〇〇の概念がない世界
「ふぉ、ふぉふぉ。当然の疑問だな」
研究を知らないのが当然の疑問?訳が分からない。
「どういうことだ?」
「テラである君からすれば、彼女がおかしいと思えるだろうが、ファスタリアに住むヒューマン、我々のことだが、研究という概念がないんだ」
研究という概念がない。そんなことありえるのか?
「研究などになくても物は作れるし、武器は振るえる。アーティファクトとアルスのおかけでな」
なるほどそういうことか。
「???」
クラウディアはわかっていないみたいだ。
「おっと・・・では実践してみようか」
爺さんはビーカーとギザギザで濃い緑色の草と白い筋に緑色の葉っぱと水を取り出した。
「ここにボーフ草とコーアの葉それと水がある。これをビーカーに全部いれる。そして《ポーションクリエイト》」
ビーカーにあった水と草と葉っぱが混ざり緑色の液体ができた。
「飲んでみなさい」
爺さんは二つのコップにビーカーの液体をいれ俺達に勧めてきた。
飲むしかないのか苦そう。
「いただきます」
「いただきます」
俺とローレルはコップの液体を飲んだ。うげっ。やっぱり苦い。ゲンさんが昔作ってくれた青汁より全然苦い。
「次に」
爺さんは水にさっきとは違う薄緑色の草と黄色い花がついた草、白い粉をビーカーに入れた。
「《ポーションクリエイト》」
ビーカーにはさっきより色の薄い液体ができた。
それをコップに注いだ。
「いただきます」
「・・・いただきます・・・」
また飲むのか~俺苦いのが、苦手なんだよね。さっきのコーヒーもミルクとできれば、砂糖も欲しかったし。
ん?さっきのより全然苦くない。それにほんのり甘い。
「どうだね?」
「苦味が減って、甘味があってこっちのが、全然うまい」
「こんなポーション飲んだことがありません・・・」
「アルスで教えてくれる材料でポーションは作れる。しかし、飲みにくい。そこで儂は飲みやすいポーションを長年研究してきた。そして完成したのがこのポーションだ。材料は、ファスタリア草にテルコット草、キノの実を乾燥させ、粉末これで同じ効力で飲みやすいポーションができるのだ」
「ファスタリア草は世界中どこでもある。テルコット草も王都付近でたくさん生えていたのを、見たことがある。しかしキノ実は・・・」
「キノはこの大森林にたくさん生えといるよ」
「安全なここでキノの実が手に入るということは・・・ポーションが今よりたやすく入手できるということですね」
「無理だな」
「貴殿は知らないだろうが、ボーフ草とコーアの葉は値段が高い。だからポーションは一つ100ファーはする」
100!!食事なしの宿と同じかよ。たしかにそれは高いな
「だがチャールズ殿が見つけた方法なら比較的に安く入手できるものなので安く売り出せる筈だ」
「だからそれは無理だって」
「!なんだと」
胸倉掴むのはやめてほしいな~って苦しい。こいつ力強い
「手を放してあげなさい。彼は正しい」
「なぜですか?」
今度は爺さんにつっかかった。
「[学会]が許さないからだ」
なんかまた新しい言葉がでてきたな。
「学会とは、薬学研究会の略称でな。薬師系クラスのヒューマンはほぼ会員じゃ。影響力は強く、国が介入できず、冒険者が作る[ギルド]、パクシリア教を信仰する[協会]と合わせて治外法権三大勢力になっているのだ」
学会にギルド、教会・・・敵にまわしたらやっかいそうだな。
「そんなあんたは学会を抜けて逃亡生活か?」
「ふぉ。やはり君は勘がいいな」
「私にもわかるように説明してくれ」
「この爺さんは安価なポーションの作り方を見つけたが、学会に反感をかって、追われているって話だよ」
「その通りだ」
「そんな。彼はいいことをしたのに・・・」
落ち込んでるな。たしかにこれは理不尽だ。俺も少―――し頭にきてる。
俺達は無言で佇んでいると上から音がした。
「ここに他の住人は?」
「いや、儂だけだ」
「となると、俺達と同じで森で迷子になった人か・・・追手だな」
俺の言葉に二人は身構えた。




