表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい  作者: よく知らんロボ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/86

68

 また二人になってしまったけど多少の小細工は思いついたし、まずは大講堂とやらへ急ごう。


「牌谷さん」

「うん」


 差し出した右手に牌谷さんの左手が添えられる。


闇の手(ナイトレイド)スキル、“潜影”、効果二を発動』


 遠目から見て魔物達は殆んど見当たらないけど、念の為に動くときは潜影は発動しておいた方がいいだろう。

 別に女の子とただ手を繋ぎたいだけとかそういうのではない。


 城を目指して一歩踏み出した。


 歩く振動に時折、左手から鈍痛が走る。ふと目をやれば小指と薬指の無くなった痛々しい様子が目に入った。


 あまりの激闘っぷりにすっかり忘れていたけど左手はだいぶ不憫な感じになってしまったな……。

 それでも出血が無いのと痛みが弱いのは救いか。


「酷い怪我だね……。それ、ルサーリアさんみたいに治せるの?」


 なんとも言えない左手の現状を見つめていると、牌谷さんが神妙な面持ちで聞いてきた。


「……ええ多分、治せますよ」


 変に心配させるのもあれだからそう言っておいた。

 聖女の祈りなら復元可能だろうけど、発動するために必要なスキルポーションの残量はもう無いから無理だろうな。


 それでも後悔も恨みも別にない…………いや、まあ日本に帰ったあとゲームがやりにくいだろうなとかは思うけど、その程度だ。

 この三日間で意外と逞しい精神に育っている自分に少し驚いた。


 スキルの刻印はと言えば、色は更に濃さを増してもうほぼ黒い刻印となっている。


 ちなみに新しいエクストラスキルは今さっき確認してみた。


『スキル:身体強化【S+】』

『ランク:レア』

『フォーム:能動アクティブ、強化』

『発動すると徐々に魔力を消費。魔力が持続する限り身体能力、肉体強度を強化する』


 これは、エルの過去で出てきたあのスキルの最上位に当たるやつか。

 過去の情報によれば最も多くの人に付与された地味なスキルらしいけど、流石にエクストラとなればその強化は途轍もないものだろうよ。


 このスキルは仕様が少し特殊だ。


 持って生まれた体格や筋肉の質によってランクが決まり、その後の努力によってF(マイナス)からS(プラス)まで後天的に強化量が上下するらしい。なお強化量の上限はランクによって天井が決まっているそうだ。


 つまり転移した人の中に人並外れた良質な筋肉を極限まで鍛練した人間がいたってことだろうか……。


 これは、もしかすると俺のような凡俗でも牌谷さんやノクスのような超人的な動きができるようになるってことか。


「牌谷さん、手を繋いだまま一緒に城まで走ってみませんか? 全力出してもらっていいですよ」

「えっ、なに急に? 自分で言うのもなんだけど異世界こっちにきてからのウチ結構凄いよ」

「大丈夫です、俺もそこそこ速いんで」


 その言葉に不安そうな半目で無言の訴えをする牌谷さん。


 これは別に彼女に格好良いところを見せようとかそんなのではない、新しく手に入ったスキルの試運転だ。

 どの程度のものなのか知っておかなければこの先の戦いで使い処を見極められないからな。

 それに身体強化とくれば彼女と力試しするのが一番手っ取り早く性能を判断できる方法だろう。


「いやいや、ホントに大丈夫ですから!」

「知らないよー、どうなっても」

「任せてください、それじゃ『よーいドン』でスタートしますよ。あ、手は離れないようにしっかり握っといて下さいね」

「う、うん。わかった」


『身体強化【S+】発動』


 よし、いくぞ。


「よーい、ドン!」


 これは……凄い!

 地面を押し込むぐらい踏み込みに力が入る。それに身体も軽いし回るように足が動きそうな気がする、まるで自分の身体じゃないみた──えっ、なんだ手が痛い。


 ミシッ──と骨の軋む感触が右手から伝わってくる。その次の瞬間、牌谷さんが踏み込んだ地面が爆ぜた。

 そして身体が前方へ急激に引っ張られる。


 は、速──。


「あ、あだだだだだだだ!」


 引き摺ってる引き摺ってる!

 肩が外れる肩が外れる!


『衝撃により潜影が解除』


 俺の様子に気づいた彼女はすぐに止まってくれたけど、それでも十五メートル位は引き摺られてしまった。おまけに潜影も解除されてしまう始末。


「だから言ったじゃん! もう! うー、ウチがやっといてなんだけど痛そう。ゴメンね」


 引き摺られた部分の服が破れ、若干血が滲んでいる。痛い、けど惨状の割りに大した怪我じゃないのは肉体強度が向上しているお陰だろう。


「い、いえ大丈夫です……痛くないです。それに良い結果が得られました……」

「ほ、ほんとに……?」

「ほんとです……」

「………………」


 牌谷さんが疑惑の視線を突き刺してくる、がここは毅然とした態度でいよう。


 そう嘘ではない。スキルの試運転をして予想より出力が下回っていただけなのだから。事前にそれを知ることができたのは良い結果と言っていい……筈だ。


 どうやら強化量がいくら最大値でも俺の貧弱な肉体ではその出力はたかが知れているらしい。

 それと今の牌谷さんはスキル強化状態だったのを忘れていた。


 うん、ハズレとは言わないけど俺には不向きのスキルだったようだ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ