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蒼鉛竜、知ってる?


「そうだじゃあ師匠【ブルー・ネモフィラー・ドラゴン】って知ってますか?」


 俺はどうせ知らないというか忘れてるんだろうなと思いつつ、ついでに聞いてみた。


 ギロッ

 最近ほわーっとしている師匠の顔が唐突に恐ろしい表情になった。


「何っブルー・ネモフィラー・ドラゴンじゃと!? あ奴には何度も煮え湯を飲まされた憎っくき敵じゃっもしあ奴や眷属が目の前におったなら八つ裂きにしてくれるわっ!」



 シィーン

 普段ボケ老人っぽい師匠のあまりの迫力に一瞬静まり返る。俺はその時は当然頭の中に【蒼鉛竜の加護】を持つビスマスの顔が浮かんだ。


 ガシャッ

 そーっと退室しようとしていたマリがカップを落とした。


「大丈夫?」

「気にしないで。私そういうバトルとか戦闘とかの物騒な話は嫌いなのよ」


 なんだかマリの様子がおかしい。


「そうじゃユリナスよ、蒼鉛竜や眷属を知っておるのか?」


 うっ知ってるけど……あの子には助けられたし、正直気になっているし。


「ううん、全然全くこれっぽっちも知らない! 赤鉄竜と同じくクエスト表で見たんだっけか」

「あーユリナスなんか言い方が嘘っぽいぞ!」


 ファニー鋭い! いちいち追及するなよもーっ。


「これこれ、ユリナスがワシに嘘をつく訳あるまい。ユリナス如きが蒼鉛竜を知ってる訳も無いじゃろうし」


 ごく一部言葉に引っ掛かる部分はあるが、師匠はやっぱり俺を信用してくれてるんだ。



「ちょっと冷めたお茶を淹れ直してくるわ……」


 マリの元気が無い。どしたんだろ? でも何か引っかかる事が……何を考えてたんだっけ?


「そうだっユリナスはどんなクエストを受けるのだ?」


 ファニーはマリの変化なんて気にしないで目を輝かせてる。


「俺~Fランク回復師だから、上位の人とPT組まない限り現品取り引きの討伐クエスト以外、高賞金クエストは受けられないんだ。だから偽金偽造団捕縛も姫救助も賞金もらえないんだよートホホ」


 バンッ

 ファニーが机を叩いた。


「そんなのおかしいぞ! せっかく解決したのに賞金無しとは」


 いやいやせっかく領地をくれても莫大な借金を付けて来た王様に言って下さい。


「では銀竜を倒した事も賞金は無しか?」

「えー俺、師匠シルバ・リリー・ドラゴン倒してませんよ」

「ワシはお前に倒されたも同然なのじゃ」


 ぺたっと師匠は寄り添って来た。どういう事?


「あっ分かった。つまり俺と出会って苦労して老化が加速してしまったんですね、本当にすいません」


 師匠とファニーはコケた。


「んな意味ではないわっ!」


 何でファニーが代わりに怒ってるんだ?


「しかしランク違いで賞金がもらえんとは理不尽じゃ! よし明日わらわが直接ついてって交渉してやろう」


 えーっ? 良いのそんな事して。そうしてなんとなく元気が無くなったマリにそれぞれ案内されて、各自部屋で眠りに就いた。師匠は良いとしてファニーまで泊まっちゃって良いの?



 ー次の日

 やっぱりなんとなく元気が無いマリと皆で朝食を済まし、ギルドに来た。


「師匠、ファニーくれぐれも目立たないでね」

「分かっておるわ」

「当然じゃ」 


 しかし、討伐クエスト表のトップターゲットがギルドに来るって異様だよな。


「おおっファニー見ろ、銀竜討伐五億エピももらえるのじゃ!」

「凄いじゃないか、わらわがソチに飛び蹴りしたら五億もらえるのか?」


 俺はコケた。


「こらこら、本人が居たら大騒ぎになるでしょ!」

「次の方ユリナスさーん!」


 病院の待合室の様に順番が来て俺は呼ばれた。

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