↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TSモブ荷物係は勇者にだけは近づかない。  作者: 無限飛行


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/49

第46話 神聖歴770年

ぴ〜ひょろひょろひょろろっ



「めり姉、あれ」

「うーん、この鳴き声はいつも高い所飛んでる鳥さんだな。あーハンナさんが言ってたな。ナントカって」


「なんとか?」

「ごめん、忘れた」


「めり姉、メッ」

「あはははゴメンゴメン」


ヒュゴォォ〜


ここはラルゴさん達のログハウスから数百メートルの草原の中。

辺り一面ボクの腰くらいの柔らかく手触りの良いニラ似の草《ソウ草》に覆われる台地状を構成する草原地帯だ。

吹き渡る風は心地よく一年を通して寒くも暑くもない安定した気候がこの草原を育んでいる。


周りは外輪山のように取り囲む小規模な山。

もしかしたらこの土地は嘗て火山の火口か隕石の落下があった場所なのかも知れない。

気温は正午付近で20度前後。

季節という概念を持たないこの辺りの気候は体感だが1年を通して15度〜20度前後で湿度40%くらい。


大半が草原地帯でステップ気候を連想するも寒暖差は殆どないとかファンタジーな理想郷。

そして草原の大半を占める《ソウ草》もニラと同じ味の食用でした。


ええ、確かに素晴らしい場所ですが獣人には残念なんだそう。

何がどう残念かというとこの草原大半の《ソウ草》が獣人には食べられない有害野菜なんだそうな。


え、ニラだよ?

殆ど足元の東京ドーム20個はあろうこの緑の草が全部ニラと同じ。

簡単にむしれるし沢山のレシピ作れるし身体に良いしボクは好物です。


だけど足元に大量にあってソレ食べらんないからご自由にって云われて目の前でむしって鍋入れてカズキと一緒にニラ鍋御飯してるボクらを横目にニコニコ眺めるハンナさん。

なんか痛たまれない。



❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇

「しょーがないさね。アタシらアレ(ソウ草)食べると酔っちゃうんだからね」

「もしかしてマタタビ効果とか?」


「マタタビって??」

「その、獣だけに効く薬効の草で」


「まあ、ソウ草以外にもあるんさね」

「え、ええ《《そう》》なんです」

❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇



この世界に猫が居るとしたら恐らくそれは獣人だろう。

うーん猫さんによく効きますは誰かさんへ毒盛るんかとか勘違いされるんだろうな。



「あった、メリ姉!あったよ」

「カズキ、草の中は足元が見えないから走らない。転んで怪我するから駄目だよ」


「はーい。だけど見つけたんだ、ほら!」

「カズキ、目がいいね。感心感心」



カズキが見つけたのはこの草原で唯一獣人が食べれる食材ベニ芋。

見かけも味もさつま芋である。


だださつま芋と葉や植生までもが似ていて地面に低く生えるタイプ。

ニラ系草原内では見つけにくいのでハンナさん達は獣人らしく鼻で探していたがボクらがそのマネをするわけにはいかない。


まあ家庭菜園にもあるから野生のベニ芋を探す必要はないのだが今回はカズキの初めてのベニ芋狩りという事で二人で草原の中で冒険というわけである。


因みに二人ともサファリジャケット半ズボン+ビスヘルメットのお揃い。

カズキのはハンナさんの見様見真似手作り。

ボクの手直し分も含めて色違いで予備2着も作ってくれた。


ハンナさん達の所に居候して3年。

ボクらとハンナさん夫婦の間にはしっかりとした家族の絆が出来ていた。



「じゃあ、掘り出そう」

「待って、カズキ!」


「メリ姉?」

「黄色の凧が上がってる。カズキ、戻れって合図だ」


「えーっやっと見つけたのにっ」

「仕方ないさ。場所に目印して一端家に帰ろう」



ボクはポーチの中から長い棒を取り出し白い旗を付けてその場に立てた。

その後の調べでこのポーチはやはり魔法のポーチになっていて本来の容量からすると3倍くらいになっていて大変に重宝。

ハンナさんの話では一点物で市場価値は計り知れないとの事だ。

うーん、絶対に売らないけどお値段は一度調べてみたい。


あと凧は連絡用としてボクが考案。

まともな通信手段が無い(多分?)この世界では狼煙をつかのが常套手段らしいがそれはあまりに不安定。

凧なら高さや色まで変えれば遠距離連絡には問題ない。


まあ地球の歴史書では通信手段の一つとして旗や凧の応用は狼煙と同じくらいによく行われていたと記載されていたからソレを思い出しただけだけど。








❇



「ハンナまま!」

「カズキ、ベニ芋見つけたんだって?偉かったねぇ」


「うん、偉かった」

「初めての冒険は上手くいったようだね」


「はは、それよりどうしたんですか?」

「ああ、ウチの人が近いうちに戻るってクロさんが連絡に来てくれたんだけど………」


ぺこっ「……………」



そう言って目線をズラすハンナさん。

その目線の先には黒っぽいサファリジャケットを着た筋肉質なクマ獣人がボク達にお辞儀していた。

ラルゴさんの部下の一人、クロさんだ。

伝令役でラルゴさんが戻れない場合は代わりに伝言を伝えにきてくれる人。


最近仲良くなったのでボクお手製サファリジャケットをプレゼントした。

色は名前的に黒で統一。

なんか軍服みたいになったけど精悍な顔立ちのクロさんには黒がよく似合うと思う。


未だラルゴさんの仕事については教えて貰えないが部下が沢山いて拠点がいくつもあるって言っていた。

何かの組織でも運営してるみたいだと理解したが憶測でしかない。


ただこうして定時連絡を絶やさないのは常時こちらの安否確認が必要という事。

そこからするとやはり危険を伴う仕事なんだと思う。



「クロさんが言うにはここに向かう途中、武装した人族を見たらしいのさ」




そしてその危険はこの草原に住むボクらにも無縁ではいられないのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。