第十話 魔力を効率よく使おう
リュシア少な目回。
……司が起きる。セイアとリュシアはいない。
「ん~……」
一人で伸びをする。
「起きるか」
司はベッドから起き上がり、床に足をつけて洗面台に向かう。
やっぱり日本と生活の基盤は似てるんだよなぁ。
そんなことを思いながら、顔を洗う。
「おはようございます。司さん」
リュシアが言う。
「ああ、おはよう」
司が返す。
────────
「朝食、できたぞ」
今日の朝食は、昨日言ったように司が作っていた。
その言葉を合図に、リュシアとセイアが椅子に座る。
「いただきます」
「いただきます」
セイアとリュシアも続いて言う。
「美味しいですね。司さん」
「本当です」
「褒めてくれてありがとうな」
「話変わるけど、今日って魔力を効率よく使う方法? を練習するんだよな」
「はい。そうです」
セイアが答える。
「んじゃぁ、それってどうやるの?」
「想像です」
「また想像かよぉ」
「魔法は想像なので」
────────
司たちは朝食を食べ終えた後、リュシアの家の庭に出た。
「んで、どういう想像をすりゃぁいいんだ?」
「まずは昨日の復習です」
「分かった」
そう短く応じ、司は小さな氷から出す。
続いて、大きい氷、壁のような氷、剣、盾など。
「大体できたぞ。何か簡単になったな」
「そうでしょうね。昨日で大体の感覚をつかみましたから」
セイアが言う。
褒めのつもりなのだろうか。
「んじゃぁ、魔力を効率よく使う練習をしようぜ」
「その前に説明をしましょう。昨日の司さんは魔法は出せていますが、無駄が多いです」
「無駄とか言わないでくれる? 悲しいんだけど?」
「いえ、無駄なので」
「……セイアは冷たいなぁ。まぁいいけど。んで、その無駄ってやつをどうやってなくせばいいの?」
「『出ろ』と念じる際に、どの程度の魔力を使えばいいか考えます。一応、自分で自分の魔力量は大体分かります」
「分かった。やってみる」
司は言われた通り、魔力を意識してやってみた。
一回目。失敗。
二回目。失敗。
そのように何度も失敗を繰り返すと、ようやく小さな氷が出る。
「あんまり感覚変わらないけど。これ出したときの」
「そりゃぁ小さい氷ですから。魔力消費が少ないんです」
「んじゃぁ、もっと大きい氷でやらない?」
「そうですね」
「いいと思います」
リュシアも続く。
司は集中して、少ない魔力で大きな氷を出そうと奮闘する。
十回程度やったときだった。
司の目の前に、壁のような氷が出た。
「昨日より疲れないな」
「魔力消費が効率よくなってきたからです」
「んじゃぁ、昨日の技も練習しようぜ」
「そうですね。じゃぁ、やってみてください」
司は想像……イメージを固めて魔法を出す。
今度は一発で成功したようだ。
「感覚つかんできたな」
「すごいです。司さん」
リュシアが褒める。
それに対して、司は少し照れる。
なんかこの子といると……心地いいな。
そんな気持ちを抱きつつ、魔法の練習を進めるのだった。
「もっといろいろ試せそうだな」
思わず言葉が漏れる。
「そうですね」
セイアが言う。
────────
「なぁ、セイア。これって同じ魔力でも、熟練度? だったかが上がれば性能も上がるの?」
「そうですね。熟練度が上がれば、同じ魔力でさらに硬く、さらに密度を上げることができます。氷の場合は、ですが」
「んじゃぁ、やってみようぜ」
「そうですね。試してみましょう」
司はまず、密度の高い小さな氷を出す。
普通の氷と重さを比べる。
「こっちのほうが重いな」
「そうですね。魔法は大きさではなく、想像のほうが大事です」
「想像かぁ……でも、もっと効率よくしない? 複数で」
司はそう言って、氷の棘を三本出す。
「すごいです。昨日よりも魔力消費が少ないですね」
セイアが褒める。
「これって、薄い板の密度を上げれば効率がいいんじゃないか?」
「そうですね。では、やってみてください」
司は言われた通り、想像を固めて薄い氷を出す。
リュシアがセイアに言われて、それに向かって風を出す。
「頑丈だなぁ。リュシアの風でも壊れない」
「まぁ、威力は調整しましたが」
「それはそうだけど」
「魔法って、想像が大事なんだな」
「理解しましたね」
「理解したぜ」
────────
夕飯時。
司が夕飯を作りながらリュシアたちと話していたとき。
「そういえば司さん。今日の疲労ってどんな感じですか?」
「あー、昨日より魔法を使ったけど、昨日より少なかったと思う」
「成長ですね」
セイアが褒める。
「飯できたぞ」
「いただきます」
セイアとリュシアが言う。
「いただきます」
司もそう言って、食べ始める。
「んじゃぁ、明日は何の練習する?」
「魔道具とかどうですか? 司さんなら応用が得意そうですし」
「いいと思います。リュシアさん」
「んじゃぁ、明日は魔道具を使うのか」
「そういうことになります」
話し込んでいるうちに、夕飯を食べ終える。
「ごちそうさまでした」
リュシアとセイアが言う。
「お粗末様でした」
司が言う。
「お粗末様ですか? って、どういう意味ですか?」
「あー、これも俺の住んでた地域の伝統で、自分の創ったものに対する謙遜の言葉みたいな感じ」
「そうなんですね。武装大国にはいろいろな文化があるんですね」
──
夕食の皿を洗い終え、三人は座椅子に腰掛けて話していた。
「魔道具って売ってんの?」
「その辺の露店でも売っていますよ。まぁ、魔法専門店で買ったほうがいいかと」
「んじゃぁ、明日はその魔法専門店? ってやつ行ってみようぜ」
「そうですね」
「んじゃぁ、そろそろ夜も深くなってきたし、寝ようぜ」
「そうですね」
司がそう言い、三人はベッドに行く。
そうして互いに寝る前の挨拶を済ませ、眠りに落ちていった。
To be continued




