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異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい  作者: よく知らんロボ


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 星澪ほしみお奏紗かなさ、魔女のように多属性の魔法を操る上にゲートを解放したままにする事もできるって、一体どういうスキルを持っているんだろうか。

 詳細はまだよく解らないけど、一つ確かなことは彼女もやはり魔王のスキルで操られているということだ。


 ともかく今はまずは魔王の側まで行かなくては。しかし大講堂は魔族達で一杯、鼠の通る隙間もない。


「牌谷さん……、足場を造ってあの壇上までいけますか……?」


 蚊の鳴くような声の問い掛けに彼女が小さくうなずいた。

 ということで一歩ずつ操血の足場を登り魔族達を見下ろしながらその頭上を歩いていく。

 以前より器用に血を操る事が出来るようになった彼女だけど、人を乗せて魔法の絨毯のように移動なんてのは無理らしい。


 それでも潜影の発動中なら誰にも見えない足場となる彼女の能力とのスキルコンボは思っていたよりもかなり便利で役に立つ。


「凄い数だね……」

「ですね……」


 一歩踏み外したら人食いの化物の群れの中。そう思うと背筋が凍る思いだ。


 冷や冷やしながらも壇上の真上、魔王の頭上まで辿り着いた。


 魔王は演説を終えたらしく、それに習って星澪奏紗も後ろへと振り返り、またも背を向けたままゲートの操作儀式と思われる術式に没頭し始める。

 

 そろそろ黙って見てる訳にもいかないか。

 でも魔王の洗脳だかのスキルがどの様なものか解らない。潜影は発動させたまま姿はまだ晒さないほうが無難かな。


「おい魔王ルベル」


 天井から響く声に魔王は辺りを見回し、魔族達はざわつきだす。


 が、そこは魔王。声の主が誰なのか検討はついたらしく、すぐに落ち着きを取り戻し口を開いた。


「ソウルソーマの盗人か、とうとうこんなとこまできやがったか。どうやったかは知らんがサリーを甦らせた上にノクスまで解放したらしいな」


 この言葉で確信した。


「詳しいな、どうせノクスに見張りでもつけてたんだろ」

「ご名答、なんなら今も監視中だ」


 やっぱりお見通しか。それにしてもベラベラと喋ってくれる、流石に余裕が溢れてるな。


 ちなみにノクスが監視されている可能性に気づいたのは、エルが言った斥候や見張りの話とそこから通信機器という言葉を連想したからだ。


 未来視で見た魔王のノクスへの評価は『食えない奴』だった。

 それにルサーリアさんとの戦闘で見せた不安定さも含めると、たとえ操っているとは言えノクス程の実力者を放し飼いにしないというのは至極真っ当な考え方であり、俺だって魔王の立場ならそうするだろう。


 そしてエルの持つログでの会話と似た遠距離での情報交換を行えるスキルが存在する可能性は十分に有り得る。


 以上の情報から考えてみる。


 魔王は今「どうやったかは知らんが」と言っていた、つまり見張り役は抽出施設での戦闘は確認出来ていないという事だ。それにあの鋭いノクス自身が監視に気づいて無さそうな点から考えて、恐らく彼の感知範囲外から、若しくは一定の距離を取りつつ魔力感知能力をすり抜けるスキルなどを駆使して監視していたのだろうと思われる。


 うん、大体考えていた通り……かな。


「どうした、隠れてないで出てきたらどうだ?」


 さあ、どうするか。魔王とのファーストコンタクトだ。


「牌谷さん……」

「殺さないほうがいいよね……? 逃げられないように脚を切り落とそうか……」


 こういう時の彼女の察しの早さと容赦の無さは相変わらずだ。

 それに獲物を狙って煌めく魔族由来の十字瞳孔を刻んだその瞳は、めっちゃ怖いけど凄く綺麗で、何というか時折目が離せなくなる事がある……。

 いやいや深い意味は無い、非常に頼りになるって話だ。


 話を戻そう。この高所なら潜影が解けても飛べる魔族以外はすぐに襲いかかってくる事は出来ないだろう。それに飛んでくる奴は操血の餌食。初撃を撃ち込む条件としては悪くないんじゃなかろうか。


 それでも念には念を……。未来視である程度の結果は見ておこう。


 そう思いスキルを発動するが何も反応がない。なんでだ……?


「ログ……」


『不確定要素の干渉により未来視の発動不可』


 なんだこれ……、こんなの初めてだ。魔王のスキルか? それとも星澪奏紗がなにか行っているせいか?

 どちらにしろここからは保険は使えないって事か……。


 これはメチャクチャ痛いけど仕方ない。ここまできたらどのみち戦うしかない。


「どした……?」

「いえ、大丈夫です……。脚、いっちゃいましょう……」

「オッケー……」


 言葉と共に操血球を幾つも魔王の脚回りへと配置すると、彼女の合図でそれは刃と変わり魔王へと襲いかかる。


「──!? ぐぎゃあああぁぁぁ! あ、脚がぁぁぁ!」


 見るも無惨、ズタズタとはこの事。

 脚の肉を引き裂かれた魔王は大量の血を流しながらその場に倒れ込み、傷口を抑えながら呻いている。


 あ、あれ、これ、死んじゃわない……?


 牌谷さんも、やりすぎましたと言わんばかりに青い面で俺と顔を見合わせている。


「や、やりすぎちゃった……」


 ていうかもう言っちゃってるし……。


 多分ノクスがあんな感じだったから魔王も殺すぐらいのつもりで丁度いいと考えての攻撃だろうな。


『接触により潜影が解除』

 

 魔王の奴、からめ手ばかりで実戦の方は大した事ないのかな……。

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― 新着の感想 ―
な、わけがないね。多分、演技じゃない?
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