話って気が付くと誇張されることってよくあるよね
放課後になり、帰ろうとすると
「草薙、これみんなで作ったんだ。受け取ってくれ」
そう言われ渡されたのは、寄せ書きだった。
あれ?俺転校するわけじゃないよ。ちょっと異世界行ってくるだけだよ。
「俺、お前のこと忘れないから」
斎藤泣くなよ。
「同窓会にはちゃんと呼ぶから心配するなよ」
同窓会⁉もう会わないこと確定しているのか山形。
「いつ芸能人にあっても困らないように色紙を常備しておいてよかったわ」
こんな雰囲気で送り出してもらって、どうしよう、一週間や一か月じゃ帰ってこれないわ。あの三つ手に入れるのにどのくらいかかるかわからないが、早く帰れた場合家に籠るしかないのか?
「み、みんなありがとう。これから母さんのところに行くから」
逃げるように教室を出で、病院に入り母さんの主治医の先生と目が合った途端、先生の目が涙目になっていた。いやな予感がする。
「や、やあ翔君元気かね」
「は、はいおかげさまで先生はどうですか?」
「私は元気だよ。いやー今日は暑いね。峰子君汗」
「はい、先生」
先生の涙を看護師の峰子さんがぬぐっていた。
「よ、よかったです。俺、母さんに会いに行くので失礼」
「翔君」
「はい」
「すまない、私の力不足で、君に苦労させて・・・」
「頭を上げてください。先生はよくしてくださっていることを知っていますから」
病院の廊下でやめてください。みんなに注目されています。
「君は本当に優しい子だな・・・。君が帰って来るまでわが病院が母君の面倒を看るので安心してくれ」
「あ、ありがとうございます。心強いです」
両手をぎゅっと握られた。力強いです。
「先生、そろそろお時間が」
「おっとそんな時間か。翔君今度会ったら、酒でも飲もう」
先生、今17歳なんですけど・・・そう言えず先生が去っていくのを見送った。
なので残った峰子さんに聞いてみることにした。
「峰子さん、どうしたんですか?先生の様子がおかしいんですけど?」
「聞いたのよ」
「何をですか?」
「あなたがお母さんを海外の医者に診せるたけに、出稼ぎに行くと・・・」
出稼ぎ?いや違います。薬の原料を取りに行くだけです。
「違います。薬の材料を探しに行くだけです」
「どこに?」
異世界ですなんて言ったら、ひかれるな。誤魔化そう。
「遠い国でファスタリアって国です」
「ファスタリア?そんな国あったかな?」
「現地の言葉ではそういう名称なんですよ」
「あ~イギリスやオランダとかも日本人にしか通じないらしいからね」
「そんな感じです」
「偉いね~そんな偉い子にはいいことしてあげようかな~」
峰子さんは上目遣いに近づいてきたが
「すみません、俺プラマイ10以上は守備範囲外なんで」
「・・・なんで私の年齢知っているの???」
顔は笑顔なのに目は笑っていなかった。怖い。
「こ、この前静香さんの先輩だって言ってたじゃないですか~」
「ああ、そういえばそんなこといったかしらね」
「ではこれで」
これ以上火に油を注ぐ前に退散した。




