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第412話 流石静岡、上手いな! (9)
「不器用って?」
「でも、優しかったの。その子は……。わらわが転びそうになった時、いつもこうして──」
氏真は俺の胸元を指先で軽く叩いた。
「抱きとめてくれたのよ」
俺は、《《その時》》──心臓が蹴鞠よりも大きく跳ねた。
まるで俺の生前の記憶と《《あの時》》が重なっていくような感覚だった。
「……氏真」
「な、何よ。そんな真剣な顔して」
「お前、その子の名前……覚えてないのか?」
「ん? 覚えてないわよ……。でも──」
氏真は《《あの時》》──俺の腕の中でそっと顔を上げた。
「ふっ、ふふふ。その子の《《抱きしめ方》》は……あなたとよく似ているわ」
《《あの時》》一瞬、俺の時間が止まった。
俺の周りの風も、鳥も、庭木も、すべてが遠くに消えていく。
(お願い)
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