111話 黄色い闘技場
次の日
ライトはコバルトとクリームを連れ、早速昨日サルファーから借りた室内闘技場まで出向いた。外観は円形で石造りでできており、中に入ると、ローマのコロッセオのような作りになっていた。緑の国や青の国にあった闘技場よりずっと狭いが似たような感じだ。
「ここは以前にコロシアムとして使われていたようだな。今は先日起こった喧嘩のように野外で戦うことが多くなったから需要が減り、封鎖されているようだ。年に数回のマーッケトなどには解放されるようだが」
「おいライト!それはいいけどこんなところまで連れてきてどうする気だよ?なんだ?まさかここで戦いかなんかでもすんのか?」
「そのまさかだ、コバルト。俺はお前にで出来ることは全て仕込みたい。これもお前の命を守るためだ」
ライトがそう言って中に入ると、突然屈み込み、その場から一瞬で移動した。
コバルトは直感で危機を感じ取り咄嗟に剣を構えた。するとライトの不意打ちの斬りかかりを受け止めた。
ギン!と音が鳴る。ライトは地面に着地するとくるりと宙返りをし、コバルトと距離をとってステッキを構えた。
「ライト!」
クリームが慌ててライトに叫ぶ。突然のライトの攻撃に驚きを隠せなかった。
「あなた!何をしているの!?気でも狂ったの!?」
ライトはクリームの問いかけに特に反応することなくコバルトを見ていた。コバルトはライトの斬撃にものすごく驚いていた。
(ラ、ライト!今本気で斬りかかって来た!お、俺を殺すつもりで)
「ほう、あの不意打ちを難なく受け止めるとはさすがコバルトだ。やはり反応速度もずっと上がっているな」
ライトがそういうと、コバルトは何が起こったのか分からず戸惑っていたが、クリームがライトの方へ行って胸ぐらを掴み、持ち上げた。
「ライト!あなた何してるの!?いきなりコバルトに斬りかかって!おかしくなったの!?私の質問に答えなさいよ!」
「ああ、そうだな、クリーム、コバルト、いきなりすまなかった。実はこの闘技場を借りたのはコバルトを仕込むためだ。そして今の不意打ちはコバルトの力量を俺なりに図るためだ」
クリームに持ち上げられたライトはそう答えた。とりあえず気は確かだ。クリームはライトを下ろすと、一旦冷静になってライトに問いただした。
「ライト、怒鳴ってごめん。あなたなりに考えがあったのね。けど私もコバルトも何も知らないからきちんと説明してくれる?」
「ああいや、俺の方こそ突然すまなかったな、クリーム、コバルト。きちんと話しておこうと思う。まずは黄魔族頭首、クロムについてだ」
ライトがクロムの名前を出した途端、コバルトの表情が強張った。クロム、たしかにあいつは強い。あいつに対して何か思うことがあるのか?ライト?
「コバルト、相手はあのハンタですらあそこまでコテンパンに打ちのめした相手だ。いくらお前といえどどうなるかは分からん。それに」
「それに?なんだよライト」
「今のお前では、おそらくだが十中八九勝ち目はない。それはお前がクロムに劣っているというわけではない。だが相手は獣族であり、虎の姿をした戦士と言うなら俺の師範とほぼ同じ、あるいはそれ以上の実力者だと考えていいだろう。悪いが今のお前では師範に勝てるとは思えん」
「それはどう言う意味だライト?お前のことだ。何か考えがあるのだろう?」
コバルトはライトの話を真摯になって聞く。今のままではとはどう言うことだ?
「まあ、口で言ってもわからんだろう。その身を持って俺が教えてやる。クリーム!今から本気でコバルトと殺し合いをする!お前は手を出すなよ!これは男と男の決闘だ!」
ライトのものすごい激励にクリームは萎縮してしまった。そしてライトがステッキを構えると、コバルトはこれはもう何を言っても無駄だ、戦うしかないと心に誓ったのだった。
「ふ、そういえばお前と戦うのは実は初めてだったな。面白い!来い!ライト!」
コバルトもライトと同じように剣を構え、戦闘態勢に入った。こうして味方同士、コバルトvsライトの戦いが今始まるのだった。




