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その二十七 日記 九月十五日

 色々あって久しぶりの日記。


 スミソニアン博物館は本当に楽しかった。行けて良かった。と言うか、スミソニアンがなければワシントンDCなんかに行っていなかった。


 どんなにすごかったか、ここで書き始めると終わらないので日記には書かない。

 航空宇宙博物館の宇宙船の実物の迫…… いけない、いけない、書かないんだった。


 この夏、始めて会った従兄のフレデリック、大体父方の親戚がいるなんて夏休み前まで知らなかった。母さんの方針とは言え、全く知らなかったから最初は混乱して変な対応するし。ぷんぷん。


 父さんは、もう亡くなっていたんだ。それさえ教えてもらっていなかったんだもの。


 いろんな事が一度に押し寄せて混乱した。なによ、父さんは英国の貴族の系譜に繋がり、係累がアメリカでそれなりの一族を成しているなんて初めて聞いたよ。突然そんな事言われて、アメリカまで連れて行かれて、偉そうな爺婆ジジババ、オッサンやオバサンに挨拶させられるし。

 挨拶がなっていないなんて言われて、値踏みする目で見られて最低だった。

 こっちは日本の平民なんだから貴族の挨拶なんて知らないよ。


 母さんが英会話にだけは煩かったのが判ったよ。いずれ何時いつかこんな日が来る事を予想していたんだ。だったら、予備知識は欲しかった。まったく。


 二度とあの人達には会いたくない、これは本音。でも、母さんが来年からワシントンDCのシンクタンクへの転職が決まったらしいし。


 私は日本に残っても良いって言ってくれている。

 でも…… デモ…… フレデリックの勧めのワシントンDCの大学かぁ、博物学とか考えると悩んじゃう。フレデリックが米国博物界の大物だったなんて意外だった。博物学の道に進むなら無視できない人物なんだろうな。やっぱり一族は無視できないということか。


 うーん。折角知りあった真仁くんにも会えなくなるよ。

 そうなんだよね。夏休みが明けて、三週間ぶり、久しぶりにあった時、嬉しかったな。旅行している間は、日々が刺激に満ちて、バタバタと過ごしていたので意識する事はなかったんだけど。成田に帰り着いて、真仁くんにメッセージを送った後、すごく会いたくなった。


 自宅に帰り着いて、嬉しくて、いままでにそんなことした事なかったのに彼を呼び出して、いつもの公園でお土産を押し付けた。だって、次の日が登校日なのに待ち遠しくて、気がついたら電話していた。声を聞いたら、『逢いたい』って言っていた。

 それで、話し始めたら止まらなくて、いろんな事、久しぶりにあえて嬉しいとか、博物館の事とか、気がついたら二時間近く話してた。さすがに最後は真仁くんに怒られてしまった。


 留学すると逢えなくなる、と考えると、すごく寂しい。なぜだろう、こんな気持ちになったの初めて。昔のわたしなら躊躇なく留学を決めたと思うんだよね。すっきりとしない。

 留学を考えると気持ちが重くなる。


 わたしどうしちゃったんだろう。

 どうしよう、留学するとしても一年以上先の話なのに。

 すごく魅力的に思うのに、決めるのは気が重い。


 一族の人たちがお父さんの忘れ形見の私に執着してる。それも気が重い理由の一つ。あの人達には会いたくないけど、力のある親戚がいるってのが生活でも学問でも後ろ盾になるって事も理解している。

 お母さんの事を考えると関係ないって言い切れない。

 それに、私のやりたい事を考えるなら将来の重要な選択肢のひとつだってことは判っているんだ。


 いろいろな事、本気で悩んで考えないといけない問題だよね。

 今までみたいにいい加減で何とかなると言う訳にはいかないよね。もうちょっとモラトリアムを続けたかったんだけど、色々な問題に決着をつけないとならない。


 判っているけど……

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