩を掴み、もう片方の手がうなじを打ち抜いた。

ドォン!

リーは床に崩れ落ちる。

意識が遠のき、暗くなっていく視界の中で……

最後に見たもの。

それは瞳だった。

黄色い瞳。

狼のような。

闇の中で光り輝くもの。

カイロス

レオンの体は数秒間動かなかった。

やがて、ゆっくりと立ち上がる。

それはもう、レオンではなかった。

笑みは異なり、眼差しは鋭く、立ち居振る舞いは別物だった。

カイロスは家を見回した。

封印札を観察し、意識を失った戦士を見た。

そして笑い始めた。

古く、虚無に満ちた、恐ろしい笑い声で。

「お前たちは本気で信じていたのか……」

「こんな素人レベルの魔法で、私を縛り付けられると?」

彼はドアへ歩み寄り、再び蓮華座を組んで座った。

目を閉じる。

黒い影が彼の体を包み込み始めた。

生きている煙のように。液体のような闇として。

「この場所は……」

「悪しきエネルギーが満ちている」

彼は笑みを浮かべた。

「人殺し。泥棒。傭兵。血を流してきた者たち……」

「彼らを相手になら……存分に動ける」

笑みが深まる。

「長いこと縛り付けられていたからな」

彼は頭を上げた。

窓から満月が輝いている。

巨大で、銀色に輝き、完璧な姿で。

「お気に入りの夜だ……」

ドアの封印札が震え始めた。

中央に一本の線が現れ、次にもう一本。

まるで目に見えない爪が紙を引き裂くかのように。

ビリビリビリッ。

封印札は真っ二つに裂け、床に落ちた。

何の抵抗もなく。

カイロスはゆっくりと立ち上がった。

影が膨れ上がり、天井、壁、床を飲み込んでいく。

黄色い瞳が暗闇の中で輝きを放つ。

そして、彼は高笑いした。

山々さえも呼応するほどの、怪物的な笑い声で。

「ハハハハハハハハハハハ!!」

外では風が吹き荒れ、木々は揺れ、動物たちは逃げ惑う。

満月が彼の顔を照らした。

「恐怖の始まりだ」

第5章 終わり。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

ついに封印が解け、カイロスが完全に目覚めてしまいました。リーを打ち倒し、静寂の夜を恐怖のどん底へ突き落とす彼。レオンの体を手に入れたカイロスは、この悪意に満ちた山々で一体何をしようとしているのでしょうか。

物語はここから、さらに加速していきます。次回もお見逃しなく!

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