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俺流の徳川家康はこうだ! 未来を知る俺が尽くすならば、同じ悪役令嬢様ならば織田の姫様よりも今川の姫様の方に使える事にした!  作者: かず斉入道
第3章 駿府の悪役令嬢さま

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第405話 流石静岡、上手いな! (2)

 まるで──この中庭に、俺と氏真しか存在しないみたいだった。


 俺の胸元に触れた蹴鞠よりも、それを押しつけてきた氏真の手の温度の方がずっと近い。


「……あなた、そんな顔をするのね」


「どんな顔だよ……」


「さあ? 自分で確かめてみればいいわ」


 挑発するような声音……


 けれど、どこか照れを隠しているのが分かる。


 俺が何か言い返そうとした、その瞬間──


《ポスッ!》


「……あっ」


 氏真の手から離れた蹴鞠が、俺の肩に当たって、ぽとりと地面に落ちた。


「お、おい……」


「ち、違うのよ。わざとじゃないわ。たぶん」


「たぶんって何だよ!」


 氏真は珍しく慌てて、落ちた蹴鞠を拾おうと身をかがめ──


《コツン!》


「……っ」


 俺と氏真の額が、軽くぶつかった。


 俺と氏真の距離、マイナスになった気がした。


「い、痛っ……あなた、近いわよ……」


「お前が急に動くからだろ……!」


 二人して額を押さえながら、なぜか目線だけはそらせない。


 午後の光が、二人の影をまた重ねる。


「……あなたって、本当に不器用ね」


「悪かったな。不器用で」


「でも……」


 氏真は、ほんの少しだけ微笑んだ。


「そういうところ、嫌いじゃないわ」


 俺の心臓が跳ねた──蹴鞠よりも、ずっと大きな音で。


「な、なんだよ急に……」


「別に。あなたが、わらわをずっと見ていた理由……少しだけ分かった気がしただけ」


「見てねぇよ!」


「うそ。今も見ているもの」


 図星すぎて、言葉が詰まる。


 氏真は落ちた蹴鞠を拾い上げ、俺の手のひらにそっと乗せた。


「……次は、落とさないでね?」


 その声は、午後の陽よりも柔らかかった。


 ハプニングでぶつかった俺の額の痛みなんて、もうどうでもよくなっていた。


 


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