第4話 『フリートーク・二回目 城田 夏帆』
フリートーク2回目。
回転寿司方式で、俺が一つ席を移動すると、次に向き合ったのは城田 夏帆だった。
「坂口くん、久しぶり! こんなところで会うなんてびっくりしたぁ~」
相変わらず、ニコッと笑った太陽みたいな笑顔が可愛い。成績もいつも学年でトップ、体育祭ではリレーのアンカー、だけど性格は全くお高く留まっていない。高校のマドンナ、というよりもヒロインという言葉がよく似合った。彼女のことが嫌いな人を見たことがなかった。
高校二年生の時に彼女はその人望から生徒会長に推薦され、俺は書記として一緒に生徒会をしていた。小中と冴えないド陰キャだった俺は、高校で生まれ変わろうと生徒会なんて目立つものに立候補したのだった。とはいえ、すぐに変われるはずもなく、いつも彼女にフォローしてもらっていた。
そんな美女に優しくされた俺は、あっさりと、本当にあっさりと彼女のことが好きになっていった。
一度、半年かけて作った部活動実態調査をまとめたエクセルファイルを俺が誤って削除してしまい、夏帆が一緒に作り直してくれたことがあった。
「あの時、本当に助かったよ」
「え~資料一緒に作ったのは覚えてるけど、あれって坂口くんがファイル消しちゃったんだっけ?」
生徒会のメンバーは俺以外、全員運動部のイケてるやつで、場違いだった俺はいつも少し腰が引けていた。そんな自分の、とんでもないミス。それを生徒会の仲間に報告すると思うだけで当時の自分は手が震えて、いっそ教室から飛び降りたいと思うほどだった。生徒会長だった夏帆に恐る恐る報告すると彼女は「明日までに作っちゃえば、証拠隠滅じゃない?」と言って、放課後一緒に残って作ってくれたのだった。
作業が終わったのが二十一時で、彼女と僕は駅に向かう同じバスに乗った。その車内で告白した。今思えばムードもないし、自分のタイミングで告げた独りよがりの告白で恥ずかしすぎる。
そして当たり前のように、彼女に振られた。
「好きな人がいる」と。そこから卒業まで、俺のほうが一方的に避け続けてしまった。
「今、エクセレンスに勤めてるんだね。すごい、超大手じゃん」
相変わらず、相手を褒めてくれることから会話を始める。自分のほうがずっと優秀なのに。
「夏帆さんも、医学部いったのは知ってたけど、無事にお医者さんになったんだね。すごいなあ」
「ここにいるってことは、彼女はいないの?」
「うん、三年くらい」
「私も。医学部四年生くらいから本当に忙しくてさ……坂口くんは、カッコよくなったよね」
「え……っ」
「は~い。じゃあ席替えです!」
彼女の言葉に、僕の心臓が跳ねたところで再び田中が号令をかけた。俺がじゃあ、と挨拶すると、彼女が俺の袖の隅を右手でつかんだ。そして俺が振り向くと
「第一印象ゲーム、坂口君に触ったよ」
と言って彼女は俺にウインクして見せた。




