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第325話 悪役令嬢様からの問いかけ? (2)
だが、今川氏真が御機嫌麗しくリズムよく蹴っていたボールが蹴り損ねて地面に落ちた。
ああ、今川氏真はリフティングを失敗したのか、勿体ないや……。後なんかい続くだろうか? と俺は思いながら、楽しんで見ていたのに……と、《《あの時》》は思った。
「誰!」
《《あの日》》! 《《あの時》》! いきなり今川氏真の口から荒々しい言葉が飛び出した。
「えっ!」
俺は今川氏真の問いかけに驚いた。
そして《《あの時》》の俺はすぐに顔色を変えた。
不味い! やばい! どうしよう? と思いながら。
俺は今川氏真の華奢な背を呆然と見つめるのをやめ、慌てて座り込み、頭を下げ──今川氏真に平服した。
「──す、すいません、氏真さま、竹千代です。本当に申し訳ございません」と謝罪した。
「僕は氏真さまの蹴鞠する御姿があまりにも美しく、つい見惚れてしまいました。本当に申し訳ございません……」




