第48話 神聖歴770年3
《考察》獣人とは
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獣人とは人非ざる種族で幾つかの民族に分かれているとされる。
その特徴は個々の民族の固有血脈により民族差と個体差を生み其々に独自の文化を形成しているらしい。
基本魔法は使えないがその潜在体力は人族などより多くまた魔力を体力に変換するスキル《身体強化》はほぼ全種族全個体に発現するとされる。
独自の婚姻文化があり物や食べ物を直接異性から与えられる行為は求婚行為として定まっている。
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「あーそんな文化があるんですか」
「アンタ、そんな軽く判断してるけどその文化を知らない人族とかの間ではよく殺し合いになったりするんだから気おつけなきゃ駄目だよ」
ぎょっ「こ、殺し合い?!」
「それだけ獣人の愛は重いさね」
「ど、ど、どうしようハンナさん」
「はあ、こればっかりは他人に入る隙はないさね。誤解を解きたいなら自分で何度でも説得するしかないさ」
「は、はい…………」
うわあぁ、トンデモない事になってしまった。
え、じゃあボクはクロさんからは求婚した異性という事になるって事でだ、男性とペアになるって同性愛的な…………アレ?
あー胸は無いけど一応ボクの今は女の子。
えー胸は無いけど一応それなりの美少女……。
という事はつまりその文化的には適性でしごく普通に恋人同士という間柄という話になるわけでしかも求婚をした側がボクとかそれは男冥利に尽きる話なのでは?
うっわっ、どう考えてもここから断ったら男をもて遊ぶ悪女ルートまっしぐらだしどう話たらいいか分かんない。
「ハンナさん、真面目にボクはとうしよう!」
「はあ、そうさね。その文化を知らなかったんだからそれで押すしかないけどクマ獣人の男は諦めが悪いから暫く放っておくしかないさね」
「放っておくんですか?」
「今アタシらは発情期に差し掛かってるからね。あと一ヶ月は放っておくといいさね」
発情期ってまたヤバいワードなんだけど大丈夫かな?
でもどう話たら分からないから今は距離を置くしかないのも確か。
とにかく無理に意識せず普通に放っておく、これしかない。
そう思ってたんだよね。
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「メリア、これやる」
「あ、あり、ありがとう」
「欲しかったらまた取ってくる」
「もう要らないよ。だ、大丈夫だから、ね」
あれから数日、結局武装人族はそのまま山下の旧街道を通り過ぎランスロット王国方面に向かったようだ。
別働隊もおらず、もしかしたら来たるべき戦争に備える為の現地ルート確認が目的だったみたい。
そしてボクとクロさんとの関係はさほどの変化も無かった。
元々無口で必要な事以外口を開いた事のないクロさん。
ボクから必要以上の接触をしなければ特段彼からのアクションもない。
ただ最近は前と違いボクと目線を合わせてくれないのとやたらボクに物をくれるだけ。
うーん、これって。
「ハンナさん、クロさんって結構シャイなんじゃ」
「シャイってなんさね」
「あー恥ずかしがりやで人見知りなとこ」
「さあてね。アタシも旦那が引き連れてきた部下にいちいち深く知ろうとも思わないからさ。それで誤解は解けたのかい」
「うーん、別段変化は無いですよ。基本は変わらないとか。ただいっぱい色んな食べ物とかくれます」
「……かなり重症じゃないさね」
「えっ重症ってクロさん何かの病気なんですか」
「馬鹿だねぇ。あんな健康が取り柄の筋肉クマ獣人に病なんか無縁さ。そういう事を言ったんじゃないさ。それよりクロから渡されたものはどうしたのさね」
「あー食べました。果物とか皮を剥いて出してくれたのでカズキと一緒に頂きました」
「……………………」
突然どうしたんだろ?
ハンナさんが手を額に当てて天井を見上げてる。
だけど天井には何も変わったところは無いようだ。
どういう事??
「ハンナさん?」
「………お前さんアタシの話を聞いてたさね」
「えーと?」
「獣人の求婚文化、いや衝動に近いさね。気のある異性に物を送る話」
「あ、ああ覚えてますよ」
「だったら何でクロから食べ物を受け取るさね」
「え、だって果物剥いて皿で出されたら食べない方が失礼ですよね?」
「それが求愛行動さね」
「は、い??」
「食べ物を異性から受け取るのは求愛に同意した事になるさね。だからもう愛を語る段階になってるって事なのさ」
「ふぁい???!」




