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お飾り妻を溺愛する事情  作者: シャルru


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7 陽編 使用人たちとの団結


それからしばらくして・・


ボルソワーレ侯爵夫人主催の

お茶会に、ソフィアが招待された。


ソフィアは真っ青になる。


お茶会など、出席したこともないし、

親しい上位貴族など一人もいない。

メルベリー伯爵家など、

上流貴族の笑いものに違いない。


そんな考えが頭の中を渦巻く。


しかし、現在のソフィアは“契約妻”である。

妻である限り、ボルソワーレ侯爵夫人の

お茶会は妻の務め。


手に持ったお招待状を握りしめて、

ガクガク震える足には気合をいれて、

さっと立ち上がる。


“一か月後のお茶会に向けて特訓だわ“


すぐに執事と侍女長を呼び、

お茶会の招待状を見せた。

そして、どこに出ても恥ずかしくない

マナーの特訓をお願いした。


ソフィアは伯爵家の令嬢ではあるが、

社交デビューするころに、

家は貧乏になっていたので、

マナーを実践で使うような経験がなかったのだ。


そんな絵にかいた餅のように

身に着けたマナーでは

ボルソワーレ侯爵夫人のお茶会で

失礼なことをしでかすかもしれない。


そう思ったのだ。


奥様の初めてのお願いに

使用人たちは全力で答えた。

“どんなお茶会であろうと、基本は同じ”


そう励まされ、

毎日真剣に取り組む。


歩き方、挨拶の仕方、器の持ち方、


会話の聞き方・・・・


事細かくチェックをお願いした。


屋敷での過ごし方も変えた。

しばらくは、領地のことを置いといて、

来る、“お茶会”に向けて、

ソフィアと使用人が一丸となって

頑張ることになった。




一方で、お茶会の存在を全く知らない

フレデリック。


帰宅して思うのは、

使用人とソフィアが、以前よりマナーに

力を入れているようだ。


ということ。


出迎えるときの言葉も

「旦那様、今日もお仕事お疲れ様でございます。」

と、柔らかにほほ笑むのだ。


お飾りの妻として、来る日のためにマナーを身に着けることにしたのだろうと、軽く考え

今日も浴室に向かう。


湯船につかりながら、

「いろいろと思いつくものだ」

と先ほどの真面目に受け答えするソフィアの

顔を思い出す。


マナーは身に着けておいて困ることはない。

楽しんでいるようだし、温かく見守ることにしよう。

そう結論付けて湯船から上がった。


が、しかし。


夕食を前にして、驚く。

・・かなり真剣な取り組み方だ。気迫を感じる。


ナプキンが用意されたテーブル。

カトラリーとグラスがずらりと並び、

向かいに座るソフィアは背筋を伸ばして座っている。


斜め後ろから、トマスが料理を出す。

そして料理の説明をし、軽く頭を下げ後ろに控える。


その様子をぽかん。とみていた。


「申し訳ありません。慣れなくて」


恥ずかしそうに食事を始めるソフィア。


そんな日がしばらく続いたかと思うと、

最近は夕食時に領地の話も話題に

上がらないことが多く、


(興味がそれたのか)

と少し残念に思いつつも、


「まぁ、ゆっくりやればよい」

と思ったので

特に何も言わなかった。


それにしても。


夕食を食べる際のテーブルマナーは

今夜も毎晩本番さながらだ。


最近では料理も、そのためのコース仕様になっている気がする。


(面白い子だな)


テーブルマナーにすこし慣れてきたソフィアを見ながら、今日は先に食事を済ませ、

早めに休むことにした。


それから数日たったある休日のこと。


侍女長のベルが朝から部屋にやってきて、

「旦那様。本当に奥様のドレスを

仕立てなくてよいのですか?」

と困り顔で質問してきたので、


「こちらに聞かなくても、日常に必要ならば

手配してよい」

といつものことのように答えると、


ふう。とため息をついて

驚くことを口にした。


なんと。


“お茶会用のドレス“ ということだった。


お茶会など、初耳だ。


詳細を問うと、

ボルソワーレ侯爵夫人のお茶会だという。


しまった。

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