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TSモブ荷物係は勇者にだけは近づかない。  作者: 無限飛行


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第38話 神聖歴767年4

▼転生とは(考察)

❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇

転生とは死んだ者の魂が新しい肉体を得て生まれ変わる事。

インドを起源とする仏教思想の考え。

人は因果応報の中で生きている。

因果応報とは人が重ねる罪や行いに対して同量の良い事や悪い事が反映されるという事。

それに起因して生きる事はそれ自体が修行でありそれは仏に繋がる道とも云われている。

つまり人は因果応報の修行を経て神や仏に至るのだ。

だが一介の人間が一つの人生の中でそこまで徳を積むにはあまりに短いとされている。

それを補いうるものが輪廻転生。

人は何度も生まれ変わり再び死して輪廻を繰り返す。

その中で徳を重ねられた魂こそ神や仏に至るというもの。

また生まれ変わる際の姿は生前のカルマ(業)に起因すると云われている。

アニメや創作物では一つのジャンルとして定着。

主人公がチートを共なって転生し強力な力を得て異世界で無双する物語などが流行りである。

❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇



という事で手を泉に向け唱える……。


「出でよ炎、ファイアー!」


しーん………………。


ガクッ

膝をついてガックリと頭(こうべ)を垂れたボク。

色々調べた結果ボクにはチートも魔法も無い事が分かってしまった。

転生チート嘘じゃん。

転生ハードじゃん。

女の時点でハーレム無双も不可能。

逆ハーレム無双……勘弁して下さい。

いやチート無くとも魔法は欲しかったよ!?

スマホ無いチート無い魔法無い異世界の記憶すら無いの無い無い無い無い尽くしの無いオンパレード。

ボクの転生ってマジ無理ゲー?



「しかも転生早々この姿でこぶ付き。異世界ハードが過ぎるでしょ」



取り敢えず異世界言語を文で理解出来るという事は言語については記憶があるみたいだけどソレ以外の知識や記憶はズッポリと抜けている。

恐らくは彼女が亡くなった時に魂と一緒に消失した可能性があるけど異世界チュートリアルは大ハード発進とかやってらんないわ。



キキキッ

コーコーコーコーッ


びくっ


「な、何の声?野生動物かな。と、鳥さん、だよね??」



迂闊だった。

辺りは訳も分からない森の中。

必ずしも野生動物が無害なタイプだけとは限らない。



コココッケケケ

くケケケッ

「……………………」


ガチャリ

背負子にカズキの揺り籠をセット。

とにかく森を抜け開けた見通しのある場所まで行かないと。

このままこの場所に留まるのはリスクが高過ぎだと思う。



「それに……………」



それに木漏れ日の光もいつの間にか傾いてきている。

もしかしてもう夕方に差し掛かっているのかも知れない。

このままこの場所で夜を迎えるのはあまりにリスクがあると理解するべきだしカズキのミルクの調達のメドもつけないとならない。



「あまり時間は無いな。急がないとならない。まずは何処か人里に出てミルクの調達から検討しないと!」



人里。

人里に出なければミルクも情報も手に入らない。

だがそれはリスクもあるという事。



「タダでさえ前世引きこもりでコミュ症なのに赤ちゃん抱えてミルク調達から始めなきゃならない。マジハードモード過ぎるでしょ」



いきなりの二重苦三重苦な異世界スタート。

装備はパチンコとポーチの中身と背負子とヤシの実似の揺り籠+穴開きサファリジャケットにビスヘルメットもどき。

その中で最初のクエストがミルク調達とか笑いしかない。



「本当に他に装備は無いのか?あ、カズキの揺り籠の中にポケットみたいな部分があったけど……」


パカッ

スースースースーツ


「ホッよく眠ってる。カズキちょっと失礼するよ」



再びヤシの実似揺り籠のフタを開け眠っているカズキに触らないようにお布団の隙間にあるポケットを弄ってみる。

小さく硬い物がヒットした。



ジャラッ


「ペン、ダント……?」



揺り籠ポケットには赤い宝石に丹精な紋様が施され金銀細工が美しいペンダントがあった。

ただそれは自分やカズキの衣類からするとあまりに異質。

地球上でも途方もなく高額で取り引きされるような学術的アンティークロココ調なヤツ。

フランスルーブル美術館にありそう。



「うーん、なんか形見ぽい?でもまあ深く考えずに資金源になりそう。いきなりミルク調達クエスト完了?んん??」



裏側にボタン?

何か押せるんだけど押してみたり………………。



ジジッジジジジッ


「コレって……地雷、踏んだかも」





ジジッジジジジジジッジジッ





『これは万が一の為我が息子ジークフリードに遺すものとする。我が名はへラクルス・アモロス。アモロス帝国第127代皇帝である』


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