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俺流の徳川家康はこうだ! 未来を知る俺が尽くすならば、同じ悪役令嬢様ならば織田の姫様よりも今川の姫様の方に使える事にした!  作者: かず斉入道
第3章 駿府の悪役令嬢さま

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第404話 流石静岡、上手いな! (1)

 午後の陽は、まるで二人だけのために差し込むように、今川館の中庭をやわらかく照らしていた。


 風はそよぎ、鳥は歌い、庭木は揺れる──


 その中心で、ひときわ軽やかに跳ねるものがあった。


 いや、《《もの》》じゃない。


 俺の《《彼女さま》》だ!


「氏真?」


「何、あなた?」


 俺に呼ばれ振り返ったその横顔は──午後の光を受けて淡く輝き、蹴鞠を操る足元は、まるで舞のようにしなやかだった。


 今川氏真(駿府の悪役令嬢さま)……戦国の文化人にして、駿府の姫にして、そして──俺の生前のサッカー経験を軽く粉砕する、蹴鞠の天才……


《ポン、ポン、ポンッ》


 そのリズムは、俺の心臓の鼓動より正確で、見ているだけで胸がざわつく。


「流石、サッカー王国静岡が産んだ蹴鞠の天才、今川氏真さまだな」


 俺は本気で褒めたつもりだった。


 だが氏真は蹴鞠を続けながら、ふわりと微笑む。


「あなたもこれぐらいはできるでしょう?」


「……ん? できねぇよ。俺には、お前みたいに器用にはなぁ……」


「うそ?」


「うそじゃないって、本当だって……!」


 俺の必死の否定をよそに、氏真はまた『ポン!』と蹴鞠を跳ね上げる──


 午後の陽光を受けて、蹴鞠が金色に光った。


 ……いや、光っているのは蹴鞠じゃない。彼女の横顔だ!


 その自信と誇りと、ほんの少しの意地っ張りが混ざった表情だ。


 そして気づけば──中庭の広さなんて関係ないほど、二人の距離は近かった。


「あなた、本当にできないの?」


「できねぇって言ってんだろ……そんなに俺をいじめたいのか?」


「いじめてなんていないわ。ただ……」


 氏真は蹴鞠をそっと手で受け止め、俺の胸元へ軽く押しつけてきた。


 距離はゼロ……


「あなたが、どれくらいわらわのことを見ているのか……知りたかっただけ」


 午後の光が、二人の影を重ねる……


 庭の音も、風の音も、どこか遠くへ消えていく。


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