123話 黄金宮
転送されていく5人と1匹。そして転送先にたどり着くと、そこにはまるで絵本で見たような、砂漠の中にある黄金の宮殿が聳え立っていた。
「ここが、黄色い国の王宮・・・!?」
ゴールドに連れられ、中に入ると、宮殿の中にそれはそれは美しい庭園があった。
花は咲き乱れ、小鳥は歌い、中央には水晶のように美しい池と噴水があり、その傍らに黄金の虎の像が飾られていた。まるで砂漠の真ん中にあるオアシスのような王宮だ。
「な、なんて綺麗な宮殿なの・・・」
ピュアがその宮殿の中庭を見渡してうっとりしていると、王宮の正面の扉が開き、中から誰かが出てきた。ん?小さい。それにアラビアン風の庭園だと言うのに何故か黒装束を来ていた。
「これはこれは、わざわざお越しいただきご苦労様です。そちらにいらっしゃるのが青魔族頭首コバルト様と、白魔族のピュア様ですね。はじめまして、私、黄魔族頭首、クロム様の側近のアプリコットと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
アプリコットが現れ、ペコリとお辞儀をすると、ライトの表情が強張った。アプリコット!とうとう再会した。そして決着をつける時が来たのだ。
「アプリコット様、御命令通り青魔族に方々をお連れいたしました。白魔族のお方はレモンのご友人ということでお招きいたしました」
「ああ、ゴールド、それにサルファー、わざわざご苦労だったな。そして青魔族頭首コバルト様、ピュア様、そしてライト、あなた方にまずは謝罪せねばなりません。私は自分の勝手な行動でそちらのサルファーにあなた方を監視させていました。これも特に理由があったわけではないのですが、たまたまあの街を取り仕切っているサルファーが接触したのでそのまま様子を見させたのです。申し訳ありません。サルファーには責任はありませんので、どうかお許しください」
「ア、アプリコット様、勿体ないお言葉であります。わ、私めは」
「何も言うなサルファー、責任は俺にある。監視させていたのは事実だ」
サルファーとアプリコットがそう会話をしていると、ライトはステッキをギュッと握りしめて緊張を解かなかったが、コバルトは一つの疑問が浮かんできた。そしてそれをアプリコットに尋ねた。
「アプリコットと言ったな、監視させていたことはまあいい。実際、俺たちもサルファーには世話になった。ただ、一つ聞きたいのだがあのシャルトルーズという少年は何者なのだ?それだけ聞きたいのだが」
コバルトがそう言うと、アプリコット、ゴールド、レモン、そしてサルファーまでもが首を傾げた。最初に何をきくかと思ったが口を開けばシャルトルーズの話が出るとは。
「そう!そうなのよ!あの子は一体誰なの!?あなた達何か知っていたら教えて!?」
コバルトに続き、ピュアも真摯な表情で質問を投げかける。ピュアのあまりの剣幕に驚いたアプリコットだったが、その質問には何も答えられなかった。
「コバルト様、ピュア様、申し訳ありません。実は私もその者関しては何も存じ上げないのです。このゴールドですら知らない魔族ですので我々も何もわからないのです。ただサルファーの店で雇われていたとしか。申し訳ありません」
「そう、そうなの・・・。わかった。ありがとう」
(なるほど、こいつらは決して嘘は言っていない。本当に何も知らないようだ。特異体質の魔族なのか?あの少年は。黄魔族に変装してたまたまこの国に用があっていたとしか)
ライトがそう考えていて、ピュアがアプリコットの返事に俯いていると、次にレモンがピュアの手を引いてこう言った。
「ね、ピュア!せっかくきたんだから応接室で遊ぼうよ!ここから先はもうあたし達の出る幕はないし。本当はあなたをここまで連れてくる気、なかったし、戦いはフェアじゃないとね」
「ああ、そうね。レモン、わざわざ私まで招いてくれてありがとう。じゃあコバルト、ライト、あとはよろしくね」
ピュアはコバルトと一緒について行きたいのをグッと堪えて、レモンの言う通り、一緒に応接室へ向かった。コバルトはピュアの後ろ姿を見て、必ず勝って見せるとこの時誓ったのだった。




