508/539
第498話 竹千代の未来知識 × 雪斎和尚 × 奇策の原型(4)
俺は震えた。
(これ……信玄公でも読めない)
雪斎和尚さまは、筆を置き、俺を見た。
「竹千代殿……。そなたの西洋、バテレン知識の要塞戦や陣地戦は、ただの知識ではない。今後の日本の《《戦を変える力》》じゃ……。まあ、日本は大陸のような平原は少ないが、山岳戦に対応できるように改良を続けていけばよいと思うぞ……」
俺は太原雪斎和尚さまの話を聞き終わると。
「……僕、信玄公に勝てますか?」
俺は尋ねてみた。
「勝てるかどうかは、そなた次第……。だが、勝つための道は、今ここにある」
雪斎和尚は、描き上げた陣形図を俺に差し出した。
「これが、そなたの奇策の原型……名付けるなら――」
和尚は静かに言った。
「《《東海五段陣》》」
俺はその名を胸に刻んだ。
甲斐の虎との戦いは、まだ遠い。
もしかして、越後の竜の動向しだいでは、甲斐の怪物との戦はないかもしれない。
それでも俺は用心深く、色々な策を思案した。
そして地形の方も、半蔵や柳生の眼だけではなく、自分の目で見て回った。
だから、俺の奇策は確かに形を成し始めていた。
◇◇◇




