家族の中に……
ーゴブリィの家
人間の住む区域とは全然違ってて、建物の形がだいぶ変わってるなあ。何ていうかドーム状で外側に泥が塗ってあるぞ……異文化だよなあ。
「新領主さまここですわ。でも本当にこの様な場所にお泊りあそばすの?」
「ええ」
「もちろんだよっ!」
ガチャリ
木のドアを開けて、ゴブリィと母親らしきゴブリンが恐る恐るな感じで出て来たよ。代官娘を見て軽くおびえてるな。
「あ、あのお嬢様、何事で御座いましょうか?」
「新領主様がゴブリィのお家にお泊りしたいと仰ってて」
「は、はい」
あれ反応薄いな。
「ごめんなさい迷惑だったかしら」
「ううん、お兄さん達泊まって下さいな、お夕食にも招待しますよっ!」
今度は急にゴブリィが食事に誘ってくれた。
「ゴブリィ達そそうの無い様にね。では明日また」
「承知しております」
「うんー」
俺達はインガリットと別れると家屋の中に入った。
「うっこ、これはっ!?」
ピカーッ
玄関すぐのリビングらしき空間の中央には、素晴らしい豪華料理がデーンと広げられていた。
「新領主さまに食べてもらおうと準備してたのっ」
ゴブリィが無邪気に笑った。そっかーゴブリィは良い子だなあ。
「何で私達が来るって分かったの?」
「そ、それは……えーっと。カンで」
うっ確かに。
「さあさ新領主さま座って下され。さっそく食べましょうよ!」
「昼間にゴブリィが大変お世話になったそうで、ありがとう御座います」
見た感じゴブリィのお婆さんとお母さん、それにもう一人若いゴブリン女性が。
ゴトッ
俺達は取りあえず席に着いた。
「ささっ早く食べましょうよ~」
「ええそうだねえ、豪華だねえじゅるり」
「凄く美味しそうだよっうふふ」
「……」
うっ今度はなんか皆の表情がかたくて怖い。しかも相変わらず若いお姉さんだけ無言って、何か雰囲気変だよ~。
ひょいぱくっ
俺の不信感オーラを感じたのか、ゴブリィがいきなりつまみ食いした。
「毒なんて入って無いよ! 早く食べてっ」
小さい子に気をつかわせてしまった! 反省だよ……
「よ~し、じゃあエンリョ無く頂こうかな!?」
「早く食べてちょうだいなっ!」
俺が豪華料理に手を出そうとした直後。
「もう嘘は良いわよ」
え? マリ急にどうしたんだよ。空気読めよ……
「な、何の事だい?」
「このしゃべらないお姉さんって、昼間インガリットさんの馬を引いてたゴブリンさんよね?」
えーーっソレ本当? 全然気付かなかった。
「そ、そんな事は」
「この方だけ本当の家族じゃ無いでしょ? 顔が一人だけ全然似て無いわ」
ガーン、ゴブリィが可愛いって事以外、俺全然分からないよ!
「えっそれ本当?」
「多分、お姉さんはこの家族を監視してるのね? 今日は家族水入らずを見たいの、帰ってちょうだい」
シィーン
気が強過ぎるマリの命令に場が静まり返っちゃったよ。
「分かりました。この場は引き下がりましょう、では」
馬引きゴブリン女は自ら出て行った。




