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TSモブ荷物係は勇者にだけは近づかない。  作者: 無限飛行


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第39話 神聖歴767年5

『我が名はアモロス帝国第127代皇帝へラクルス・アモロスという。我が息子ジークフリードよ、そなたに最後の言葉を伝えねばならぬ父を許してくれ。隣は我が妻アリストテレス。アモロス帝国皇后にしてそなたの母である。我が言葉は妻であるアリストテレスに託すものとする』



虹色に輝き出したペンダント。

目の前に現れた二人の影。

豪華なマントと軍服のような衣装を纏う圧倒的威厳ある人物。

グレーな髪に碧眼のイケオジ。

顎髭を湛えた肩幅の広いその人物は自身をアモロス帝国皇帝を名乗った。

まさに支配者のソレだがそれより気になるのが隣の女性だ。


豪華なバロック調ドレスに身を包み目の覚めるような美しいブロンドにマリンブルーな碧眼とそのモデルのような顔立ち。

それは間違いなく面影があった。



「確信的とでも言わんばかり、か」



それはあたかもその場に居るようだが半透明で間違いなく二人を顕現させたのはペンダントからの光。

いわゆる3次元ビジョンでメガネ無しは現代科学を凌駕している。

それの意味するところは半信半疑だったけどこの世界には魔法があるという事。

現代科学を凌駕するこのオーパーツはその証明に他ならない。


それはそれとしてこのペンダントの人物が言う息子ジークフリード。

それは一体誰の事を指しているのか。

状況的には間違いなくカズキを指すと考えるのが妥当だろう。


だが解せないのは衣類に書かれたカズキの名前だ。

異世界語とカタカナで書かれたカズキの言葉。

これも状況的なら赤ちゃんの名前と云えるわけでつまり二つの名前が一つの結論に向かっている。



「両方とも赤ちゃんの名前……か」



つまりどちらも赤ちゃんの名前として与えられたという事。

当然ながらどちらかが偽名となる。

そして偽名を使う理由はこのペンダントの存在に違いないわけだ。



『ああ愛しきジーク。アナタは私と陛下のただ一人の子供』



女性が赤子を抱き上げて微笑みそれを背後のイケオジが覗き込んでいる。

ああ間違いなくその赤子はカズキより小さいが同じ金色の髪に碧眼だ。

もう疑う余地がない。



『ジークよ。そなたこそアモロス帝国正当な後継者にして唯一無二の存在。生まれながらの勇者の称号はその証でもある。そしてこのペンダントはアモロス帝国正当後継者の証である玉璽(ぎょくじ)。何人もこれなくして皇位につくことは叶わぬ』



トンデモない話をぶち込んできた。

玉璽って皇帝印の事で正当性が問われた全ての書類に必要なもの。

つまりこのペンダントは皇帝位そのものの正当性を示すものだ。

ただ重要には違いないけど政権の把握次第では無くても構わないはず。

水戸黄門の印籠に近いか。



『そして破滅竜ゼクトール。世界を滅ぼす力を持つ竜が帝国の地下に封印されている。これはその封印の鍵で皇族の血を持つ者にしか鍵として機能しない。こんな形で世界の命運を託す我を許してくれ』ポゥ



そう言いながら赤子(カズキ)に手をかざす皇帝。

すると淡い光と共に赤子の額に花のような紋様が現れて消える。

それはペンダントに刻まれた紋様と同じだった。



「まさかね………………」



ペンダントを寝ているカズキの額にそっと付けたら淡いブルーの光で花の紋様が数秒ほど現れ消えた。

マジかーい?!



ズズンッ


『あなた!』

『ついに来たか悪魔共め』



皇帝と皇后の背後のカーテン?が激しく揺れ何らかの衝撃が伝わる如く重低音が流れる。

これは映像の状況から二人がかなり緊迫した状況にある事を伝えていた。



『妻はこれからそなたと共に親友リリフルールの元に向かう。彼女はA級冒険者でありガレリア深部まで攻略した英雄でもあるのだ。我らに何かあれば彼女を頼れ。そして世界を守って欲しい』

『ジークどうか健やかに。私達は永遠にアナタを愛しています』



ジジッジジジジップツン



映像はそこで途絶え二人の影は消えてしまった。

あまりに重い内容。

そして世界を守れとか殆ど主人公イベントの内容にボクは息を呑んだ。



「あれ?ゼクトールってセカキン最終イベントに出るボスキャラじゃないか??」



《破滅竜ゼクトール》

ブレイン・ダイブRPGゲーム|セカキン《世界樹の巫女と金の勇者》に出てくるボスキャラ。

最終クエストの《国家防衛イベント》で現れる通称破壊神の事だ。

このボスキャラは金の勇者のフルカンストでパーティメンバーもフルカンストさせた時だけ現れるヤバいヤツ。


セカキンのパッケージ背景にその影だけあるボスキャラで全員フルカンストとか不可能なクリアー条件でそこまでが無理ゲーだから誰もそのクエストに参加出来なかった。


おまけにゲームオーバーなら全て初期化されるリスクが大きいから誰も狙わない終末イベント。

確か世界樹の巫女が世界樹の浄化に失敗した時だけ出てくるラスボスだったはず。



「大抵は世界樹の巫女イベント止まり。取り敢えず世界樹の浄化が終わればゲームクリアーだから先に進む必要もない。ゲームクリアー出来るのにわざわざクエスト失敗させて進むプレイヤーも居ないから………」



え、だとしたらボクはゲームの中にいるって事?

ここはブレイン・ダイブRPGゲーム|セカキン《世界樹の巫女と金の勇者》の世界という事なの!?



「だとしたらおかしい。だってプレイヤーならステイタスオープン出来るはず。それはさっき試したから」



ステイタス画面が見れなければログアウトも出来ない。

だが救済措置がある。

例えデータが破損してログアウト出来なくともブレイン・ダイブのハードヘルメット安全装置で強制ログアウトさせられる。

タイムアウトは最大24時間のはず。



なら1日待てばボクは現実に戻れてるの、か?


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