第455話 恋愛戦国乱舞、ついに“尾張の影”が忍び寄る(1)
「ピィ~~~~~~~~ッ!!」
数正兄ちゃんの笛が、ようやく《《試合らしい試合》》を告げた。
今川家の姫武将たちも、岡崎衆も、松平若武者も──先ほどまでの恋愛乱舞が嘘のように、ちゃんとボールを追い始めた。
……いや、追い始めた《《はず》》だった。
◇◇◇
氏真がドリブルしながら、俺にだけ聞こえる声で囁く。
「あなたさま……。先ほどの事故で、わらわの胸に顔を埋めた感触……忘れておらぬじゃろ?」
「忘れた! 試合に集中しろ!」
「うふふ、照れおって……可愛いのう」
(可愛いのはお前だよ……)
泰長が横から割り込む。
「姫さま! 竹千代は照れているのです! からかわないでくださいませ!」
「泰長こそ、竹千代のことを見すぎじゃ」
「見ます! 彼女ですから!」
「わらわも彼女じゃ!」
二人が試合中に堂々と宣言し合う。
(お前ら……試合中に《《彼女宣言バトル》》するな……)
俺が「はぁ~」と溜息をつき、肩を落とせば。
元景が優しくボールを追いながら、俺の方を見て微笑む。
「竹千代くん、先ほどのドミノ倒し……私、一番上だったけど……重くなかった?」
「いや、普通に重かったよ!」
「えぇ~? じゃあ今度は軽く乗るね?」
「乗るな!」
氏長がボールを蹴りながら叫ぶ。
「松平! 蹴り倒すから覚悟しなさい!」
「なんで嬉しそうなんだよ!?」
「蹴り倒した後、手当てしてあげるから……その……手、握ってもいい?」
「お前は毎回それだな!」
俺が氏長の言葉に呆れると、正綱が応援しながら近づく。




