114話 黄色い妖猫
ライトはコバルトに一撃を食らったのちに、距離をとってじっとステッキを構えていた。ま、まずい、また間合いに入れば同じように何かしら攻撃を食うだろう。そしてダメージの蓄積はこちらの方が上だ。
ライトはコバルトに殴り飛ばされた腹を気にしながらそう思った。ズキズキと痛い。そして口からは血が滴り落ちている。ものすごい一撃だった。
「ライト、お前はスピードはあるが、俺ほど攻撃に重さがない。そして得意とする技が俺と同じように氷属性では俺を凍らせられんぞ。俺にはそれの耐性がある、なんせ自分が使う属性だからな」
コバルトはライトの一連の動きを見てそう思った。ま、まさかたった一回の戦いでここまで見抜いているとは!
たしかに力比べではコバルトには敵わない。ただスピードと相性の悪い獣族であるなら有利に戦えると思っていたが、間合いに入ってもここまで対応をされては手も足も出ない。
「ふっ、コバルト、さすがだ、やはり俺の敵う相手ではなかった。ただ、お前は一つ忘れているようだな」
「ん?何がだライト?」
「俺はこれが全力ではないのだよ。今から俺の本当の力をみせる。それを受けてもお前は立っていられるかな?」
ライトがそういうと、帽子とマントを放り出し、四つん這いになった。そして全身に魔力を流し込み激しく威嚇すると、ぐんぐんとライトの体が大きくなった。そしてものすごく禍々しい表情をしていた。
「なっ!ライト!お前!またにゃんこ先生になったのか!」
「ラ、ライト!そこまでしなくても・・・!」
クリームがライトの様子を見て口を挟む。あれはライトがメイズと戦った時になった、巨大化した姿だ。それはとても禍々しく威圧的な表情をしていた。
「ハハハ!コバルト!気をつけろよ!こうなってしまっては前ほど優しくないぞ!そしてこの姿は長い間なれないのと、一度なったらものすごい反動でしばらくは動けないリスクがあるから速攻で蹴りをつけさせてもらう!いくぞ!」
ライトはコバルトを目掛けてその巨体で突進してきた。コバルトは瞬時に羽を使ってその場から移動して右側に逃れた。ライトはすぐさまコバルトの方に目をギロリと向け、口から吹雪を吐いた。
(な、なんだこれは!まさか口からこんなものを吐くとは!)
コバルトは瞬時それを避け、その場から逃れたが、再びライトはコバルトの方へ突進してくる。クソ!なんてやつだ!あの巨体でこの身のこなし!そして今のライトの魔力で一撃を食らってしまったら致命傷は避けられない!
(ラ、ライト!この姿になったということは俺と相打ちを狙ってか!まさかそこまで覚悟していたとは!そ、それにメイズの時と違って変身している期間が長い!な、なんてやつだ!)
ライトはコバルトと同じくメイズと戦った時よりずっとパワーアップしていた。なので変身時間も長くいれたのだ。
「コバルト!これが最後だ!お前も覚悟を決めろ!!」
ライトが得意げにそういうと、コバルトは悩んでいた。ダメだ、これは本気で殺す気で倒さなくちゃいけない。けどライト相手にできるだろうか?
(ライト、わかった!俺も本気でやらせてもらう!)
コバルトは自分に突進してくるライトに向かって剣を構えて大きく深呼吸をした。そして頭上から剣を縦に振り下ろし、地面に叩きつけると氷の斬撃が飛んだ。
「ライト!これで終わりだ!食いやがれ!氷蓮斬!」
氷の斬撃が地面を伝わってライトに襲いかかる、しかし次の瞬間、目の前にいたライトの巨体は姿を消した。
(ライト、消えた!?)
斬撃はそのまま飛んで、走った地面は全て凍りつき、地面から氷柱が生えたがコバルトはライトの姿を見失ってしまった。
「やれやれ、コバルト、お前また手加減をしたな。まあ無理もないか」
コバルトの後ろから声がした。ふと振り返ると、そこには元の猫の姿のライトの姿があった。い、いつの間に!?そして手にはステッキを持っていた。
「すまんな、コバルト、これも戦法なのだよ!食らえ!氷獄斬り!」
コバルトが姿を確認した瞬間、ライトは手に持っている刀で斬りかかる。コバルトは一瞬のうちに死角をとられ、その隙にライトに斬りかかられてしまった。もはや防ぐ術はない。絶体絶命だった。




