【幕間】【コニー視点】サラが消えた
コニーは半泣きだった。
ついさっきまで自分と一緒にいた友達が消えてしまったのだ。
どこを探しても、いない。いない。いない。
心が折れそうだ。
ことの発端はコニーがアイスを食べにサラを誘ったことだった。首都にきて幾ばくもない友人に、おいしいものを食べさせたかった。
地元の魅力を知ってほしかったのも大きい。
アイス屋から寮へ帰る道のりで。サラの姿が見えなくなった。
角を曲がった先の大通りは酷く混雑していたので、人混みに紛れてしまったのだろうと思った。きっと、すぐに合流できるだろう。
そう思っていたのだ。
ところが。
いくら探せどサラの姿はない。慌てて来た道を戻っても、いない。
はぐれてしまったのだ。
寮に戻れば会えるに違いない。
コニーは寮に戻った。
寮に戻ると、フロントで寮母さんと男性が言い争っているのが聞こえた。
「サラを出してもらえませんか。」
「サラは帰ってないよ。」
「では、中で待たせてもらうことは」
「生憎、うちは女子寮なんでね。生徒の身内でない限り建物の中に入れたげることはできませんよ。」
「私はサラの兄で、こちらの男は父ですが。」
「嘘言うんじゃない。あの子は家族とは縁が切れていると言っていたね。だいたい、寮の生活費払ってんのも、あの子の恩師だというじゃないか。親の責務果たしてない奴が親を名乗んじゃないよ。一昨日来な。」
サラの兄だと名乗る男は、額に青筋を浮かべ。
「そうですが。では外で勝手に待たせて貰いますよ。」押し殺した声で唸った。
コニーは寮母さんのところへ駆け寄り、こそっと聞いた。
「サラの姿がないの。いったい何があったの。」
寮母さんは難しい顔で言った。
「サラを心配するのも分かるわ。ただ、この件に関してはあんたは口を突っ込んじゃいけません。これはサラ個人の問題だから。」
外ではまだあの男たちがうろうろ立っているのが見える。
「でも、でも、いまサラが帰って来たらまずいんじゃあない? サラに帰っちゃだめって教えてあげなくちゃ。」
「それに関しては考えがあるわ。」
寮母さんはせかせかと何かを紙に書きつけている。書き終わった紙を畳み、コニーにそれを渡してきた。
「あなたの精霊にこれをサラに届けるように頼んで欲しいのよ。」
戸惑うコニーに、寮母さんは尚も言い募る。
「精霊は、人間よりも世界をよく見てる。きっとサラの居場所をすぐに見つけられると思うの。」
サラは契約精霊のミリーを呼んだ。契約精霊は必要な時だけ呼んで、来てもらうのだ。
寮母さんが夕飯のデザートの提供を約束していることを伝えると、ミリーは意気揚々と飛び立って行った。
コニーは、ただ見送ることしかできなかった。




