↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/10

そうくるか~

「お!」


「マリチには見えないけど、あるんだね。例の扉が」


 俺は静かにうなずき、扉の取っ手に手をかけた。そして、ゆっくりと扉を開きながらマリチの方を振り返る。彼女はにっこりしながら手を振った。


――――――――――――――――――――――


 ドアをくぐると、まばゆい光に包まれ、一瞬吸い込まれるような感覚になる。その後、眼前に目が覚めるような青色が広がった。


「えっ?」


 ここは……空!?


「もしかしてドアの向こう側はまさかのランダム配置!!?」


 まずい。ソーファンの世界に空を飛ぶ魔法はない。


 自分の体勢がどうなっているのか、もはやわからない。ただ、ものすごい速さで落下していることだけは確かだ。


「イチかバチか! 絶対防御!!」


 現在の高度も不明。ならば少しでも早い方がいいと判断し、俺はサブクラスのアビリティ『物理攻撃無効』を発動させた。


 その直後。


 ズドンッッッ!!


 落ちた。ものすごい土煙が巻き起こり、周囲にはちょっとしたクレーターができている。


 身体が軋むような感覚はあるが、少し動かしてみても、どこかが痛む様子はない。


「耐えた……か」


 どれほどの高さから落ちたのかはわからない。時間にして、おそらく十秒ほどだろうか。空気抵抗もあるから正確にはわからないが、時速三百キロくらいは出ていたかもしれない。


 もう少し発動が遅れていたら、どうなっていたか……。背筋に冷たいものが走る。


 いくら強くなったといっても、やはり慎重さを失ってはいけないな。


 とりあえず、時速三百キロで地面に激突しても、無傷でいられることはわかったな。(アビリティを使用した場合に限るが)


 土煙が晴れてきた頃を見計らって、俺は自分が作ったクレーターから這い上がった。


 ザワ……


 ん? 思ったより多くの人がいる。そして、土煙の向こうに浮かぶ人影――つまり俺の方へ、何人もの人が目を凝らしている。


 さっと周囲を見渡した感じ、ここは神社の境内とかそんな感じの場所だ。


 なるほど……?


 俺は周りに集まりつつあった人たちの視線を素早く避けてクレーターの中にそっと引き返すと、手のひらを上に向けて転移魔法の呪符を取り出した。


 うん。逃げよう。


 ブォォォン


 我ながら英断である。頭の中に思い浮かべたのは一人暮らしのアパートの自室。実は一瞬ソーファン世界の街を想像したのだが、うまくいかなかったのだ。つまり、こっちの世界とあっちの世界は、転移魔法では移動できないということだ。


 一瞬にして自分の部屋に戻って少し冷静になったが、やはり現実世界は何が起こるかわからない。メインは防御重視。サブクラスには魔法系のクラスを設定しておこう。


 しかし……。改めてこちらの世界に戻ってきたが、こっちの世界は平和だな。普通に生きている限り命の危険はないし。


 せっかく異世界の力を持っているんだから、何かできることはないだろうか。いろんなところを旅したりしたら面白そうだが、行ったことのある場所しか転移できないしなあ。


 別にこの力で誰か倒したい相手もいないし……とか考えていたら。


 いた。目の前に。本来ならいないはずのものが!


 フゴゴゴ


 人間より一回り大きく、ずんぐりとした体形。鼻は低く、口の端から不揃いな牙がはみ出している。こいつは……


 オーク! うちのベランダに!


 今、我が家に扉は存在していない。だが、もしかして、どこかにある他の扉を通ってきたのか? 空から一緒に落ちてきたとは考えにくいし、別のルートがあるのかもしれない。


「?」


「あ」


 目が合った。


 一瞬の間を置いて、オークが手にした斧をこちらに振りかぶっ……


 ガン


 部屋の天井に当たって電灯の部品が飛び散る。


「オイイイイイ!」


 ドゴス!


 とっさに拳を叩き込むと、オークの上半身は爆散した。


 ぐら……


 ゆっくりと崩れ落ちていくオークの身体。うわ、床が汚れるのはヤバそうだな。とか思っていたら、オークの身体は少しずつ光になって消えていった。


 くそ……電気の修理代……敷金……


 いや、そんなことよりもだ。扉が出現し始めたことにより、向こうからこっちにモンスターたちが侵入してこられるようになったのであれば、それはとてもヤバい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。