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異世界召喚されたんだけど、なんか様子がおかしい  作者: よく知らんロボ
第一部 異世界にて

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 魔女の身体と斬られた手足を綺麗に並べる、その光景はもはやスプラッター映画のワンシーンのようだ。


 衣服は昨日見たドレスのまま。


 でも牌谷さんの攻撃であちこちに穴が開き、闇の魔獣の胃液で少し溶かされている。その上ノクスが手足を切り落としたもんだからもはやズタボロだ。

 ギリギリ重要な部分は見えてはいないけど、このまま生き返らせるとかなりセクシーな感じになってしまう。


 まあ、不可抗力だな。


 決してそのような姿の女性が見たい訳ではない、しかし今は戦闘の最中だ。

 細かいことは言ってられない、後で俺のTシャツでも貸してあげるから許してほしい。


 早速、聖女の祈りの発動条件を満たすため魔女の胴体に手を当てる。

 今の魔力量なら問題なく発動できるはず、やるぞ。

 

「ごめんなエル、先に謝っとく。ほんとは戦いを終わらせた後にしたかったんだけど……」

「おまえ、まさか……」

「ああ、そうだ」

「キヅナちゃんが戦っテル横でサリーの身体に悪戯する気なノカ……」

「って違うし! んな猟奇的な性癖はねえわ! 黙って見とけ!」


救世の翼(エル・メサイア)スキル、“聖女の祈り”を発動』


 触れている手から魔力が急速に吸いとられていくのが解る。

 少しすると魔女の身体が淡い光を放ち始め、斬られた手足は徐々に結合されていき爛れた褐色の肌はもとの滑らかさを取り戻していく。


「おまえ、コレは蘇生スキルなノカ……?」

「まあ、そんなもんだよ」

「僕でさえ使える人間は数える程しか見たコトないんダヨ……」


 ファンタジーでは割りと蘇生の魔法やスキルは珍しくないイメージだけど、この異世界ではかなりレアらしい。


 淡い輝きは次第にその強さを増しながら宙に無数の小さな光球を放出し始める。それらは蛍のように浮き上がっては虚空に消えていく。


「なんです? あの小男、何をするつもりですか……」

「何あれ………………でも綺麗」


 その幻想的な光景に目を奪われたノクスと牌谷さんは数秒の間お互いに手を止めていたものの、すぐにまた戦闘を再開する。


「サリーが……サリーが綺麗に戻っていっテル……」


 それを目の当たりにしてもエリクシルは涙を流したりする事はないのだろう、あくまでも物質だから。

 それにエルのAIのような声色と、変化の乏しい表情では感動しているのか嬉しいのかもよく解らない。


 でもさっきから流れ込んできているエルの感情は、喜びで満ちている。そう感じる。よかったなエル。


 身体は完全に復元され、纏うドレスもあの夜に見た美しい仕立てへと戻っていく。


 どうやら身に付けている装備品も一緒に復元されるようだ。


 いや、別に、特に、これと言って残念とかは思っていない。むしろ彼女をはずかしめる事なく済んで安心したよ。……いや、本当の本当にだ。


「サリー」


 エルがルサーリアの顔に飛び付いた。


 どうだろうか、すぐに目覚めるものだと思っていたけれど、もしかしてそうでもないのか……。

 そう言えば他人を生き返らせるのは初めてだからその辺は全く解らないな。俺はやはりこういうところが抜けている……。


 こうなると最悪、今すぐにもう一本の紫スキルポーションを飲まなくてはならない。

 何故ならむこうの戦いも固唾を呑むような状況だからだ。魔力が殆んど底を尽きて 歩くのがやっとの今の俺では何の役にも立てない。


「きゃっ!」


 ノクスの一撃が牌谷さんを弾き飛ばす。


 大型の戦槌は威力に優れるが本来の素早さを発揮したノクス相手には少々分が悪い。

 かと言って生半可な武器ではダメージすら通らない。あちらを立てればこちらが立たずといった状態だ。


「どうしました、先程の一撃がピークでしたか? ──おっと、これは怖い」


 煽るノクスの頭を目掛けて、上段から戦槌の一撃が振り下ろされる。が、それは命中する事なく床の石畳を砕き割るのみ。


 食らえば自身の巨体と硬質の体毛を持ってしもただでは済まないと理解したのだろう、受けることはせずノクスも回避一択のようだ。


「ムカつく! 逃げんな!」

「おや、これはかわしているだけで逃げてなどいません。ふふ、腕力と違って頭の方は弱いようですねぇ」

「こいつ……、マジでムカつくんだけど!」


 牌谷さんは傷を増やしながらもよく戦っている。それでもやはりからめ手なしではノクスの方がまだ何枚も上手うわてだ。

 ついでに性格の相性も最悪らしい。


 このままじゃ牌谷さんも危ない。ルサーリアさん、頼むから目覚めてくれ……!


 心で叫んだその時だった。


「サリー!」


 そのエルの声は、良い方の予感を感じさせてくれるそれであった。

 振り返り、見ればそこには目を開き上体を起こした魔女がいた。


「ここは、どこだろ。私、寝てた……のかな? エル? 何で……エルが?」

「サリー、よかったんダヨ。本当に、本当に……」


 ルサーリアさんは微笑みながらエルを撫でつつ周囲を確認し、何か考えを巡らせている。


「戦っているのは……ノクス。と知らない子……エル、共有を」

「了解なんダヨ!」


 エル、どこか生き生きとしているな……。

 て言うか俺じゃなくても過去の契約者なら共有可能なんだな。



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