解除方法
「ユリナス、この女もうめんどくさいから適当に褒めておけ!」
このお姫さんにこう言われるって師匠も相当だな。
「ややっ凄い可愛いです。師匠そのフリフリドレス最高ですよっ!! という訳で本題ですが、俺の姿変ですよね?」
「そそそうかぁ? 嬉しいのじゃ~。うーんむ、しかしユリナスの変化とな……? 済まぬギブアップじゃ全然分からぬ!」
え? 本当に俺の事一年間ちゃんと見てましたか。
「分かりませんか、俺自分に【銀化】掛けちゃって銀ピカのままなんですよ!」
「あそっちか!」
え、どっち? 他に何か俺突っ込みポイントありましたっけ??
「この女、ヤバイ上にバカっぽいのう?」
お姫さんの小声の突っ込みが割と否定出来ない。師匠、こんな人だったっけ? もっと威厳がなかったかな。
「とにかく、この全身銀化の解除方法があるなら教えて欲しいんです!!」
「うむ教えよう」
早っ師匠やっぱり優しい。
「どうすれば!?」
「うむ、まずは今から一人でこの【銀竜の洞窟】の隠された最深部に行くのじゃ! さすればそこに輝く銀の石板がある。それをまずは持って来るのじゃ……」
なにやら師匠あの時の威厳が出て来たぞ、隠された最深部があったのか。
「分かりました師匠、今から早速銀の石板を持って来ます!」
俺は走って部屋を出ようとする。
ダダッ!
「待てい、今の話は嘘だぞっ。銀の石板とは何なのだ? 銀製なのか石作りなのかどっちか不明であろうが。師匠はユリナスが留守の間に、わらわを無き者にする気だぞ」
え?
ファニーの冷静な指摘が怖い。さすが王女、この子も肝がすわってるなあ!
「チッ察しの良いメスじゃ」
「師匠ーっ今の嘘なんですか?」
「見事な嘘であろう? では本当の解除方法を教えよう。それはこうじゃ! んーーっ」
突然師匠は目をつむって唇を突き出した。こ、これは!?
「ファニー、これはどういう意味なの? 師匠頭痛か……」
何故か師匠と姫が同時にコケた。
「分からんのか、これは呪いを解く為のキスであろう!」
「そうだぞ、ユリナスオヌシ勘が鈍い~~~」
二人同時に突っ込まれる。あぁそうか……って、え!? 人間形態の師匠とキス、でも戻る為か。
「分かりました。俺、師匠の事別に嫌いじゃ無いし、感謝してるしどちらかと言えば好きだし、がんばってキスします!」
「え?」
(ドキーーンッ)
あれ師匠、顔が真っ赤っかじゃないか! なんで!?
「なんとわらわの前でマジでキスするのかッ!?」
覚悟を決めた俺にファニーは複雑な表情をしている。一応フィアンセって言い張っているから?
ぎゅっ
師匠の両肩に手を乗せる……あれ、割と柔らかいや。心なしか師匠もすっごくドキドキしてる気が。
「行きますよ師匠! んーーっ」
俺も緊張しつつ目を閉じて唇を尖らせる。
ぐいーん……
「はぁはぁ……ダメーーッ! やっぱこんなのダメじゃーーっ!! もっと二人の初めてのキスは神聖なのじゃーーっ!」
ドバシッ!
俺はえらい勢いで床に叩き付けられる。普通なら軽く死にそうだ。
「もうキスでも何でも良いからさっさとヤレーーッ!」
とうとうファニーがブチ切れた。
「ふぅ仕方無いのう、うるさい小娘じゃ。とりあえず対象を触りながら解除と言えば良いぞ」
え?
「それだけ? マジですかー、ユリナス解除!!」
シュインッサ~~
俺の銀色の身体は普通の肌色に戻った……
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