↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼き輪廻の果てに 〜転生したら青い鳥だった件〜  作者: 水猫
第三章 「黄色い国」
127/304

127話 黄色い木の上にいるリスと黄色い木の下にいるネコ

「雷神剣 二刀雷刃!」


木の上からアプリコットの雷撃が次々に放たれる。ライトはその猛攻をどうにかかわしていくが、なんせ林の中だ。動き回るのも一苦労だし、下手をすれば木に激突するかもしれない。


「クソ!アプリコットめ!青氷弾!」


ライトのステッキから氷の弾丸が飛ぶ。アプリコットは今いる自分の木の枝から軽く跳躍して向かいの木の枝に飛び移った。物凄い身のこなしだ。


「フフフ、ライト!地面からの飛び道具をかわすのはわけないぞ!」


アプリコットはライトの氷の弾丸をなんなくかわすと再び木の上からライトに目掛けて雷を飛ばした。ライトはどうにかそれをかわしてゆくがやはり木の上と地面では部が悪い。


「ちい!小賢しい奴め!飛び道具合戦なんかやめて直接斬り刻んでやる!」


ライトがアプリコットのいる木に登り、枝まで到達する。アプリコットは違う木の枝に飛び、乗り換えた。


「おのれ!アプリコット!ちょこまかと!」


「フフフ、ライト、悔しかったら俺と同じように木から木へ飛び移ってみるがいい」


「なんだと貴様!お望みどおりやってやろうじゃねえか!」


ライトはそういうと今いる木の枝からアプリコットの木の枝まで飛びつこうとした。そして枝の上に直立すると、突然物凄い寒気に襲われ、背筋が凍った。


(た、高え・・・!)


ライトは木の枝の上で立ち上がると、下を見た。枝から地面まではそこまで高さはなく、登るのになんの苦労もしなかったが、いざ地面を眺めるとその高さに驚愕し、足が震え、枝にしがみつき、四つん這いになってしまった。


「ハハハ!どうしたライト?この程度の高さがそんなに怖いのか?登ってくる時は威勢が良かったが、いざ登ってみると足がすくんで何も出来ないものだな!」


そう、これこそがアプリコットの狙い、地の利を生かした戦い方だった。戦いで確実に勝つために最初からここに誘導することを仕組んでいたのだ。リスはもともと森に生息する生き物だ。木登りも、木から降りるのも、木から木へ飛び移るのも全て得意だが、猫は木登りが得意でも木から降りるのは怖くてできないことがあった。


「ち、畜生!木の上がこんな動き辛かったとは!」


ライトは木の枝にしがみつき、プルプルと震えていた。猫は高いところは安全と判断しているが降りるのや木の上で動くのは不得意だった。さらにもともとライトは人間と同じように生活する機会が長かったため、野生の中で戦うのに慣れていなかったのだ。


そうこうしているうちに再びアプリコットの雷がライトに向かって飛ぶ。ライトはこれはまずいと思い、とりあえず木から宙返りをして飛び降り、地面に着地した。あー高いところ怖かった。木から降りてライトはホッとした。


「フフフ、ライト、戦いは魔力や身体能力だけではなく、地形や能力の相性、その時の調子によって変わることも知っているな。大丈夫だ、お前の方が俺より純粋な強さは上だ、だが戦いでは違う、強いものが勝つのではなく、勝ったものが強いのだ!」


アプリコットは再びライトに向かって雷を飛ばす。ライトは木々をすり抜けながらどうにかその攻撃をかわしていく。だがこれでは防戦一方だ。埒が明かない!


(お、おのれアプリコット!初めからこの地形を利用するために俺をここまで追い込んだのか!こ、こんなことならもっとサーフィンじゃなくて、木登りの練習をしておくんだった!)


ライトはアプリコットの攻撃をギリギリのところでかわしながら策を練っていた。どうすれば勝てる?どうすればこの不利な状況を好転できる?なにか、何か策はないのか?と。


「アプリコット!小賢しい奴め!そんなに木の上が好きならその木ごと、ぶった斬ってやる!」


ライトはアプリコットのいる木のそばまで行き、剣を奮い、木を斬り倒した。


ザン!バサバサバサバサ!ドーン!という音と共にイチョウの木が斬り倒される。しかしアプリコットは即座に違う木に飛び移り、再びライトに雷を放つ。


「ハハハ、ライト、無駄なことだ。たとえ木を切り倒してもここは林の中だぞ?木はごまんとある。それにむしろ木が斬り倒されたことによって、地面にいるお前は身動きが取りづらくなるだろう」


「な!クソ!き、貴様!」


アプリコットのいう通りだった。たとえ登っている木を切り倒しても木の上にいるリスは登る木を変えればいいだけであるのに対し、地面にいるネコは動き回れる足場が減っていくのだ。これでは意味がなかった。


「な、ならこれはどうだ!?木と一緒にてめえごと凍らしてやる!絶対零度!」


ライトは再びアプリコットのいる木の下に行き、木に手をつくと、魔力による凍気を木に流し込んだ。木は根本からパキパキっと凍りつき、上まで侵食していった。


「ハハハ、ライト、自暴自棄になると冷静な判断ができないものだな。先程と同じだ、どれ」


アプリコットはそういうと木から再び木へ飛び移った。ライトの凍らした木は頭の天辺と枝葉まで綺麗に凍りついたが、アプリコットは再び場所を移動しただけだった。


「フフフ、木は水と違って瞬時には凍らない。ここが海の中なら木を伝わって凍らされることもあっただろうが、全く無意味なことをするな、ライト」


(クソ!クソ!これじゃあ何も埒が明かない。ど、どうすれば!)


ライトは何をやっても届かないこの距離感、そしてライトは地の利を生かしたこの戦いで優位に立たされたアプリコットに追い詰められていった。木の上にいるリスと木の下にいるネコ。この距離がこんなにとんでもなく遠いとは思いもよらなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。