第33話 もう一つの人生4
その日以来ボクは〇〇を遠ざけた。
そうするつもりは無かったのだが〇〇が変な気遣いで近寄らずボクからも殆ど交流を持たなかった結果なのだがまあコレで良かったのかも知れない。
そうしたある土曜日の放課後、部活も控え選手で積極的にやりたくもなかったボクはさっさと家に帰る事にした。
自身は授業はあったが土曜日週休二日の両親は家に在宅の予定。
ボクが帰宅したら久方ぶりに家族揃ってのファミレスに行く約束ができていた。
わぁああ〜っ
体育館からはバスケ部への大きな声援の声。
ああ今日バスケ部は他校を呼んでの対抗試合。
県大会出場を決めた今期のバスケ部は先日表彰されたっけ。
そして代表して受け取ったのはレギュラー主力で県内有望とされ地方紙ながらもスポーツ欄を賑わせた〇〇。
我ながら随分と差がついたものだ。
そう自虐的思考でいたたまれなくて唇を噛んで走り出す。
ボクは何を考えているんだ。
〇〇がバスケ部レギュラーで県大会出場を果たしたのは日頃の〇〇の努力の賜物で決して体格差だけによるものではない事は分かっているじゃないか。
下らない嫉妬を〇〇にぶつけるのはお門違いだし間違いなく日頃の努力が足らないのは自分のせい。
そう言い聞かせて駆け抜けた。
でないと遺伝子的に両親を恨んてしまいそうだったからだ。
ボクの両親は平均的な背丈だ。
二人とも175はあったし背丈は後天的なものと遺伝的なものの二つが絡み合って成せるもの。
しかもどちらかと言えば遺伝的な方に軍配があがる。
だからすっかり安心していた。
ところがである。
ボクの背丈は小5から思った以上に伸びなかった。
143→158と伸びたが既に頭打ちだったのだ。
寝る子は育つということわざがあるがボクは睡眠は取れてる方だ。
なのに〇〇は今だ伸び続けボクは頭打ち。
「神様の母ちゃんデベソ〜っ」
ピカッ
流石に両親を恨む気持ちは起きなかったので神に恨みの言葉を吐いた。
一瞬空が光ったから言葉は神に届いたのだろう。
ちょっと気持ちが軽くなってそのままステップで家に帰った。
「ただい………え?」
ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー
『はい、〇〇警部補の隣家の家族です。被害者は40代夫婦で二人とも心肺停止。先程病院に搬送されました。第一発見者はその家の一人息子で現在七曲り署で保護しています。ええ、かなり憔悴していて今カウンセラーが、はい、13歳中学生と聞きました。犯人はトクリュウ、ですが闇サイトに〇〇警部補の殺害依頼がありました。ええ、依頼者も特定。どうやら〇〇警部補が別事件で追っていた容疑者、つまり間違いで殺されたようだと……』
ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー
ダダッ
「和樹!!」
「………」
「済まない、こんな事になって、本当に済まない」
「………い」
「和樹?」
「もう、いい。放っておいてくれ……」
「和樹……」
その後ボクは祖母に引き取られ今に至る。
暫く〇〇を遠ざけたけど〇〇は変な責任を感じて結局様々な場面でボクに纏わり付いた。
迷惑千万だからと何度も喧嘩もしたしその責任はお門違いだと伝えたが喧嘩は相手が無抵抗で成立せずストーカー並みに離れないのでこの関係はお互いが就職するまで続く事になる。
だとしても〇〇の家族の身代わりでボクの両親が死んだ事を〇〇にぶつける気持ちにはなれなかった。
オカルトだけどあの日に神様の悪口を言った事が頭から離れなかったからだ。
だけどあの程度の悪口でコノ仕打ちは神様のくせにあまりに狭量過ぎやしないか?
そう何度も心の中で自問自答したが現状が変わるものでもなく理由のわからない十字架を背負ってただ日々を何の目的もなく過ごしていく。
祖母の死をきっかけに始めたブレイン・ダイブ。
それは一つの契機と成り得た。
そして一つのコンテンツに出会う。
それが|世界樹の巫女と金の勇者であったのだ。
❇❇❇
「それでバッタリ親友に会ったわけだけど、まさかネット空間まで追いかけるとかマジ怖かったんだけど」
「そんな訳あるか。いくら私でも犯罪行為はやらないよ」
「はあ、その言葉は信じるしかないけど」
「そんな事よりアレは強制ログアウトだったのか?」
「うん、端末の安全装置のせい」
「端末の安全装置?」
「古いからね。買ってから更新出来てない」
「更新………」
「口籠る必要はないよ。働かないボクが悪いわけだし。あ、余計な事は考えないでよ。ちゃんと就職するし新しく購入予定だから」
「そうなのか?」ほっ
「今ほっとしたよね?」
「そ、そんなわけあるか。まあゲーム仲間がハードのせいて消えるのは困るからな。お前には次のダンジョンのクエストに付き合って貰う予定なんだから」
「すぐリボーンしちゃうよ」
「いいじゃないか。挑戦する事に意義があるからな」
「まるでスポーツマンシップだね」
「それでも私の相棒はずっとお前だ」
「止めてよ。なんか怖いよ」
「安心しろ。私は異性にしか興味無いからな」
「………………」
ボクの残念な気分は親友がイケメンなのが悪い。
ガタイはデカいがよく見れば顔は女顔でユーチューブタレントならそれなりに稼げるだろう。
ポリスタレントでもイケるんじゃないか。
はあ、すべて持ってるのにボクに構うのはけっして親友の為にならない。
そう思って何度も離れる決断をしたのに何故かいつも近くにいる。
本当に残念イケメンで困ったヤツだ。
だからこその親友呼び。
認めよう。
今のボクの最も信頼におけるのが親友なのは間違いないからね。
こんこんコロコロコロッ
「?!」
「あっ!」
だからね。
「子供がボールを追って道に!」
タッ
「親友!!」
パァァァンッ
ボクは親友を家族以上に大事に思っているんだ。
タダッ
(親友!そのタイミングだと間に合わないっ)
ドンッ
「が?あカズキぃ?!!!」
キキーッドンッ
ドガッシャーンッ
ああ、良かった。
子供を抱く親友をトラックの前から押し出せて…………。
本当に、良かったなぁ。
『おお勇者よ、死んでしまうとは情けない』
ポーン




