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立ち塞がる敵Ⅱ

                   グレゴール視点


クサナギ・ショウ・・・変わった名前だ。それに黒い髪に黒い瞳・・・まさか


「お前、テラか?」


「そうだ」


テラ・・・俺達ファスタリアのヒューマンより強いと噂されている異世界からきた人。まさかお目にかなう日がくるとは・・・


「テラなら見逃してくれるのか?」


「いいや無理だな」


「俺が命乞いでテラと偽っていると思っているのか?」


「いいや、俺はテラを見たことはないがお前がテラだと信じている。俺の勘がそういっている」


戦闘系じゃないやつにこんなに苦戦したのは初めてだ。


「俺を殺したら、お前の立場は悪くならないか?」


俺の組織は仲間と金づるさえ、殺さなかったら大概はお咎めなしな体制なんだよなぁ。


「たしかに、テラ殺しは重罪だ。だが目撃者がいないここでお前を殺しても罪にとわれるのは難しいだろうな」


街や都市以外の殺人罪はほとんど立件されないらしいからな。


「そうかここには、鑑識とかなさそうだもんな」


テラは渇いた笑いをした。


「お前がテラなら、どれほどの実力か知りたい。ポーションを飲んで俺と戦え」


「それは無理だな。俺、商人だからな・・・」


商人・・・なるほど戦闘系ではないと思っていたがよりよって【商人】とはな・・・


「商人とは・・・短命クラスというのは本当だな」


「短命クラスってどういう意味だ?」


あの話を知らないのか?ああ、テラは知らないか。いいだろう話してやるよ。


「昔、ある王が商人クラスのヒューマンを100人集めた。その5年後その100人を招集したが、50人しかこなかった。そして八年後には30人、10年後には1人もこなかったという逸話だ」


「おいおい、嘘だろ・・・」


まぁそんな顔になるよな。10年後生存率0%なんてよ。


「この話が本当かは知らないが俺は商人クラスのヒューマンには3人ほどあったが、3人とも死んだ」


「戦えない上に死にやすいって最悪だな・・・いや、戦えないから死にやすいのか・・・」


テラは天を仰いでいた。なんだ諦めたのか?拍子抜けだな・・・


「さて、そろそろ終わりにしよう」


俺は剣をテラに向けた。


「そうだな・・・そろそろ時間だな・・・」


こ、こいつ目が諦めていない。この状況で打開できる方法があるのか?

商人というのは嘘で実は戦闘系のクラスなのか?いやそうであっても武器はもっていない。

それとも特殊なイントを持っているのか?


「人って物事を考えていると、周りの物音が聞こえなくなったりするよな?」


「なんの話だ?」

「よーく、耳をすませてみろよ」


俺は耳を澄ましてみた。


「聞こえるだろう、恐怖のプレリュードが・・・」


!音が聞こえる・・・これは足音・・・しかも複数・・・こいつの仲間か?・・・いやこれはヒューマンの足音ではない。


「モンスターか!」


茂みから出てきた、モンスターを切った。

この森はモンスターが出てこないんじゃなかったのか?


「この森にモンスターがいないとされていたのは、チャールズの作った薬品のおかげだった。チャールズは自分の行動範囲にしか撒いていなかったそうだ」


ここはその範囲外ってことか。やられた。


「俺はここにおびき寄せられたってことか・・・しかしお前も、モンスターに襲われるぞ。共倒れするつもりか?」


こっちには剣と剣の加護があるから戦えるがお前は生き残れるのか?


「いや、俺は襲われない。現にいまモンスターに襲われていないだろ?」


たしかに奴に襲いかかっているモンスターはいない。なぜだ?


「お前にモンスターをおびき寄せる薬品をかけさせてもらった。だから、お前にモンスターが寄って来るんだ」


薬品をかけた?俺はそんなの受けた・・・!まさか・・・


「お前が切った瓶に入っていたのはポーションじゃなかったんだ」


あの瓶は俺が切ったのではなくて、切らされたのか・・・


俺に発見されるのも、ここまで逃げるのも、さっきの話も全てこいつの作戦通りというわけか・・・


「じゃあな。せいぜいがんばれよ」

テラは踵を返し歩いていく


「くそ。テラ、いやクサナギ・ショウと言ったな。お前の顔と名前は覚えた。次の再会を楽しみにしておくんだな――――」


こんなに屈辱的な敗北は初めてだ。俺はお前を忘れないぞクサナギ・ショウ。


俺の声に応えることもなくクサナギは去っていった。


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