4 陽編 帰りたくなる
三日間の休暇が終わり、また忙しい日々が始まる。
休み前と変わらす忙しい日々だが、
それでもなぜか、なるべく屋敷に帰えるようになった。
庭のいたるところが美しく変わり、見るのが楽しみになったこと。
屋敷が活気にあふれ、自分にも良い刺激に感じたこと。
さらに、
ソフィアが食事を一緒に取るため
なぜか、“あまり遅くまで待たせてはいけない”
と思うようになったこと。
が。・・主な理由だ。
いいわけではなく、
食事は一緒に取らなくても良いと
何度もソフィアに告げたが、
「一人より、二人のほうが美味しいと思うので」
というので一緒に取るようになった。
きっと今まで、実家では大勢の家族で食事をしていたのだからさみしいのだろう。
そう思いながら、今夜もソフィアと食事をしている。
テーブル脇に控える執事のトマスが
「旦那様は最近お食事が進むようですね。料理人も喜んでおります」
と珍しく食事中に話しかけてきた。
まるで子供のころに戻ったようだ。
特に食事が進んでいるという自負はないが・・?
思い当たることはないか考えてみる。
食事中はあまりしゃべらないが、
ソフィアは時々、屋敷内での日常について話す。
それに時々相槌を打っていたら、
あっという間に食事がすんでしまう。
きっとそのせいだろう。
理由がわかり、脳内が整理された。
今日も仕事が忙しかったが、
屋敷に帰ると、一日の満足度が上がるようになった。
食事を終えて紅茶を口にしながら思う。
早く帰って、食事をとることは
一日のパフォーマンスを上げるようだ。
これからも続けるようにしよう。
同じく紅茶を口にしながらソフィアは、
ソファーに座り、何やら懸命にメモしている。
それにしても、ソフィアは真面目な子だ。
21歳といえば、友達と連れ立って
ショッピングに
オペラ鑑賞にお茶会。
そんな日常が普通だろう。
実際、フレデリックが以前お付き合いしていた
子爵令嬢は、ショッピングが大好きだった。
ソフィアはメモを書き終えると
フレデリックに話しかける。
「・・あれから考えていたのですが・・」
そういって、先ほどのメモを見せる。
「パオは外での管理が中心で、栽培時期が決まっていますが・・」
そういって、
夏に一気にとれるパオが一部破棄されている現状を報告する。
その表情は真剣だった。
差し出されたメモを受け取り、目をやる。
フレデリックは、領民にパオと農作物として収穫した分納めるように。
とだけ指示していたが、そんなに破棄があったとは・・
一通りメモに目を通し終えた様子をみて、続ける。
「管理の仕方で、熟すタイミングをずらすことも可能だと分かりましたし・・
捨てるのはもったいなくて。」
そういって、次のメモを渡す。
そこには領民が使用している倉庫の数が
場所ごとに書かれていた。
ソフィアは領地の倉庫の数まで把握している。
思い浮かんだ言葉を口にする。
「パオ農園の管理をやってみたいか?」
思わぬ言葉に、ソフィアは驚いたようで、
フレデリックをみて答える。
「・・・いえ。・・農地の経営など、経験もありませんし。・・ただ、どうにかできないかと。」
そういって下を向く。
遠慮がちなソフィアだ、無理はしないだろう。
「その思いがいあれば、パオの管理はできるだろう。
困ったこことは都度相談してくれたらよい」
そういって、メモを返した。
ソフィアは嬉しそうに目を輝かせる。
お飾りの妻として契約したソフィアは、
領地の管理まで進んでやろうとする。
素晴らしいお飾り妻なのだ。と、
心から思った。
そうしてお飾りの妻を迎えたギルフォード伯爵家の日常は順調に進んでいた。
フレデリックは今まで通り仕事にまい進する日々をすごし、ソフィアは、ギルフォード伯爵家での役割を得た。
一日の終わりは、ともに食事をとりながら、
ソフィアの話、主にパオの管理の報告を聞くことになった。
・・・そんな二人の様子を
執事や侍女たちは
ウズウズしながら見守っていのだ。




