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第409話 流石静岡、上手いな! (6)
今も抱くたびに軽やかな彼女だが、あの時の氏真はまるで風のように軽やかで、俺の心を深く揺さぶった。
その瞬間の衝撃よりも、彼女の体温が俺の胸に深く刻まれている。
「……あなた、放しなさいよ」
口ではそう言いながらも、氏真の手は俺の着物をぎゅっと掴んで離さない。
「いや、お前、手が離れてねぇぞ?」と俺は笑みを浮かべて言った。
「こ、これは……その……! 転ばないように掴んでいるだけよ!」
「はいはい」
「その《《はいはい》》が腹立つのよ!」
氏真の照れ隠しの怒り方は、どうしようもなく愛おしく、胸をくすぐられるようだった。
俺はゆっくりと体勢を整えながらも、腕を離さなかった。
そして氏真も、俺の胸から離れようとはしなかった。
午後の光が二人の影をひとつに溶かし、静かな時間を紡いでいる。




