強欲な世界-2
怒号。
罵声。
街が大変なことになってきた。
住民が一丸となって、血眼で僕らを探しているようだ。
僕は一旦、最早拠点と化している建物の屋上に飛び、住民が戻る前に病院を探し出す。
中に人がいるかもしれない。
だけど確認している暇はない!
ほぼ運任せに病院内部へと飛んだ。
景色が突然変わり、目の前に看護士の背中が現れた。
ヤバっ
僕は前の人間が振り向く前にもう一度飛ぶ。
次は病室だった。
ベッドが6つある病室で、その全てはカーテンで覆われていて中は見えない。
ほぼ白で埋め尽くされた部屋だが、僕の眼にはその6つのエリアに黒いもやのようなものが渦巻いて見えた。
とてつもなく嫌な予感がした。
そっと1つに近付いてカーテンを開ける。
そこには、動けないよう完全拘束され、猿轡を噛まされ、目隠しをされ、さらに頭にはヘッドフォンを取り付けられた、うめき声さえ出すことを許されない子どもがいた。
その子どもの眼は虚ろ。ちょうど街の人間達のような。
僕の中の黒い一点が、ジワリと広がる。
とりあえず頭からヘッドフォンを外し、猿轡と目隠しを取る。
ヘッドフォンからは僕には理解出来ない言語で同じような言葉が絶えず流れている。
これは洗脳かな。
この街の実態が見えてきた。
それなのに僕は何も感じないんだね。
今は僕にどうすることも出来ない。
とりあえずここにいる子ども達の拘束を解いていく。
だけど手足の拘束だけは解けない。
金属の枷がタイルや壁に繋がっているせいで能力で引き寄せられないから。
「ごめんね。」
僕は病室をあとにした。
消毒液らしきものを手近にあった袋に入れてありったけ持ち、包帯も持って僕は屋上へと戻った。
戻ると殴られた少女の近くで連れていた方の少女がずっと揺さぶっていた。
「ちょっとちょっとちょっと!」
慌てて少女を引き剥がす。重傷なのに揺さぶってちゃダメでしょ!
急いで持ってきた薬品を取り出すと身振り手振りでどれが消毒液かを少女に尋ねる。
消毒液ならばきっと一度は見たことがあるはずだ。
案の定、とある薬品を出した時に少女が勢いよく指をさした。
それの蓋を開けると、僕は自分の腕を軽く噛みちぎる。
出血し始める白い腕にその液体をかけると、とても痛かった。
だけどこれは間違いなく消毒液のようだね。
僕は少女の頭に付着している血液を、その消毒液を染み込ませたガーゼでそっと拭う。
一瞬、痛そうな顔をして呻いた彼女だったが我慢してくれてるようだ。
さすがに素人が傷口を縫うのはやめた方が良いだろう。
大きなたんこぶにはなっているが出血は少なく、止血は容易だったので包帯をグルグルと巻くだけでとりあえずは様子見することにした。




