第六話 セイアというエルフ/異世界での必須事項
朝。
司はゆっくりと目を開けた。
「…………知らない天井だ」
見慣れない天井。
白い天井をぼんやりと眺めながら、司は数秒間、何も考えなかった。
「……ここ、どこだ?」
身体を起こす。
そして――
「……あ。そうだった。リュシアの家…か」
昨日の出来事が、一気に頭の中へ蘇ってきた。
知らない街。
親水王国
亜人
リュシア
そして――セイア
「…………はぁ」
司は小さく息を吐いた。
「……夢じゃ…なかったんだよな」
日本にいたはずの自分が、突然この世界へやって来た。
そして昨日だけでも、あまりにも多くのことが起きた。
特に印象に残っているのは――。
「……リュシア、死んだんだよな」
あのとき確かに、リュシアは死んだ。思い出すと吐気がする。
なのに、しばらくすると何事もなかったように蘇った。
この世界では、それが特別なことではないらしい。
「……本当に、変な世界だな」
そんなことを考えていると――。
「司さん?おはようございます」
扉の向こうから声がした。
「朝ご飯できましたよ」
「あ、うん。今行くからちょっと待って」
司はベッドから降りる。そして伸びをする。
まだ分からないことだらけだ。
それでも――今は考えていても仕方がない。
司は部屋を出た。
---
居間へ行くと、リュシアとセイアがすでに席についていた。
「おはようございます、司さん」
「おはようございます」
「おはよう、二人とも」
司も席につく。
テーブルの上には、朝食が並べられていた。
「……お」
司は料理を見る。
「普通に朝飯だ……」
「?」
リュシアが首を傾げる。
「どういう意味ですか?」
「いや、もっとこう……異世界っぽい食事なのかと思ってた」
「異世界っぽい……?異世界とは…なんでしょうか?」
「いや、なんでもない」
司は料理を見る。
見たことのない料理もある。
けれど、パンや野菜、卵料理など、日本にいた頃にも見慣れていたものもある。
「……こういうところは、日ほ…武装大国とあんまり変わらないんだな」
「にほ……?」
「…………」
司は一瞬固まった。
「いや、シャルマのこと」
「そうですか?」
「うん。シャルマでも似たような朝飯だったなーって」
「なるほど」
リュシアは特に疑わなかった。
司は心の中でほっとする。
――危ない。
気をつけないと。
自分が日本から来たことは、絶対に知られてはいけない。
「いただきます」
司が食事を始める。
その向かいでは、セイアも静かに食事をしていた。
「…………」
司はふと、セイアを見る。
姿勢がいい。
背筋が伸びている。
食器の扱いも丁寧だ。
動作一つ一つが落ち着いている。
「…………」
司は自分の姿勢を見る。
「……あれ?」
「どうしました?」
リュシアが尋ねる。
「いや……」
司は少し背筋を伸ばす。
「俺、日ほ…武装大国にいたときより姿勢よくなってない?」
「そうですか?」
「うん」
少し考える。
「……セイアのお陰か?」
「私、ですか?」
「うん。なんかセイア見てると、自然と姿勢よくしなきゃって思うんだよな」
「……そうでしょうか」
セイアは不思議そうに首を傾げる。
その仕草すら妙に上品だった。
「やっぱりさ」
「はい?」
「セイアって、上品だよな」
「…………」
セイアが少し固まる。
「……そうでしょうか?」
「うん」
司は頷く。
「昨日から思ってたけど」
リュシアも頷いた。
「私もそう思います。全体的に」
「だよな?」
「はい」
「なんか普通の人って感じがしないんだよな」
「…………」
セイアは少し困ったように笑った。
「普通だと思いますけど……」
「いや、絶対普通じゃないって」
「どういう意味でしょう……」
「なんていうか……お嬢様っぽい」
「…………」
セイアが目を逸らす。
「……気のせいです」
「昨日もそれ言ってたよな」
「気のせいです」
「絶対なんかあるじゃん……」
リュシアが小さく笑う。
「セイアさん、隠し事がお上手ですね」
「リュシアさんまで……」
---
しばらく食事を続ける。
すると、司はふと思い出した。
「そういえばさ」
「はい?」
「セイアって何歳なの?」
「…………」
セイアは何でもないことのように答えた。
「百八十四歳です」
「…………」
司の手が止まった。
「……え?」
「百八十四歳です」
「聞き間違いじゃなかった」
司はリュシアを見る。
「……リュシアは?」
「私は百八十五歳ですよ?」
「…………」
司はしばらく黙った。
「いや待って」
「はい?」
「二人ともそんなに年上なの?」
「そうですね」
「俺、十七歳なんだけど」
「はい」
「……俺からしたら二人とも、とんでもない年上なんだけど」
リュシアが少し笑う。
「エルフですから」
「それで済ませるの!?」
---
少し落ち着いたところで、司は再びセイアを見る。
「じゃあ、セイアってどこ出身なの?」
「私は――」
セイアは少し間を置いて答えた。
「神人王国です」
「神人王国……《アルマゲド》?」
「はい」
「どんな国なの?」
「……そうですね」
セイアは少し考える。
「様々な文化がある国です」
「文化?」
「はい。特に魔法に関する文化は有名だと思います」
リュシアが反応する。
「神人王国は、魔法が有名だと聞いたことがあります」
「はい。魔法を学ぶ場所も多いですし、魔法を使った道具も多くあります」
「なるほど……」
司は興味深そうに聞いている。
「そういえば、昨日もセイアって魔道具について詳しかったよな」
「……知識があるだけです」
「でも魔法は使えないんだよな?」
「はい」
「なのに、なんでそんなに詳しいの?」
「…………」
セイアは少しだけ視線を落とした。
「昔、学んだので」
「昔?」
「はい」
それ以上は話さなかった。
司は少し気になったものの、無理に聞くことはしなかった。
---
「そういえばさ」
司はふと思い出す。どこかで見た。そんな記憶があったからだ。
「アルマゲドって、宗教も結構あるんだっけ?」
「はい。いくつもの宗教があります」
「国民はみんな何かの宗教に入ってるの?」
「いいえ」
セイアは首を横に振る。
「信仰するかどうかは自由です。私はどの宗教にも入っていませんよ」
「え、そうなの?」
「はい」
「じゃあ、宗教に入ってない人も普通にいるんだ」
「もちろんです」
セイアは当たり前のように答えた。
「ただ、宗教によっては礼拝をしたり、食べてはいけないものが決まっていたり、服装に決まりがあったりします」
「へぇ……」
司は興味深そうに聞く。
「じゃあ、食事の前に祈ったりする人も?」
「はい。宗派によっては」
「……それってイスラ──」
司は途中で口を閉じた。
「…………」
「司さん?」
「……ジャゴル」
「……ジャゴル?」
セイアが首を傾げる。
リュシアも不思議そうに司を見る。
「えっと……」
司は一瞬考える。
「ジャゴル?」
「はい。今、そう言いましたよね?」
「ああ……」
司は少しだけ視線を逸らす。
「俺が暮らしてた地域で、昔から信仰されてた宗教なんだ」
「そうなんですか?」
「うん」
「私は聞いたことがありません」
セイアが首を傾げる。
「この辺りでは知られていない宗教なんでしょうか?」
「……まあ、そんなところ」
司は苦笑する。
「いや……正確に言うと、俺が暮らしてた地域では主流だった宗教、って言った方が正しかったな」
「なるほど」
「昔、色々あって……消えちまったんだ」
「消えた?」
「うん。今はもう、ほとんど残ってない」
「……そうだったんですね」
セイアはそれ以上深く聞かなかった。
「はい。宗教によっては礼拝をしたり、食べてはいけないものが決まっていたり、服装に決まりがあったりします」
「あ、そういう感じなんだ」
司はほっとしながら頷く。
「宗教によって結構違うんだな」
「はい」
セイアは穏やかに答える。
「あと、国全体で同じ風習があるわけではありません」
セイアが続ける。
「地域によっても違いますし、村によっても違います」
「村によって?」
「はい。同じ神人王国でも、昔から続いている風習が村ごとにありますから」
「へぇ……」
「私の故郷では普通だったことが、別の地域では珍しいこともあります」
「なるほどなぁ」
司は少し考える。
「じゃあ、セイアが上品なのも、その故郷の風習とか関係あるの?」
「……少しはあるかもしれません」
「やっぱりか」
司は納得する。
「なんか納得したわ」
セイアは小さく微笑んだ。
---
「それと……」
セイアが少しだけ表情を変える。
「神人王国では、人間と亜人の扱いも少し違います」
「亜人?」
「はい」
「……差別がないとか?」
「そうですね」
セイアは頷く。
「アルマゲドでは、亜人であることを理由に人を傷つけたり、仕事を奪ったり、街から追い出したりすることは認められていません」
「……それって」
司の表情が少し真剣になる。
「犯罪になるってこと?」
「はい」
「……そっか」
昨日のエグゼルトで見た光景を思い出す。
亜人だから。
ただそれだけの理由で傷つけられていたリュシア。
水路へ落とされたセイア。
「でも」
セイアは続ける。
「文化や風習まで同じにする必要はありません」
「?」
「例えば、昔から人間だけで暮らしている村や、亜人だけで暮らしている村があります」
「そういうところもあるんだ」
「はい。そこで暮らす人々が、自分たちの風習を守りたいと考えることもあります」
「それは認められてるの?」
「はい。ただし、他者を傷つけたり、権利を奪ったりすることとは別です」
「……差別と区別は違うってことか」
「そういうことです」
セイアは頷いた。
「街へ行くこと自体は自由です。人間も亜人も、買い物をしたり、働いたりできます」
「なるほどな」
司は少し考える。
「じゃあ、村の風習を守るために『ここで暮らすのはやめてください』って言うのは?」
「その理由や方法によりますが、共同体として認められる場合はあります」
「でも、暴力で追い出したら?」
「犯罪です」
「……なるほど」
司は納得した。
「結構ちゃんとしてるんだな」
「はい」
セイアは穏やかに笑った。
「私は、それが普通だと思っています」
その言葉を聞いて、司は少しだけ黙った。
「……普通、か」
その「普通」が、今のエグゼルトでは普通ではない。
それが少し、不思議だった。
---
朝食も終わりに近づいていた。
司は食器を置き、椅子の背もたれへ身体を預ける。
「ご馳走様。……さて」
そこで、司は改めて自分の現状を考えた。
「俺……これからどうしよう」
「どうするんですか?」
リュシアが尋ねる。
「いや……」
司は指を折りながら数える。
「金がない」
「はい」
「仕事もない」
「はい」
「身分証もない」
「はい」
「……詰んでない?」
「…………」
リュシアが苦笑する。
「そうですね……」
少し考えた後、リュシアが口を開いた。
「司さん」
「ん?」
「まずは――」
リュシアは微笑んだ。
「身分証を作りに、役所へ行きましょう」
「……身分証?」
「はい」
司は顔を上げた。
「それがないと、色々と不便ですから」
「なるほど……」
司は頷く。
「じゃあ、今日は身分証を作りに行こう!」
こうして三人は、役所へ向かうことになった。
朝食を終え、司たちは食器を片付けていた。
「……よし」
司は自分の皿を持ち上げる。
「これで終わりだな」
「はい」
リュシアが頷く。
セイアも静かに食器を重ねていく。
「じゃあ、そろそろ行くか」
「そうですね」
リュシアが食器を片付けながら答える。
「役所までは、そんなに遠くありませんから」
「そっか」
司は立ち上がる。
そして、ふと何かを思い出した。
「……あ」
「どうしました?」
「身分証ってさ」
「はい」
「どんな感じなんだ?」
「どんな感じ、と言いますと?」
「いや、ほら。何が書いてあるのかなって」
「基本的には、名前や種族、出身国などですね」
「……出身国も?」
「はい」
「…………」
司の動きが止まった。
「どうしました?」
「いや……」
司は少し考える。
「俺、武装大国出身だけど、大丈夫なのかなって」
「大丈夫だと思いますよ」
「本当に?」
「はい」
リュシアは頷く。
「ただ、出身地について詳しく聞かれる可能性はあるかもしれません」
「…………」
司は固まった。
「……武装大国のこと、あんまり覚えてないんだよね。正直暮らしてた場所が切り離された街だったから」
「……あ」
リュシアも少し困ったような顔をする。
「そうでしたか」
「うん」
「では、私が知っている範囲でお教えしましょうか?」
「助かる!」
司は思わず食いついた。
「武装大国ってどんな国?」
「武装大国は──」
「うん」
「……すみません。私も詳しくはありません」
「なんで!?」
「隣国ではありますが、私も行ったことはありませんから……」
「そっか……」
司は頭を抱える。
「……どうしよう」
「大丈夫ですよ」
「何が?」
「司さんが困ったら、私ができる範囲で助けますから」
「……リュシア」
「はい?」
「本当にありがとう」
「いえいえ」
リュシアは微笑んだ。
その様子を見ていたセイアが、静かに口を開く。
「……私も、何かあればお手伝いします」
「セイアも?」
「はい」
「ありがとな」
司は笑った。
「二人とも頼りになるな」
「……そうでしょうか」
セイアは少し照れたように目を伏せた。
「……やっぱり上品だな」
「またですか……?」
セイアが困ったように笑う。
「だってそう見えるんだもん」
---
三人は家を出た。
王都の通りを歩きながら、司は周囲を見回す。
昨日は何もかもが新鮮で、ただ眺めているだけだった。
しかし今日は、少しだけ余裕がある。
水路。
店。
魔道具。
人間。
そして亜人/獣人。←亜人と獣人は区別している。
「……」
司は歩きながら、すれ違う人々を見る。
獣のような耳を持つ人。
角の生えた人。
長く尖った耳を持つエルフ。
昨日見た光景と同じだ。
けれど──。
「……なぁ」
「はい?」
司はリュシアへ尋ねる。
「この街って、本当に亜人も獣人も普通に暮らしてるんだよな?」
「はい」
「昨日みたいなことって……」
司は言葉を止める。
「……珍しいの?」
リュシアは少し黙った。
「珍しい……とは言い切れません」
「……そっか」
「ですが、誰もがそういう考えを持っているわけではありません」
「うん」
司は前を見る。
少し離れたところで、獣人の親子が笑いながら歩いている。
その光景を見ていると、昨日の出来事が嘘のようにも思えた。
「……普通に暮らしてるんだな」
「はい」
リュシアが微笑む。
「ここでは、それが普通ですから」
「……そうだよな」
司は小さく頷いた。
---
「そういえば」
司がセイアを見る。
「セイアは身分証持ってるんだよな?」
「はい」
「見せてもらってもいい?」
「……構いませんが」
セイアは懐から一枚のカードを取り出した。
「これです」
「へぇ……」
司は受け取る。
そこには、名前や種族などが記されている。セイア、エルフ等々
「……なんか、本当にちゃんとしてるな」
「身分証ですから」
「いや、そうなんだけどさ」
司はカードを眺める。
「……セイアって、やっぱりこういうのもちゃんとしてるよな」
「どういう意味でしょう……」
「いや、なんとなく」
司はカードを返す。
「ありがと」
「はい」
セイアがカードをしまう。
「……それにしても」
司は歩きながら呟いた。
「百八十四歳か……」
「……まだその話をするんですか?」
「だって昨日聞いたばっかりだぞ?」
「私からすれば、司さんの十七歳の方が驚きです」
「そうなの?」
「はい。とても若いですから」
「……そう言われると、なんか恥ずかしいな」
司は頭を掻いた。
「二人からしたら、俺なんて子供みたいなもんか」
「そうですね。成人はしていても」←親水王国の成人年齢は14歳。なので適齢期は17\~18歳(結婚の話。もちろん人間の場合)
「即答!?」
リュシアが小さく笑った。
---
しばらく歩くと、前方に大きな建物が見えてきた。
「……あれ?」
「はい」
リュシアが頷く。
「役所です」
「……おお」
司は建物を見上げる。
「思ったより普通だな」
「役所ですからね」
「それもそうか」
三人はそのまま建物の中へ入っていった。
中には何人かの人がいて、それぞれ窓口で手続きをしている。
「……なんか緊張するな」
「大丈夫ですよ」
「そうかなぁ……」
司は小さく息を吐いた。
三人で受付へ向かう。
「こんにちは」
受付の人が声をかける。
「こんにちは」
リュシアが返す。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「身分証の発行をお願いします」
「かしこまりました」
受付の人が司を見る。
「新規発行でしょうか?」
「はい」
「では、いくつか確認させていただきます」
「分かりました」
「お名前をお願いします」
「七瀬司です」
受付の人が書類へ記入する。
「種族は?」
「人間です」
「出身国は?」
「武装大国です」
「承知しました」
ここまでは問題ない。
司は少しだけ安心する。
「では、出生地は──」
「…………」
司の表情が固まった。
「……出生地?」
「はい」
「…………」
司は横を見る。
リュシアも司を見る。
セイアも静かにこちらを見ている。
司は小声で呟いた。
「……どうしよう」
「……司さん」
リュシアが小さな声で呼ぶ。
「私もシャルマの地理までは……」
「だよな……」
司は必死に頭を働かせる。
シャルマ。
武装大国。
自分の知らない国。
「……えっと」
司が口を開こうとした、そのとき。
「司さんは、シャルマのかなり遠方の地域の出身なんです」
「……!」
リュシアが自然な声で言った。
「そうなんです!」
司もすぐに便乗する。
「かなり遠いところでして!」
「そうなのですね」
受付の人は特に疑う様子もなく、書類へ記入を続けた。
司は心の中で胸を撫で下ろす。
──危なかった。
そして小声でリュシアに話しかける。
「……ありがとう」
「いえ」
リュシアは微笑んだ。
「あとでちゃんと地図を見てとりあえず決めておきましょうね」
「……はい」
司は苦笑した。
「俺、この国に来てから大変な事ばかりだな……」
「大丈夫ですよ」
「そうかな」
「はい」
リュシアが頷く。
「司さんが悪いことをしているわけではありませんから」
「……そっか」
司は少しだけ安心した。
---
いくつかの確認を終え、しばらく待つ。
やがて受付の人が一枚のカードを持って戻ってきた。
「お待たせしました」
「はい」
「こちらが身分証になります」
司はカードを受け取る。
「……これが」
自分の名前が書かれている。
七瀬司。
人間。
武装大国。
それだけの情報なのに、司はしばらく眺めていた。
「……なんか」
「はい?」
リュシアが尋ねる。
「俺、この世界にちゃんと登録されたんだなって」
「……そうですね」
リュシアが優しく微笑む。
セイアも横から身分証を見る。
「これで、この国でできることも増えると思います」
「そっか」
司はカードを大切そうにしまった。
「……一歩進んだって感じだな」
昨日までは、何も分からなかった。
自分がどこにいるのかも。
何をすればいいのかも。
これからどうやって生きていくのかも。
それでも今は──。
「よし」
司は立ち上がった。
「じゃあ、次は仕事探しだな!」
「……その前に」
リュシアが苦笑する。
「シャルマについて、少し勉強した方がいいと思います」
「……はい」
司は小さく肩を落とした。
「それはそうだな……」
セイアが小さく笑う。
「頑張ってください、司さん」
「他人事みたいに言うなよ」
「ふふ……」
三人の笑い声が、役所の中に小さく響いた。
こうして司は、この世界で生きていくための最初の一歩を踏み出した。
To be continued
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【作者よりお願い】
毎週日曜日、朝6時に最新話を更新しています!
「続きが気になる!」「面白そう!」と思ってくださったら、
画面下にある【ブックマークに追加】や、【☆☆☆☆☆(星)】をタップして応援していただけると、執筆の大きな励みになります!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読んでいただきありがとうございました。




