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TSモブ荷物係は勇者にだけは近づかない。  作者: 無限飛行


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第7話

「フレイン、本当にゴメン!」



次の瞬間ボクはフレインに土下座した。

理由はどうあれフレインをベッドに誘ったのはボクだ。

彼に彼女がいれば間違いなく誤解を生むだろう。

チビでチンチクリンなボクで誤解を生むかは疑問だが可能性はあるからね。

もちろん土下座した一番の理由はパーティ内外でのボクの性別秘匿のお願いに他ならない。

迷惑かけた上に自分勝手なお願いと重々分かってはいるけど性別を偽るのはボクの生存戦略であり何が何でもフレインには口を噤んでもらう必要があったのだから。



「大丈夫ですよ。メリアドールの性別を公開するつもりはありません」

「ホントに?」

「ガブの問題もありますからね。少なくともパーティ内外では決して漏らさない事を確約しますよメリアドール」

「はぁ、ありがとう。やっぱりフレインは信頼出来る。助かるよ」



良かった。

性格の良いフレインの事だから変な事にはならないと思ってのお願いだったけど理想の回答に胸を撫で下ろす事が出来た。

しかし参ったな。

ボクの性別の秘密が他人に、それも身近な男性にバレたのは戴けない。

まあバレたのが数少ない信頼出来る人物の一人だったのは不幸中の幸いだったけど。



「ですが冒険者の中ではメリアドールくらいの女子は珍しくありません。確かにガブの様な人物には警戒が必要ですが冒険者ギルドへの申告をしておけば女子だけのパーティへの斡旋やある程度の保護はやってくれます。見るにずっとソロだったようですし何か心配事があれば相談には乗りますよ」

「…………」



フレインの言っている事は十分理解出来る。

基本ギルドの冒険者登録性別詐称はご法度だしボクも最初はそう思って別の町のギルドでは一度女子のパーティに入った事もある。

だけど無理なんだよなぁ……。



❇



『お前が今度あたしらのパーティに入る荷物持ちか。エルフなんだろう?他に取り柄は無いのか』

『ひ弱エルフで荷物持ち?力無いからマジ使えないじゃん。このパーティに入る資格無いよ』

『無理無理。アンタは故郷に帰りな。足手まといが関の山さ。それとも男共のパーティで飼ってもらうか。どちらにせよウチのパーティに居場所は無い。他を当たってくれ』



❇



村を出たてで世間の作法や常識が分からない頃一度だけ女子として別の町のギルドに登録した事があった。

だけど冒険者の女子パーティって大体男勝りの実力派揃い。

特に前衛の剣士や格闘家などの女子は筋肉隆々の大女ばかりでメスゴリラの群れでしかなく彼女らからしたらひ弱女子エルフで荷物持ちに使い道は無い。


そもそもボクぐらいひ弱な女子冒険者でパーティに所属してるのは後衛の魔法職か回復職が殆ど。

何の取り柄もなくパーティに所属するならマスコット役しか残らないのが実情だ。

そしてマスコット役とはパーティ内のカウンセラー担当といえば聞こえがいいけど実際はハーレム要員でつまり冒険者の性処理役。


これは男女共に在るのだが日々命の危機にさらされる冒険者にあっては心の癒しは最重要。

メンタルケアは冒険者にとって一番の問題でもあるわけだ。

冒険者は一度遠征に出れば一つのクエストに数日から数週間かかる。

当然クエスト内容によっては日夜命の危険が伴う厳しい内容も含まれる訳で故にその間の心のケアは回復職かマスコット役に委ねられる事になる。

そして回復職なら神聖術で精神を安定させれるが回復職もパーティの重要な戦力。

クエスト以外での神聖術行使は対価に神聖力を消費するだけに中々にリスクがあるという事情がある。


だからパーティにマスコット役を伴うのは意外にポピュラーだし一見して後衛かマスコット役か分からないからひ弱な男女で何の取り柄もなくそれなりに稼ぎたければ意外と選択肢の一つで実は一定の需要ある職業らしい。

もちろんボクには最低最悪な選択肢で忌むべき職業でもある。

フレインはそうなる事を理解して発言しているのだろうか。



「……だったら何でボクを勧誘したのさ」

「困っているように見えたからです。あの時のアナタは精神的に疲弊しかなり危うく見えました。明日には別の何かを選んでしまうように見えたのですよ」

「……それでどうするの?ボクを追い出してギルドに報告する?そうなればボクは町から出て行かなくてはならなくなるけど」

「どうしてそう考えるのですか?私がメリアドールの不利になる行いをするわけがありませんよ」

「なら、フレインはボクにどうしたいと思うのさ」

「それは今迄通りでいいとは思います。ただご存じの通りウチにはガブがいます。アナタには相当な重荷になっているのではないですか?」

「………………」

「昨日の稼ぎで当面の資金は出来た筈です。だからリスクのあるパーティに居続ける理由は無いと考えますがどうですか?」

「………………」

「パーティに所属せずとも安全にソロで出来るクエストもあります。ご存じでしょうが魔法も回復職も無いひ弱な冒険者のパーティ内での選択肢はマスコット役が一般的ですがそれはメリアドールの望むところではないでしょう」

「………………」

「であれば報酬が低くともソロで出来るクエストをやっている方が良いのではありませんか?」

「………………」



この世界に魔法はあるが文明文化レベルは地球の中世の域を出ない。

よって平民や農奴奴隷が存在し人間上位主義に見られる人種差別が普通に行われている世界である。


そんな世界においては貞操観念など貴族支配階級の特権でしかなく平民以下の者にとって生きる為には不要の長物でしかないというのが実態だ。


だから平民以下の冒険者などを選ぶ者達にとっては貞操は極めて軽いものでしかなく性処理などは日常茶飯時に行われるごく一般的な作業にしか過ぎないのである。


この事実を知った時のボクには絶望の文字しか無かったけど。


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