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第326話 悪役令嬢様からの問いかけ? (3)
俺は《《あの日》》、今川氏真に嘘偽りのない言葉を告げた。
だが、本人である今川氏真はこう返す。
「それは、女性なら誰にでも言っているのでしょう? わらわは、あなたの悪い噂も耳にしています」と。
《《あの日》》も今川氏真は、いつも通りに怪訝な表情で、俺へと喧嘩腰に尋ねてきた。
しかし、《《あの日》》の俺は本気だった。
俺は青春ドラマの一場面のように、夕日に染まる茜色の中、彼女の十二単姿でのリフティングが本当に美しく、麗しく、見惚れてしまった。
俺は嘘偽りなくそう思い、俺の返答も変わらなかった。
「──いいえ! そんなことはありません! 僕は氏真さまの忠実な僕! 犬でありタヌキです! だから飼い主である氏真さまにだけは嘘をつきません! 本当に綺麗で美しい、僕の恋人……いや! 今日こそ氏真さま、僕の嫁になってください! 愛しています!」と。




