122話 黄金の絨毯
「と、言うことなのよ。それでは今からあなた達を王宮へ招かせていただきます。準備はいいかしら?」
レモンがそう言うと、コバルトは飛び起き、剣の柄を握りしめて覚悟を決めた。とうとうクロムと戦う時が来たかと。
「ああ、レモン。もう覚悟は決まってるさ。よろしく頼むよ」
コバルトがそう言うと、レモンとサルファーは家の外にコバルトとライトを連れて行った。そしてそこにはあの時ピュアと戦った金色の鳥、ゴールドの姿があった。
「これはこれはご無沙汰しております。コバルト様、ライト様。とうとうこの時がきたようですね。あなた様方をお連れするようクロム様より承っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします」
ゴールドがそう言ってペコリとお辞儀をすると、家の中からピュアが飛び出してきた。
「コバルト!ライト!え?あとそれにあの時の金色の鳥!?」
「ああ、これはこれはお久しぶりです。白魔族ピュア様。このお二方を王宮までお連れするよう承っておりますのが、あなたは招かれていませんので申し訳ありませんが、こちらでお待ち下さい」
「そういうことだ、ピュア、これは俺とライトの問題だからピュアはここで待っていてくれ。必ず戻ってくる」
コバルトがピュアにそう言って肩に手を置く。ピュアはいても立ってもられないような表情でコバルトに言葉を返す。
「そんなのダメよ!あたしもついていくわ!だって、あなた達だけでいくなんて、とても心配で待ってられない!」
「いや、ピュア、あのな」
「んー?いいんじゃない?ついてくるだけなら。王宮は広いし」
ライトがピュアに向かって何か言いかけた時に、レモンが口を挟む。さっきとは全く違う意見になっていた。
「色々考えたけどさ、クロム様に招かれてはいないけど、あたしの客ってことで王宮まで招くよ。だってさ、向こうで戦っていても戦ってる間やることないし、ピュアはあたしの遊び相手ってことで。話したいことたくさんあるしさ」
レモンがそう言ってみんなを説得する。そうだな。コバルトも本音はピュアと離れるのは心配だったからついてきてもらったほうが助かる。レモンは機転がきくなと思った。
「ま、そう言うことだからさ、頼むよゴールド。ピュアはあたしの友達ってことで」
「はぁ、仕方ないな。全部で6人か。定員オーバーギリギリだな」
「ん?どういうことだ?」
「はい、これよりあなた方を王宮まで転送魔法でお連れいたします、と言いたいところですが、転送ポイントはこちらから歩いても距離がありますので、私が直接転送ポイントまでお連れいたします」
「いでよ!空飛ぶ絨毯!」
ゴールドがそう唱えると、中に巨大な金色の絨毯が出現した。な、なんだこれは!?金色の絨毯が宙に浮いている!?
「ささ、どうぞどうぞ。スピードはそんなに出ませんが、空の旅は快適でしょう」
ゴールドにそう言われ、4人と1匹はその絨毯に乗り込んだ。う、うおお、すごい!本当に空飛ぶ絨毯だ。宙に浮いている。
「ハハハ、砂漠の国だし、まるでアラビアンナイトの世界だな。ところでゴールド、お前は不思議な術をたくさん使えるようだな」
「その通りでございます。ここはアラビアンナイトの世界をイメージして作りました。私は黄色魔法の光属性の他に、治癒魔法、洗脳魔法、そしてこのような物理魔法も使うことができます。おかげでクロム様からは便利屋として扱われていますが」
アラビアンナイト?なんだそれは?またコバルトが変なことを言っているが、ゴールドにはそれが理解できるらしい。おそらく人間界の何かあった伝説なのだろうか?とみんなは思った。
(アラビアンナイト?なんだろうそれ?わ、私それ知っている。け、けど思い出せない!なんだろう?)
二人の会話にピュアが反応する。ピュアも何かしら古い記憶を携え、コバルトのよくわからない話に反応するようになった。徐々に自分が何者なのか思い出しそうな気がするのだ。
そして空飛ぶ金色の絨毯は浮かぶと街中の方まで飛んでいった。す、すごい、本当にアラジンになった気分だとコバルトは思った。そしてゴールドが空を飛び、絨毯を先導した。そして街から離れた郊外へと飛び立ち、大きな岩山が見えてきた。そこで絨毯が止まり、皆を下ろした。あたり一面砂漠ばかりで大きな岩山があるだけだ。
「おい、ゴールド!こんな辺鄙で何もないところに連れてきてどうするつもりだよ?」
「少々お待ち下さい、これよりあなた方を黄色い国の宮殿までお送りいたします」
ゴールドはその大きな岩山の前に立つと、何やら岩をじっと眺めていた。ん?なんだあれは?いや、微かに記憶がある。どこかで見たような、なんだ?あの岩山の前にある、出っ張った岩の扉のようなものは。
「コバルト様、黄色い国はこの扉にとある呪文をかけると開きます。そして魔法陣のある洞窟の中に入れるのですが、この岩が開く呪文をあなたはご存知でしょうか?」
ゴールドがそう言うと、コバルトはその呪文を知っていた。な、なんだ?これは昔の記憶か?だが何故だか覚えていた。そしてコバルトは岩の前に立つとこう言った。
「開け、ゴマ!」
コバルトがそう言うと、大きな岩はまるで扉のように開き、岩山の中に洞窟が見えた。な、なんだこれは!?この呪文をコバルトは何故か知っていた。
「ハハハ、やはりあなたは知っていましたね。では中へどうぞ。これも先代国王の趣味のようなものです。何故だかこの呪文をお気に召していたのです」
5人と1匹は中へぞろぞろはいると、洞窟の中に魔法陣が見えた。そしてピュアが振り返り、開いた岩を眺めるとこう言った。
「閉じよ、ゴマ!」
そう言うと開いていた岩はそのまま言われた通りに閉じた。当然中にはお宝はなかったが、何故かピュアもその呪文を知っていた。
「ほう、ピュア様もご存知でしたか、これはおどろきました」
「ああうん、なんとなくね、そんな気がしたの。けど出るときは呪文を忘れてはいけないね。出れなくなっちゃうから」
コバルトはピュアがその呪文を知っていたことに大いに驚いた。ピュアも何故か知っている?どう言うことなのだろう?
そしてゴールドが転送魔法を唱えると、5人と1匹の体は光に包まれその場所から転送された。こうしてコバルト達は、とうとうクロムとアプリコットの待つ、黄色い国の王宮まで向かうこととなったのだった。




