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第83話 尾張の悪役令嬢様との思い出(66)
「吉~、お前な! いい加減にしろ! もしも岡崎の田舎侍の子を腹に宿したらどうする気だ?」
幼い頃の俺を今川家へと織田信長のバカな弟──織田信広と交換する! 交換しない! の尾張の家族会議で織田信長は織田信秀に諫められたらしい。
しかし、あの頃の吉姉さまはやはり、何だかんだといっても俺のことがLOVEだったから。
「別にアーシは構わないし」と。
吉姉さまは可愛く、自分の口を尖がらせ、ブツブツと小声で、照れ恥かしそうに織田信秀へと不満を漏らして。
「──家だって守護職や守護代の家ではなく、斯波家の家老の家で、その上分家の家だけれど。アーシのタヌキは没落したとは言え、松平の本家で源氏……。岡崎城もあるから何も問題ないはずだよ。父ちゃん……」と。
《《尾張の悪役令嬢さま》》は更に織田信秀へと不満を告げたらしい。




