まさか泣かれるとは
お二人は何を?
応接室に通して、しばし二人に話をさせてその内容を伝えるようにしたが、よく分からないらしい。理解できたのは、せいぜい聖女様は甘いものがお好きで、それが身近に常にあったようだとの事。
高価な甘いものが当たり前にあったとは、聖女様は特別な環境に居た方のようだ。意外な事に同行している女も動揺する様子はなかったそうだ。
あの女は油断できない。
するとメイド長が戻ってきた。
その目が怖い。
「お二人とも帰りたいとのこと事です」
「帰りたいと?」
「無理矢理召喚させられたのですから当然かと」
まさか帰りたいと思う事は考えていなかった。
記録を調べた限りでは、召喚者はその使命を全うしたとしかなかったからだ。
言われてみれば、確かに考えられる事だった。
だが、召喚者が帰還した記録はない。
背中に冷たい汗が流れる。
「まさかお二人は帰れないのですか?」
メイド長の目が怖い。ここで誤魔化しても、結局知られる事になるから諦めるしかない。
「召喚者が帰った記録はない」
横目て見たメイド長のこめかみがピクッとした。
「そうですか。それは魔術局長からお伝えください」
なにその地獄。
気は重いが、立場として当然の責任である。
だが、怠惰な感情も号泣する聖女様と寄り添う女性を前に吹き飛んだ。
帰りたいと泣く二人の女性を前に、帰す手段をもたない我々は頭を下げ続けるしかな
ただただ申し訳ない




