第5話 ちょっと話を遡り、転生した頃の話しだ(3)
しかし、アニメとライトノベルを愛する日本人オタクの誇りが、俺を支えていた。
幼い頃からSNSでアニメやマンガ、ライトノベルを貪るように読み続けてきた俺は、転生直後の狼狽もすぐに収め、自分の立場を理解した。
《《これほど日本人であることを誇りに思ったことはない》》!
もし他国の人間だったら、前世の記憶を持ったまま異世界転生を受け入れられず、精神を病んでいたかもしれない。
若き両親の若さに驚きつつ、俺はこの異世界で生きていく決意を固めた。
さて、なぜ俺が異世界転生したのか、その話を少しだけ聞いてほしい。
どうか、もう少しだけ付き合ってくれ……。
◇◇◇
夜の闇が深く沈み込み、俺の胸はまるで戦場の鼓動のようにざわめいていた。
転生前の忌まわしいあの夜の記憶が、鋭い刀の刃のように心を切り裂く。
だが、そんな過去の傷も、今の俺には戦国の英霊たちの名が力を与えてくれている。
織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康――【戦国三英傑】と称される彼らの名は、誰もが知るところだ。
信長公は、明智光秀の謀反により非業の最期を遂げた天下人の一歩手前の英雄──
その瞳には、今なお燃え盛る炎が宿っている。
秀吉公は、乱世を駆け上がり、誰もが憧れる栄光の頂点へと登り詰めた男──
彼の笑みは、戦の荒波を越えた者だけが持つ余裕を漂わせている。
そして家康公は、「鳴くまで待とうホトトギス」の言葉通り、忍耐と策謀で天下泰平の礎を築いた名将だ。
その静かな眼差しの奥には、千の計略が渦巻いている。
彼の戦歴は決して地味ではない。
甲斐の虎・武田信玄に敗れたことはあるが、姉川の戦いでは岡崎衆を率いて織田軍を救った武勇の誉れ高き将軍でもある。
そんな彼が、俺がこの世界に転生するきっかけとなった事件の影の主役だったとは――。
俺の転生は、よくある事故や病死ではない。




