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勇者ではなくテラとよばれる理由

「ファスタリアに異世界人がきたのは48年前のことらしい。当時はヒューマンの国がいくつもあってヒューマン同士で争っていて混沌とした時代で多くの人が死んでいたらしい。

それを異世界人とクローゼン王国が友好を結び、協力してヒューマン国家を統一し、今のファスタリア王国ができたってわけだ」


その異世界人がファスタリアにあるミスリルやオリハルコンや多くの植物を持ち帰り花形グループを設立したというわけか。


「十二士も討伐してくれて、その功績と感謝を込めて異世界人を『勇者』と呼んだらしいわ」


この時は勇者と呼ばれていたのか。


「で、第二次異世界転移が18年前に行われたんだが、彼らは友好の使者ではなく、侵略者だった」


「・・・」


「彼らはファスタリア王国に併合された国の有力者だった人たちと結託し、反ファスタリア連合を作り内乱になったの。それで多くが亡くなったの。私たちの両親を含めて・・・」


「・・・同郷の者がすみません・・・」


俺は申し訳ない気持ちになった。地球人に両親を殺された2人は俺に声をかけられたとき、どんな気持ちだったのだろう。俺は謝れずにはいられなかった。


「・・・謝るなよ。お前が悪いわけじゃないんだからな」


そう言われても頭を上げる気にはなれなかった。


「そうよ。子どもの頃は異世界人全てを恨んだ時もあったけど、大人になって勇者と反乱を起こした人たちが悪いって理解しているわ」


強いな。俺ならそんな割り切れただろうか?きっと難しかったと思う。


「そんなことが起きたのに、俺たちを召喚したのですか?」


「賛否あったらしいけど、異世界人の力は必要だってことにまとまったみたいよ」


「で勇者てのは悪名の代名詞になったんで『テラ』って呼び変えたって話だ」


俺を勇者って呼ぶ奴がいたら、そいつは友好的じゃない可能性が高いな。


「そうかですか、話してくれて、ありがとうございました」


「なんか急に敬語使ってどうした?」


「いえ、年上みたいなんで」


第二次異世界召喚が18年前で、その頃を覚えている2人は確実に俺より年上だろうし。


「ああ、俺たちはぐへっ」


ディックの腹にキャシーの腹パンがさく裂した。ディックはうずくまり苦しそうだ。


「あなたは何歳?」


「えっ?18になったばかりですけど・・・」


「私たちも18よ。偶然ね」


いや、そんなわけあるはずが・・・


「そうですね・・・」


ほんとは何歳?ってきいたら、ディックのようになるのはわかったので聞くのをやめた。


「だから、さっきまでのため口でいいわよ。ね、ディック?」


「ああ、同じ敵に立ち向かった仲だ。今更敬語使われると、敬遠されているみたいで寂しいからな」


2人がそういうなら、今まで通りに接しよう。


「わかった。この世界のこと色々教えてくれて、ありがとな、ディック、キャシー」


「いいってことよ」


「また何かあったら教えてあげるわよ」


俺はいい先輩に知り合えたな。


「話は、終わったみたいだね」


部屋の入り口に赤髪に茶色い瞳で長身の女性が立っていた。

彼女はたしかモンスターを倒す集団の先頭にいた、グランマっていう人だったな。どうしてここに?


「「グランマどうしてここに」」


ディックとキャシーは殴られた。うわ、痛そう。


「その名で呼ぶなって言ってんだろうが」


彼女はグランマという名前が嫌みたいだ。まぁおばあちゃんなんて言われて喜ぶ女性はいないよな。


「「すみません、グランドマスター」」


「ったく。会う人、会う人その名で呼びやがって、あたいはそんな年じゃないってのに」


「俺に何か用ですか?」


「ああ、ワイリーモールを足止めしてくれた、あんたに今回の報酬を渡そうと思ってね。あいつは名前の通り狡猾でね。他の生き物を戦わせて弱っているところを襲うやつなんだ」


あいつ、そんな生態をしているのか。質が悪いな。


「では、今回のは」


「十中八九、あいつが起こしたものだ」


知恵のあるモンスターはこれからも注意しないとな。


「ほれ、受け取りな」


グランドマスターは一枚の紙をくれた。なんだこれ?


「こ、これは、『クラン設立許可証』!」


何それ?俺文字読めないんだよ。誰か説明してくれ。


「あんたの今回の勇士しかと見届けさせてもらった。【商人】という非戦闘系クラスでありながら、人々を守るために文字通り体を張ってくれた。それはそのことについてのお礼だよ」


「これはすごいものなのか?」


「クランってのはギルドがお墨付きを与えるものに等しいだ。依頼だってギルドを通さなくても受けれるしな。パーティも作ってないのに、いきなりクランを設立なんて初めてみたぜ」


パーティの場合はギルドを介した依頼しか受けてはいけないのか。ディアは助けを求められたら、すぐ実行しそうだから、クランの方がいいからありがたい。


「じゃ、あたいはいくわ」


「わざわざ、届けていただきありがとうございます」


俺はグランドマスターに礼を言い、彼女は手を振り去っていった。


「よかったな」


「羨ましいわ」


「もし、よかったら」


2人が入ってくれたら、心強いと思い誘おうとしたが


「悪い、俺たちはもうクランに所属しているんだ」


「『輝く獅子』っていうの。私たちが孤児の頃からお世話になっているから、移籍することはできないのごめんなさいね」


そうか、よければって思っていたがやっぱりあれだけの実力どこかに所属しているよな。


「しかし【商人】が一人で行動するのは、危険だな」


「そうね、今回の騒動であなたが【商人】であることは広まってしまいましたわね」


俺たちが戦っているのを遠巻きで見ていた人がいたもんな。噂は広まるだろう。


「少し離れた所にいくまで俺たちと行動するか?リーダーにたの」


「ショウ、お前大丈夫なのか」


突然きたディアにディックが吹き飛ばされた。


「ああ、ポーション飲んだしな」


「顔色は悪いではないか」


「魔力欠乏症ってのになったらしい」


「何をしたらそうなるんだ。詳しく聞かせてくれ」


俺とディアが話している間にディックとキャシーはいなくなっていた。


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