13 陽編 初めてのデート
そうだ、今度の休みは
二人で植物園に行ってみよう。
植物が好きなソフィアの喜ぶ顔が見たい。
わくわくしながら、週末を待つことにする。
__そして週末の夜。
今夜も二人で夕食をとる。
「フレデリック様。毎日お仕事お疲れ様です」
ソフィアはニコリとほほ笑む。
それだけで、あと一週間は頑張れそうだ。
「そうだ。ソフィア。
明日、植物園へ出かけないか?」
国立記念植物園は、珍しい植物を
たくさん見ることができる。
「本当ですか? 嬉しい!」
ソフィアはご機嫌だ。
この反応にフレデリックは、ほっとするのだった。
「じゃあ、ピクニックもかねて良いですか?
あこがれていたんです」
とかなり乗り気の様子。
(よかった・・・)
やはりソフィアは、自然が好きなのだな。
明日が楽しみで、眠れなくなりそうだ。
その夜は早めに休むことにする。
※※
___翌朝
コンコン。
「旦那様。おはようございます。」
ドアの向こうでソフィアの声がする。
フレデリックの部屋までやってきたようだ。
「・・嬉しくて、朝食のお迎えに来てしまいました」
ドアを開けると、明るい笑顔でフレデリックに話す
そのかわいらしさに、
ぶっ倒れそうな精神に喝をいれて
「ああ、そうか」
と冷静を装って、
そっと、ソフィアに手を差し出してみた
すっと。
その手を握ったソフィアは
そのまま手をつないで食堂まで歩く。
そんな二人を
屋敷の使用人たちはほほえましく見ていた。
(まぁ。)
新米侍女の喜ぶ声
(これ。)
それを侍女長が笑顔でたしなめる。
__伯爵邸は今日も優しい雰囲気であふれている。
※※
国立記念植物園
広大な敷地に、この国で育てられている。
ほぼすべての植物が植えられている。
ソフィアは気に入った植物をメモしながら
広い敷地を散策している。
「旦那様。お庭がそろそろ完成するんですよ。
楽しみにしていてくださいね」
ソフィアは自分の楽しみのためではなく、
フレデリックに喜んでもらいたくて
庭づくりをしていたらしい。
たしかに女性にしては
バラが少なく、大人っぽい印象だった。
どこまでもフレデリック想いのソフィアが
愛おしくなる。
そっとソフィアと手をつなぐ。
にこりとほほ笑み
受け入れてくれた。
__その後は、ガセボで昼食をとる。
伯爵家の料理人が二人のために
サンドイッチやケーキ、フルーツ等
盛りだくさんの食事を用意してくれた。
・・・どことなく、ハートがちりばめられているのは、料理人からの応援だろう。
「おいしい」
意外と食欲のあるソフィアは
大きな口でサンドイッチを頬張る。
「あ」
と詰め込みすぎた口元を恥ずかしそうに隠す。
そんな仕草も、刺さるほどかわいい。
ああ、許されるなら
今すぐ抱きしめてしまいたい。
そんな衝動を抑え、冷静になる。
…ソフィア。
相談があるんだ。
真剣なまなざしで彼女を見つめる。
ソフィアはジュースを飲むのをやめて
フレデリックの顔を見つめる。
「お飾り妻の契約の件だけれど・・」
__そういった途端。
サッと顔色が変わる。
(どうした?)
なにか、まずいことがあるのだろうか・・・
「あ・・いや。気にしないでくれ。
今日は庭園を楽しもう」
そういうと、ソフィアは笑顔を取り戻した。
何だろう。気になるなぁ。
それ以降は、手をつなぐこともなく
共に植物園を楽しみ、帰路についた。




